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スポーツ・部活を怪我なく続ける!「整形外科クリニック」におけるリハビリの重要性
こんにちは、院長の曽我部です
そろそろ新学期のシーズンですね🌸
学生さん、社会人の方でも新しくスポーツを始めるのには良い時期です。またもうすでに一生懸命、部
活や運動に打ち込んでいる方も多いでしょう。
今回は当院での受診される方の多いスポーツにまつわる痛み、けがについてお話します🍀

スポーツ障害とスポーツ外傷
スポーツ整形外科で扱うものはおおきく「障害」と「外傷」に分類されます。
「スポーツ外傷」は、急激な外力によって骨や軟骨、靭帯・筋肉・腱・腱膜が損傷するもの発生するものです。骨折・脱臼、靭帯断裂・捻挫、軟骨損傷などがあげられます。急性発症のケガ、という認識です。
一方、「スポーツ障害」とは、これらの組織に対する繰り返しの負荷や使い過ぎ(オーバーワーク)によってダメージが蓄積し発症するものです。筋肉痛、疲労骨折(腰椎分離症など)、骨端症、靭帯や腱付着部炎などが含まれます。慢性的な使い痛み、という認識です。負荷の反復は比較的小さな外力が繰り返し加わることにより生じますが、その中でも発症が突発性のもの(反復の負荷によって完全骨折に至った足の疲労骨折など)とゆっくりと発症したもの(徐々に痛みが憎悪した腱板の痛みによる肩関節の疼痛など)があります。
各々の項目において、日本臨床スポーツ医学会・日本アスレティックトレーニング学会共同声明により以下のような分類がなされています

スポーツ外傷の発生要因はスポーツの種類によってもさまざまです。自己転倒や他人との接触などが多
くみられます。例えばコンタクトを伴うサッカー、ラグビー、格闘技などでは骨折・脱臼、靭帯損傷な
どが多くみられます。またジャンプや切り返しの動作が多いバスケットボール、バレーボールでは足関
節の捻挫を受傷することが多いです。
準備運動や適切な傷害予防プログラムによって、スポーツ外傷の発生を軽減できるという報告も散見されますが、完全にこれらのケガを予防することは難しいと考えられます。従って受傷してしまった場合にスポーツ外傷や障害の診療経験の豊富な医療機関で適切な診断を受け、早期治療を行うことが後遺症を予防したり早期にスポーツ復帰するために必須と言えるでしょう。
整骨院・接骨院と整形外科クリニックの違い
接骨院や整骨院での柔道整復師による施術を受ける場合、保険診療となるのは骨折、脱臼、打撲、ねん
ざなどの怪我のみです。日常生活の疲労による慢性的な肩こりや腰痛、スポーツ障害などの痛みの改
善、治療、予防の目的で施術を受ける場合は保険診療が使用できず、全額自己負担となります。「保険
証が使える」と言われて受けた施術が、のちに不正請求の対象であったことが判明した場合(違法行為
です)も患者さんの全額自己負担となってしまうので注意が必要です。
また同一のケガについて同時期に柔道整復師の施術と整形外科での治療を重複並行的に受けることはで
きません。原則として保険診療の対象となりませんのでご注意ください。
また最も重要な点は、整骨院・接骨院ではレントゲン検査、超音波検査、血液検査など医学的に信頼性
の高い検査を受けることができないことです。ただの捻挫と言われたが実際には骨折が隠れていた、五
十肩と言われたが腱板断裂が隠れていた、ということは日常診療でよくあります。
「医師が医学的に診断を行う」→「疾患に応じた最適な治療を立案する」→「医師の指示に基づいて理
学療法士がリハビリを行う」という流れで医療とリハビリがタッグを組んでこそ、最高の治療結果が得
られます。
スポーツ外傷・障害の治療には信頼できるパートナーが必要
一流のスポーツ選手でも自分一人だけで体の状態を判断せず、必ずトレーナーを付けています。
ここ最近はWBCの優勝で盛り上がりましたが、MVPを取得した大谷翔平選手、メキシコ戦で起死回生の
ホームランを放ち、大会史上最多打点を叩き出した吉田正尚選手も一流のトレーナーを付けています。
吉田選手はハンマー投げ金メダリストの室伏広治さんに直訴してトレーニングを受けたことは非常に有
名なエピソードです。

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部活やクラブでスポーツをしている学生さんは一流のトレーナーに指導を受ける機会には恵まれないこ
とも多く、だからこそよりケガや故障に気を付ける必要があります。そこでぜひ整形外科クリニック
でのリハビリテーションを活用してください。
リハビリは、スポーツによって損傷を受けた身体や精神を回復するのみならず、予期せぬケガを予防す
るためにも重要です。ハードな部活では身体を酷使することが多く、怪我をするリスクが高くなりま
す。そこでリハビリによるトレーニング、ストレッチを受けることで怪我を予防し、早期回復につなげ
ることができます。
リハビリテーションは、怪我や病気の治療だけでなく、「スポーツパフォーマンスを向上」させるため
にも重要です。例えば、筋肉のバランスを整えたり、運動能力を高めるためのトレーニングを行うこと
で、怪我を防ぎ、スポーツパフォーマンスを向上させることができます。
また、リハビリテーションは、スポーツをする上で必要不可欠な「心理面のサポート」にもつながりま
す。スポーツでの失敗や怪我などによって、精神的なダメージを受けることがあります。当院のセラピ
ストたちはしっかり患者さまに寄り添い、各々の目標に合わせて無理のないリハビリ計画を立案いたし
ます。
リハビリは、健康にスポーツを継続する上で欠かせないものであり、怪我や病気の治療だけでなく、ス
ポーツパフォーマンスの向上や心理的なサポートにもつながる重要な医療行為です。
体のトラブルが大きくなる前に、リハビリテーションの専門家に相談することを強くおすすめします。
参考文献と出典
Timpka T, et al. Injury and illness definitions and data collection procedures for use in epidemiological studies in Athletics .J Sports Med. 2014; 48: 483-490
スポーツ外傷の基本. 整形外科看護 2022 vol.27 no.11, 1089
日本臨床スポーツ医学会誌:Vol. 30 No. 1, 2022.
Sport medicine abstract concept vector illustration. (表紙イラスト)