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首の痛み
テレワーク症候群
テレワーク症候群とは
テレワーク症候群とは、在宅勤務やリモートワークによって生じる身体的・精神的な健康問題の総称です。テレワークが普及したことで、働く環境が大きく変わり、多くの人が様々な症状に悩まされるようになりました。
仕事などで長時間悪い姿勢をとり続けることによって体に負担がかかり、筋肉の血流が悪くなることが原因と考えられています。また目線や高さのあっていないデスクや、地べたでのパソコン作業も要因となります。さらに在宅だと、職場よりも動かなくなるのでより筋肉の血流不全を生じやすく、筋肉が硬直しやすくなると考えられます。

テレワーク症候群の症状
テレワーク症候群には、以下のような症状があります。
首の痛み・肩こり、腰痛:最も多い症状で、筋肉の血流不全、筋膜の癒着などが原因となると考えられます。症状が頑固に続き、日常生活や仕事に支障をもたらします。
体力低下や筋力の衰え: 長時間の座りっぱなしや運動不足により、筋肉の衰えや体力の低下が生じます。
姿勢の悪化: 不適切なデスクや椅子の使用、長時間のスマートフォンやタブレットの利用によって、姿勢が悪化し、肩こりや腰痛などの問題が生じることがあります。
目の疲れや視力低下: 長時間の画面作業による目の疲れや、デジタルデバイスのブルーライトによる眼精疲労が視力低下の原因になることがあります。
精神的なストレス: 家庭と仕事の境界が曖昧になることで、仕事のストレスが家庭に持ち込まれることがあります。また、同僚や上司とのコミュニケーションが減ることで、孤独感や不安感が増すことがあります。
睡眠障害: テレワークによる生活リズムの乱れや、ストレスの影響で、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりすることがあります。
テレワーク症候群の検査
本症の診断には症状や生活習慣に関する詳細な問診が最も重要です。痛みの程度、就労環境、日常生活習慣、運動状況、ストレスなどに関して聴取すればおおむね診断は確定できます。身体検査では頚部や肩、腕の筋力や筋肉の柔軟性、関節の可動域、痛みの誘発ポイントなどを診察します。
以下の検査は補助的に使用することがあります。
〇X線検査: 頚椎の変形や椎間板の状態、関節の状態などを調べます。ただし、テレワーク症候群は主に筋肉や筋膜に関連する症状であり、X線検査だけでは診断が難しいことがあります。
〇MRI検査: 詳細な画像で頚椎や脊髄、神経根、椎間板、周囲の軟部組織などを調べることができます。神経圧迫や椎間板ヘルニアなどの原因を見つけるために用いられることがあります。
〇神経伝導検査: 神経の機能や伝導速度を調べる検査で、末梢神経障害や神経圧迫の診断に役立ちます。
これらの検査結果と症状や生活習慣を総合的に評価し、他の疾患(頚椎ヘルニア、頚椎症、肩関節周囲炎など)との鑑別診断を行いながら、テレワーク症候群の診断を行います。
テレワーク症候群の治療
急性期で痛みが強い場合、抗炎症薬や外用薬の処方が効果的です。ただし、薬物療法よりも、睡眠時間や休憩時間の確保、仕事や日常生活でのストレッチや適度な運動の取り入れ、目線の高さに合うPCの使用など、生活環境の改善が大切です。
首や肩、腕部の運動やリハビリテーション療法が特に効果的で、ストレッチやリラクゼーション、血液循環を改善する体操が役立ちます。また、ホットパックや首の牽引、低周波療法などの物理療法も効果があります。当院では国家資格を有するセラピストが医学的根拠に基づき、自宅でも実践できるストレッチ方法について詳しくご指導いたします。
また上肢を使うスポーツ活動や水泳などの運動療法は、生活指導やリハビリテーションとして、再発防止にも効果があるとされています。
血流が悪くなった筋肉は痛みを感じやすいため、投薬や理学療法、物理療法で症状が緩和されたら、再発を防ぐために定期的な運動を行うことがおすすめです。

先生から一言
薬も良いですが、ご自身の生活環境や運動習慣など、患者さま自身が積極的に行う治療のほうがより重要です。
特に症状が長引いてくると、完全に治ることを目標にして挫折しがちです。
まずはより身近な目標(日常生活動作改善)を立てて、徐々に達成しながら治療に取り組んでもらうことが重要です。