整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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肩の痛み

痛風・高尿酸血症

痛風・高尿酸血症(Gout/Hyperuricemia)

痛風・高尿酸血症は生活習慣病のひとつと言えます。高尿酸血症を背景に、関節内で結晶化した尿酸結晶が原因となって発症する結晶誘発性関節炎が痛風です。足の親指の付け根をはじめ、膝や肩、手首など様々な関節の腫れを伴う痛みとして発症します。

痛風発作は足の親指に多いですが、ほかの関節に発症することもあります

痛風、高尿酸血症の原因

痛風は、尿酸結晶が関節に蓄積し、関節の炎症と激しい痛みを引き起こすことで発症します。尿酸結晶は、血中の尿酸濃度が高いときに形成され、プリン体を分解するときに尿酸が生成されます。

高尿酸血症の原因は、「尿酸産生増進」と「尿酸排泄低下」に分けられます。尿酸は核酸を構成するプリン体の最終代謝産物であり、プリン体の摂取が増えると血清尿酸値は上昇しますが、ヒトのエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)が代謝されても尿酸が作られます。アルコールやフルクトースの代謝の際にはATPが使われることから、プリン体フリーのアルコールや清涼飲料水(ジュース)の摂取でも血清尿酸値の上昇につながります。尿酸値の多い食品としては、レバー(鶏>豚・牛)、干物、あんこう、カツオ、マイワシなどが挙げられます。

通常、尿酸は血中で溶解し、腎臓を通って尿中に排出されます。しかし、時には体が尿酸を過剰に生成したり、腎臓が尿酸を十分に排出できなかったりします。糖尿病と同じように痛風には遺伝性があり、ほかに罹患しているご家族がいる場合、発症リスクは高くなります。

痛風、高尿酸血症の症状

高尿酸血症だけでは通常は症状がありません。しかし尿酸値が高い状態(血清尿酸値>7.0mg/dL)が持続すると足の親指、膝、足関節などの全身の関節に急激な強い痛みと腫れを生じ、「風が吹くだけで痛い」と例えられる関節炎を生じます。

痛風の症状はほとんどが突然に現れ、多くの場合は夜に起こります。痛風は通常、母趾MTP関節に起こりやすいとされていますが、どの関節にでも発生する可能性があります(足首、膝、肘、手首、指など)。痛みは、始まってから最初の4〜12時間以内に最も強く、激しい痛みが和らいだ後も関節の不快感が数日から数週間続くことがあります。痛風発作により関節が破壊されると、関節の変形が進み、発作が収まっても痛みや可動域制限が残ることがあります。

痛風、高尿酸血症の検査

レントゲンにて関節内に沈着した尿酸結晶が認められることがあります。膝などの関節液が貯留しやすい関節の関節液検査で尿酸結晶が認められれば診断が確定します。

血液検査で尿酸値が高値で、急激な関節炎があってもほぼ診断が確定します。「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるものを高尿酸血症と定義しています。しかし、男女で血清尿酸値は異なるため、女性では6.0mg/dLを超えるものを高尿酸血症と定義することもあります。女性ホルモンが尿酸値を下げる働きがあるため、閉経後の女性は尿酸値が上昇しやすいことが知られています。

痛風、高尿酸血症の治療

痛風による関節炎の症状が強く、痛み・腫れがあるときにはまずは抗炎症薬(NSAIDsなど)で症状をコントロールします。多くの関節が腫れているときは短期的にステロイドを併用することもあります。
コルヒチンは痛風痛を効果的に減少させる抗炎症薬ですが、副作用には吐き気や嘔吐、下痢があります。

関節炎の症状が収まった後に高尿酸血症に対する薬物療法を行います。発作が十分に収まっていないときに尿酸値を下げる薬剤を開始すると発作をひどくする可能性があるので控えましょう。再発の予防のためには尿酸値を 6.0mg/dL以下に維持する必要があります。

尿酸生成を抑える薬にはアロプリノールやフェブキソスタット(フェブリク)などがあります。尿酸代謝の過程において、ヒポキサンチンからキサンチン、キサンチンから尿酸に変換される際に、キサンチンオキシダーゼ(XO)が作用します。そのXOを阻害する薬がアロプリノールやフェブキソスタットで、尿酸産生過剰型の高尿酸血症に対して、有効性が高いと考えられます。尿酸排出を改善する薬にはプロベネシド、ドチヌラド(ユリス)があります。尿酸排泄の2/3を腎臓が、1/3を腸管が担っているとされており、脱水や腎機能低下などの原因による尿酸排泄低下型の高尿酸血症に対しては、尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン、プロベネシド、ドチヌラド)の効果が高いと考えられます。

高尿酸血症は生活習慣病のひとつ!

2020年の「循環器病対策推進基本計画」では、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病といった重要な生活習慣病に加えて、高尿酸血症も挙げられました。尿酸塩結晶が血管内で炎症を引き起こし、その炎症が高血圧や動脈硬化をもたらし、心筋梗塞や脳卒中を引きおこすリスクが高くなると考えられています。また高尿酸血症が腎機能の低下に及ぼすリスクはよく知られており、痛風腎と呼ばれる腎機能障害や、透析導入のリスクを増大させます。

高尿酸血症の治療目標

心不全の患者さんを対象とした試験では、血清尿酸値が6.0 mg/dL程度を超えると、心血管死や心不全の発生率が高くなることが知られています。

血清尿酸値の管理目標は、国内のガイドラインにおいては、痛風や痛風結節では「6.0 mg/dL以下」とされています。米国リウマチ学会のガイドラインでは、すべての痛風患者に対して「6.0 mg/dL以下を目指す」とされており、痛風結節の治療ではより積極的に「5.0 mg/dL以下を目指す」と記載されています。

高尿酸血症の治療には、ライフスタイルの改善が大切

痛風発作を治療し、再発を防ぐ上で薬物療法が最も効果的な手段ですが、生活習慣を見直すこともとても大切です。以下のようなことを心がけましょう。

〇健康的な飲み物を選択する:お酒や、果糖で甘くされた飲み物は控え、水をたくさん摂取しましょう。
〇プリン体の高い食品を避ける:赤肉や肝臓などはプリン体が多く含まれています。アンチョビ、いわし、ムール貝、ホタテ、マス、マグロなどの海産物もプリン体が豊富です。
〇定期的に運動をして適正な体重を保つ:痛風のリスクを下げるだけではなく、糖尿病や高血圧などほかの生活習慣病の予防にも役立ちます。関節への負担が少ない散歩、自転車、水泳などの運動を選びましょう。特に若い人では「少し息が切れるくらいの早歩き」が生活習慣病の予防に有効です。

散歩も立派な有酸素運動になります

参考文献)

・日本腎臓学会:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023、東京医学社,2023

・日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会(編): 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」診断と治療社、2018年

先生から一言

痛風は急激に発症する関節炎として受診される方が多く、激痛のため歩けなくなることすらあります。まずは痛みと急性期の炎症をしっかりコントロールすることが大事です。痛風ないしその原因となる高尿酸血症は、高血圧、高脂血症、糖尿病とならぶ生活習慣病であるという認識が大切です。尿酸値を下げる内服薬も必要ですが、食事・運動を組み合わせた生活指導も重要です。当院ではアンチエイジングの観点から生活習慣病の予防、治療に対する医学的なアドバイスを行っています。お気軽にご相談ください。

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