鳩胸とは

鳩胸は胸郭が過度に突出する胸郭変形疾患です。その発生頻度は、漏斗胸が800〜1000人に1人、一方で鳩胸はその1/10〜1/5といわれており比較的稀な疾患です。

鳩胸は内部の胸部臓器への影響は少ないとされます。しかし服を着ていても目立つような変形があると、精神的な苦痛が大きく、積極的な治療を希望される方も多いようです。突出の形態としては、胸部中央の高度な突出が最も多く、非対称性の突出、下部胸壁の陥凹を伴うものなど、さまざまな変形があり明確な分類は困難です。

鳩胸の症状

鳩胸の検査

肉眼的な見た目から診断ができます。胸部のCT検査を行うことで、胸がどの程度変形しているか評価できます。手術適応を決定する指標、たとえば漏斗胸のHaller indexのようなものは存在しません。

鳩胸の治療

突出部を装具で圧迫する治療があります。特に肋軟骨がやわらかい思春期以前では、突出部をうまく押さえることができれば効果が期待できます。装具は就寝時も含めてほぼ1日中装着して圧迫し、効果があれば1年程度を目安に使用します。しかし息苦しさや圧迫部の蒸れ、装具の違和感などの訴えが多く、継続するのは簡単ではありません。年齢が高い場合や胸郭が硬い場合にはより難しく、圧迫部に効果があっても周囲が陥凹してしまうなどの問題がでることもあります。

鳩胸の手術治療

年齢や胸郭の形態などにより、術式は2つに分けられます。従来行われてきた方法は、胸骨の突出部で変形した肋軟骨を部分的に切除して胸郭を形成するものです。もう1つは、漏斗胸に対するNuss法に準じた低侵襲な術式で、Abramsonらが報告したものであり、胸腔外に金属バーを通した後に突出部を背側に圧迫してバーの両端を固定します。

参考文献）

・越智崇徳ら. 漏斗胸，鳩胸の治療はある？ 小児内科　Vol. 54 No. 6，2022‒6