肩鎖関節脱臼（けんさかんせつだっきゅう）とは

肩鎖関節脱臼（Acromioclavicular Joint Dislocation）とは、肩をぶつけるなどのけがで靱帯を損傷しておこる脱臼（骨がずれること）です。肩鎖関節（AC joint）は鎖骨と肩峰という細い骨同士からなる小さな関節です。

肩鎖関節脱臼の原因

スポーツでの接触や転倒により、肩部に直接的な衝撃が加わった際に受傷します。アメフト、ラグビー、スケートボード、アイスホッケー、マーシャルアーツ・ボクシング、スキー、スノーボード、サッカー、バスケットボールなど、転倒しやすかったりコンタクトすることが多いスポーツが原因となることが多いようです。

肩鎖関節脱臼の症状

肩鎖関節脱臼の検査

身体診察では、鎖骨遠位端の上方転位による皮膚の突出度、肩鎖関節の圧痛をみます。Piano key sign（鎖骨遠位部のと突出部を指で下方に押し、下方移動が生じるか、指を放すともどるかをみる徒手検査）の有無も確認します。

画像検査では、レントゲンにて両側の肩鎖関節の撮影を行い、健側と比べます。

Rockwood（ロックウッド）分類が治療方針の決定に有効です。

Type1：肩鎖靭帯の捻挫（sprain)。亜脱臼なし。烏口鎖骨靭帯には損傷なし

Type2：肩鎖関節の亜脱臼。肩鎖靭帯の断裂。烏口鎖骨靭帯の捻挫（sprain)

Type3：肩鎖関節の亜脱臼。肩鎖靭帯の断裂。烏口鎖骨靭帯の断裂。

烏口鎖骨間距離（coracoclavicular distancce)が健側の２倍

Type4：肩鎖関節の後方脱臼。上方にも転移する。肩鎖靭帯の断裂。烏口鎖骨靭帯の断裂。

Type5：肩鎖関節の脱臼で上方転位著明。肩鎖靭帯の断裂。烏口鎖骨靭帯の断裂。烏口鎖骨間距離が健側の２倍以上。三角筋と僧帽筋が骨膜下に剥離し鎖骨遠位部の骨が露出（denude)していることが多い。

Type6：肩鎖関節の脱臼で鎖骨遠位端が烏口突起下に転位。肩鎖靭帯の断裂。烏口鎖骨靭帯の断裂。非常にまれ。

肩鎖関節脱臼の治療

保存療法として、三角巾で２～３週間程度固定し、痛みが軽減すればリハビリテーションで肩の可動域訓練を行っていきます。

肩鎖関節脱臼が重度の場合は手術療法を検討します。

参考文献）

・Aspetar Sports Medicine Journal 2023. TREATMENT OPTIONS FOR ACROMIOCLAVICULAR JOINT SEPARATION

・Separated Shoulder: Symptoms, Treatment and Recovery Time – stack