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けが(外傷)
鎖骨骨折
鎖骨骨折(Clavicle fracture)とは
鎖骨は胸骨の上部から肩甲骨の上部(肩峰)に水平に延びている骨です。 鎖骨骨折は、全骨折中約10%を占めるほど多い骨折のひとつです。鎖骨はS字形をした骨であり、上肢と体幹とを結ぶ唯一の骨です。鎖骨は遠位で肩峰と肩峰鎖骨関節で、近位で胸骨と胸鎖関節で関節を形成します。鎖骨の中央部は最も細いセグメントであり、靭帯の付着がないため、最も骨折しやすい場所です。

鎖骨骨折の原因
多くの場は転倒した際に腕を伸ばしてついたり、肩から転倒して直接打撲して骨折します。
鎖骨骨折と骨粗しょう症
鎖骨骨折は女性では50歳頃から増え、とくに65歳以上の方では、骨粗しょう症が背景にあることが増えてきます。軽い転倒や自転車事故など比較的弱い力で鎖骨が折れた場合、背骨や股関節と同じく「脆弱性骨折」のサインと考える必要があります。そのため、とくに中高年の女性で鎖骨骨折を受傷された方は、鎖骨の治療だけで終わらせず、骨粗しょう症検診(腰椎+大腿骨の骨密度検査)を受けるようにしましょう。
鎖骨骨折の症状
骨が折れた部位に痛みや腫れが生じます。 鎖骨骨折で生じる痛みによって、肩を上げられなくなることも多いです。 鎖骨の中間部分の近くで、鎖骨下動脈が第一肋骨の前を通過し、腕神経叢も鎖骨の後ろを通り、中央鎖骨の骨折がある場合にはこれらの重要な構造を損傷するリスクがあります。
鎖骨骨折の検査
まずレントゲンで骨折の有無や骨のずれを確認します。必要に応じて、より詳しく見るためにCT検査を追加します。鎖骨の骨折は、外側がおよそ15%、真ん中の部分が約80%、内側が約5%で、真ん中の部分の骨折がほとんどを占めます。
専門的には「Allman分類」という方法で、鎖骨のどの位置が折れているかを3つのグループに分けて考えます。真ん中の骨折(グループI)が最も多く、肩に近い外側の骨折がグループII、胸に近い内側の骨折がグループIIIです。
とくに外側の骨折では「Neer分類」もよく使われます。ずれが少なく靭帯が保たれているタイプは、多くが手術をせずに治せます。一方で、骨のずれが大きく、靭帯から離れてしまうタイプでは、変形が強く出たり、骨がくっつきにくく偽関節(骨がつかない状態)になるリスクが高くなるため、手術を検討します。ずれが少なく関節までひびが及ぶタイプでは、まず保存的治療を行いますが、時間がたってから肩峰鎖骨関節が変形し、痛みの原因になることがあり、その場合には先端部分の骨を少し切り取る手術が必要になることもあります。

®The Royal Children’s Hospital Melbourne.
鎖骨骨折の治療
転位の少ない骨折では保存治療が選択されます。鎖骨バンド(クラビクルバンド)などで患部を固定して安静を保つようにします。固定期間はおおむね4~6週間が目安です。
骨折部のずれ(転位)が大きく、骨がついても短縮し変形が残ったままだと痛みや運動制限などの機能障害を生じるおそれがあるため、手術療法を検討します。髄内鋼線固定、スクリュー固定、プレート固定などの方法を用います。
参考文献)
・スポーツ整形外科学
・The Royal Children’s Hospital Melbourne.
・小西浩允:鎖骨骨折.整形外科看護 28(8):710-711,2023.

先生から一言
鎖骨骨折を手術するか、しないかの判断は論争があり難しいところです。私は骨がくっつかないリスクがあると判断すれば速やかに手術できる病院にご紹介するようにしています。10歳未満の子供は癒合率が高く、積極的に保存治療を試みています。