整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

06-6396-1374
診療時間
9:00~12:30 13:00
まで
× ×
14:45~18:15 × × × ×
                     
  • ※休診日 水曜午後・土曜午後・日曜・祝日
WEB予約 アクセス

DISEASE DETAILS 疾患一覧

こどもの整形外科

Ewing肉腫

Ewing肉腫とは

Ewing肉腫(Ewing sarcoma)は、小児期から若年成人に発生する骨または軟部組織の悪性腫瘍です。骨原発腫瘍としては骨肉腫に次いで2番目に多く、骨以外の軟部組織からも発生することが特徴です。発症年齢の中央値は15歳で、10歳代が2/3を占め、5~30歳までで90%を占めますが、乳児や40歳以上の報告もあります。男女比は1.6:1で、やや男性に多いです。

日本整形外科学会骨軟部腫瘍委員会によると、1年に約50例の報告があります。骨原発が75~80%を占め、骨盤(25%)、大腿(16%)、脛骨・腓骨(14%)、胸壁(12%)、上肢(8%)、脊椎(8%)などに発症します。骨外性の場合は、傍脊椎、胸部などの軟部組織に発症することが多いです。

病変が一箇所のみに認められる限局例は75~80%です。病変が複数箇所認められる転移例は20~25%を占め、転移部位は肺、骨、骨髄が多く、リンパ節、肝臓、中枢神経への転移はまれです。

Ewing肉腫の原因

Ewing肉腫はFET遺伝子ファミリー(FUS、TAF15など)とETS遺伝子ファミリー(FLI1、ERG、ETV1など)が融合したキメラ遺伝子が発症に関与していると考えられています。キメラ遺伝子(chimeric gene)とは、通常は異なる2つの遺伝子が一部融合してできた新しい遺伝子のことを指します。このキメラ遺伝子は強い転写因子活性を有し、腫瘍の発生や増殖にかかわる無数の機能と経路を制御していると考えられています。Ewing肉腫におけるキメラ遺伝子の内訳は、EWSR1-FLI1(85%)とEWSR1-ERG(10%)がほとんどを占め、他はまれです。

Ewing肉腫の症状

多くの場合、腫瘍の存在する部位で痛みがでます。病状が進行すると発熱、疲労、体重減少などの症状も伴ってくることがあります。

Ewing肉腫の検査

単純X線検査では、骨の破壊(溶骨性病変)と新しい骨の形成(骨生成性病変)の混在が見られることがあります。Onion peel appearance(玉ねぎ皮様の骨膜反応)は腫瘍が骨膜を刺激することで、層状の新生骨が形成されることがあります。
MRI検査では、軟部組織内の腫瘍の広がり、腫瘍の境界や周囲の組織との関係を明確に評価できます。Ewing肉腫は骨髄に浸潤することが多く、MRIはその浸潤範囲の評価にも優れています。腫瘍は通常、低信号(T1強調画像)および高信号(T2強調画像)となります。造影MRIを施行することで、腫瘍の血流状態や腫瘍内の壊死部位を評価することもできます。
PET-CT検査では、Ewing肉腫は通常、高いFDG集積を示すことから腫瘍の診断や治療効果の評価に役立ちます。

Ewing肉腫の治療

本疾患の治療は整形外科の中でも骨軟部腫瘍を専門とする医師にゆだねられます。以下、治療概要について述べます。

かつてはEwing肉腫の治療は手術、放射線治療などの局所療法のみでした。放射線感受性が高いことから一時的に腫瘍が縮小することはありましたが、限局例でも長期生存率は10%以下であり、ほとんどの例で2年以内に転移再発が認められていました。ビンクリスチン(VCR)、アクチノマイシンD(Act-D)などの化学療法や、四肢温存術を含む外科的アプローチの改良、治療反応性の正確な評価・データ収集によって生命予後は飛躍的に向上しました。

参考文献)

・固形腫瘍の現在と未来. Ewing肉腫. 細谷要介. 小児科診療. 第86巻. 8号.

先生から一言

Ewing肉腫は非常に専門性が高く、かつ原発性腫瘍の中では2番目に多い悪性腫瘍です。X線検査で疑う所見があれば、速やかに腫瘍専門医にご紹介いたします。

Information      連絡先

06-6396-1374           

お電話でのご予約はできません。