整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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肩の痛み

上腕骨頭壊死症

上腕骨頭壊死症とは

上腕骨頭壊死症(Osteonecrosis of the humeral head)は、血流障害によって上腕骨頭の骨細胞が死滅し、その結果として関節面の不整や陥没をきたして、関節の変形(関節症性変化)へ進行しうる疾患です。全身の骨壊死の中では大腿骨頭に次いで上腕骨頭に生じる頻度が高いとされます。

現時点では明確な治療ガイドラインが十分に確立されているとは言い切れず、画像所見を含む病期(進行度)と症状・活動性を踏まえたうえで、保存療法から手術療法までを適切に選択する判断が重要になります。

上腕骨頭壊死症の原因

上腕骨頭壊死症の原因は、大きく「特発性(明らかな原因が特定できないもの)」と「二次性(原因が明白なもの)」に分けられます。二次性はさらに、外傷に起因するもの(外傷性)と、基礎疾患や薬剤など外傷以外に起因するもの(非外傷性)の2つに分類されます。

外傷性の代表は、上腕骨頚部骨折や脱臼骨折など近位上腕骨の外傷で、受傷後に上腕骨頭への血流が障害されることで壊死に至ります。外傷後の上腕骨頭壊死の発生率は報告により幅があるものの、おおむね10~33%程度とされています。リスク評価にはHertel分類が用いられ、骨幹端延長(metaphyseal extension)が9mm以下である場合、あるいは内側支持(medial hinge)の損傷が2mm以上と判断される場合には、骨頭壊死のリスクが高いと考えられます。

一方、非外傷性ではステロイド使用が代表的で、脂肪塞栓や髄内圧の上昇などを介して骨頭への血流障害を生じる機序が想定されています。また、全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病、アルコール依存症、潜函病(減圧症)、鎌状赤血球症といった全身性疾患も関連します。病態の背景には、骨外の血管損傷、骨内脂肪細胞(脂肪髄)の増大や圧迫による骨内圧上昇、さらに脂肪や空気などによる血管内塞栓といった要因が重なり、骨頭の血流が阻害されることが挙げられます。

上腕骨頭壊死症の症状

上腕骨頭壊死症は、初期には症状が乏しく、進行するまで自覚されにくいことが特徴です。肩関節は下肢関節と異なり「非荷重関節(体重が直接かからない関節)」であるため、多少の骨頭障害があっても日常生活で直ちに破綻しにくい側面があります。加えて、肩の動きは肩甲上腕関節だけでなく肩甲胸郭関節の運動が代償するため、病変が小さい段階では動作の破綻が目立たず、受診が遅れることも少なくありません。

しかし、壊死が進行して関節面の不整や陥没が生じ、二次的な関節症性変化が加わってくると症状は明確になります。具体的には、夜間痛が出現しやすくなり、腕を上げる・後ろに回すといった動作で運動時痛が誘発されます。さらに、疼痛回避や関節面の変形に伴って可動域制限が進み、動かした際に「パチパチ」「ゴリゴリ」といった轢音(クレピタス)を自覚することもあります。

上腕骨頭壊死症の診断と評価

画像検査として、単純X線(レントゲン)は中期以降の骨頭変形や関節症性変化の評価には有用ですが、壊死がごく初期の段階では所見が乏しく、早期診断は困難なことが少なくありません。
MRIは初期診断に極めて有用で、骨髄内の変化として線状の低信号域(線状の低輝度変化)など、X線では捉えにくい所見を確認できます。
CTは、骨頭の陥没や関節面の不整をより詳細に描出でき、いわゆる三日月状サインなど、骨の構造変化を精密に把握する目的で役立ちます。

Cruess分類(進行度)

治療方針を決定するために、以下の5段階で分類されます。

ステージX線像の状態MRI像の状態
Stage I正常線状の低輝度変化
Stage II斑状の骨硬化輝度の不統一
Stage III三日月状の陥没三日月状の陥没
Stage IV広範な陥没広範な陥没、関節液貯留
Stage V関節窩(受け皿側)の変形関節窩の変化

上腕骨頭壊死症の治療方針

治療方針は、患者様の年齢(比較的若年者に多い点)と病期(ステージ)を踏まえて選択されます。初期(Stage I、II)では、まず保存療法として安静、理学療法、消炎鎮痛剤による疼痛コントロールを行い、病態と症状に応じて経過観察します。Stage Iについては、ビスホスホネート製剤が進行抑制に有用であったとする報告もあり、症例に応じて選択肢となり得ます。加えて、より積極的な治療として骨髄減圧術(core decompression)が検討され、骨内圧を低下させて血流再開を促す目的で行われます。初期病変に対しては有効性が高いとされ、報告によっては88~100%の有効率が示されています。

中期(Stage III)では、骨頭の構造変化が進み始めるため、低侵襲手術を中心に症状緩和と進行抑制を狙います。具体的にはcore decompressionに加えて、鏡視下デブリドマン(滑膜切除や遊離体切除など)を行い、疼痛の原因となる滑膜炎や関節内の機械的インピンジメントを改善させます。

終末期(Stage IV、V)では関節症性変化が明確となり、保存的・温存的手術での改善が得にくくなるため、人工関節手術が中心となります。関節窩側にも変形が及ぶ場合には人工肩関節全置換術(TSA)が選択され、除痛効果と機能回復に優れる治療として位置づけられます。一方で、関節の受け皿である関節窩の変化が比較的軽度である場合には人工骨頭置換術が検討され、骨頭側を置換することで疼痛と機能障害の改善を図ります。

参考文献)

・落合信靖:上腕骨頭壊死症の診断と治療.関節外科 42(8):838-844,2023.

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)

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