整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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DISEASE DETAILS 疾患一覧

肩の痛み

上腕骨頭壊死症

上腕骨頭壊死症は、肩関節を構成する上腕骨の丸い部分「上腕骨頭」への血流が障害され、骨の組織が壊死する病気です。進行すると骨頭の一部がつぶれ、肩の痛みや動かしにくさにつながります。

初期には症状が少なく、レントゲンでも異常が分からないことがあります。肩の痛みが続く場合は、五十肩などと決めつけず、原因を確認することが大切です。

三国ゆう整形外科では、診察・レントゲン検査を行い、必要に応じて連携医療機関でのMRIなどにつなげます。病気の進行度や生活への影響を踏まえ、保存療法から専門医療機関への紹介まで対応します。

このような症状・経過はありませんか?

  • 肩の奥が痛む、痛みが長く続いている
  • 腕を上げる、背中に手を回す動作がつらい
  • 夜間や安静時にも肩が痛む
  • 肩が動かしにくく、着替えや洗髪に困る
  • 肩の骨折や脱臼の後、痛みが続く・再び強くなった
  • ステロイドによる治療歴があり、肩の痛みが気になる

これらの症状は、五十肩や腱板断裂などでもみられます。症状だけで上腕骨頭壊死症と判断することはできないため、診察と画像検査を組み合わせて確認します。

上腕骨頭壊死症の原因

骨折・脱臼などの外傷

肩に近い部分の上腕骨骨折や脱臼骨折などにより、骨頭へ血液を送る血管が傷つくことで発症する場合があります。

発症のリスクは、骨折の部位やずれの程度などによって異なります。受傷直後には明らかでなくても、経過中に骨頭の変化が現れることがあります。

ステロイド・飲酒・基礎疾患など

外傷以外では、ステロイドの全身投与や多量の飲酒などとの関連が知られています。全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病、鎌状赤血球症、減圧症などに伴う場合や、明らかな原因が分からない場合もあります。

これらの要因があっても、必ず発症するわけではありません。ステロイドを使用している方は、自己判断で減量・中止せず、処方している医師にご相談ください。

症状と進行について

初期には無症状の場合もありますが、肩を動かしたときの痛みなどで気づくことがあります。骨頭の表面を支える骨が弱くなり、骨折や陥没が生じると、痛みや動かしにくさが強くなることがあります。

さらに進行すると、関節面の変形により、肩を動かした際の引っかかりや「ゴリゴリ」とした感覚が生じる場合もあります。

進行の速さには個人差があり、壊死している範囲や骨頭の陥没の有無が、治療方針を考えるうえで重要です。

診断・検査

肩の動きや痛む場所を診察し、外傷歴、ステロイドの使用歴、飲酒習慣、持病などを確認します。

レントゲン検査

骨の硬さの変化や、骨頭の陥没・変形、関節の隙間などを確認します。病期の評価や、過去の画像と比較して進行を調べるための基本となる検査です。ただし、初期にはレントゲンに異常が現れないことがあります。

当院撮影の肩関節レントゲン比較。左は上腕骨頭壊死症で骨頭上部が圧壊し、平らに変形している。右は正常な上腕骨頭で、なめらかな丸みが保たれている。

MRI検査

レントゲンでは分かりにくい初期の骨壊死を調べるために有用です。壊死の範囲や位置を確認し、進行のリスクや治療方針を検討する際にも役立ちます。当院でMRIが必要と判断した場合は、連携医療機関での検査をご案内します。

病気の進行度(Cruess分類)

上腕骨頭壊死症は、画像所見などから主に次の5段階に分けられます。

病期主な状態
Stage Iレントゲンでは明らかな異常がなく、MRIなどで壊死が確認される段階
Stage II骨の硬化や嚢胞状の変化がみられるものの、骨頭の丸い形は保たれている段階
Stage III軟骨の下の骨に骨折が生じ、三日月状の線や初期の陥没がみられる段階
Stage IV骨頭の陥没が進み、平らにつぶれるなどの変形が明らかになる段階
Stage V骨頭だけでなく、受け皿側の関節窩にも変化が及び、関節症が進んだ段階

病期だけで治療を決めるのではなく、壊死の範囲、痛み、肩の動き、年齢や生活への影響を合わせて判断します。

上腕骨頭壊死症の治療

保存療法|痛みを抑え、肩の機能を保つ

症状が軽い場合や、骨頭の陥没がない初期の段階などでは、保存療法を検討します。

  • 肩に強い負担がかかる動作や、重い物を持つ作業の調整
  • 消炎鎮痛薬などによる痛みの軽減
  • 病期と痛みに合わせたリハビリテーション
  • 背景にある病気や生活習慣への対応

リハビリでは、骨頭への負担に配慮しながら、肩の動きや筋力の維持を図ります。痛みを我慢して無理に動かすことは避けます。

保存療法は主に症状や機能の改善を目指すもので、壊死した骨を確実に元へ戻したり、進行を必ず止めたりする治療ではありません。 定期的に症状と画像を確認し、必要に応じて治療方針を見直します。

骨頭を温存する手術|主に陥没前の段階で検討

骨頭の陥没がない段階では、症状や病変の範囲に応じて「骨髄減圧術(core decompression)」などを検討する場合があります。

骨に細い通り道を作って内部の圧を下げ、血流や修復を促すことを目的とした手術です。主にStage I・IIが対象となり、関節を温存するための選択肢の一つです。

すでに陥没が始まったStage IIIでは、温存手術の効果が限られる場合があります。 陥没の程度や症状に応じて、人工関節を含めた治療を専門医療機関で検討します。

人工関節手術|陥没・変形が進み、生活に支障がある場合

骨頭の陥没や変形が進み、痛みや動かしにくさで日常生活に大きな支障がある場合は、人工関節手術を検討します。

受け皿側の関節窩の傷みが少ない場合は「人工骨頭置換術」、関節窩にも傷みがある場合は「人工肩関節全置換術」などが選択肢となります。実際の術式は、腱板の状態や骨の変形、年齢・活動内容なども踏まえて決定します。

手術には痛みや機能の改善が期待できる一方、感染、脱臼、人工関節のゆるみなどのリスクもあります。担当する医療機関で、期待できる効果とリスクについて説明を受けることが大切です。

当院での診療と専門医療機関との連携

当院では、診察・レントゲン検査による評価、薬による疼痛管理、状態に合わせたリハビリテーションを行います。

早期でも関節を温存する手術の検討が必要な場合があるため、進行してからではなく、適切な時期に肩関節を専門とする医療機関へご紹介します。

当院では手術は行っておりませんが、術後も手術を担当した医療機関の方針を確認しながら、リハビリテーションを支援します。

よくあるご質問

五十肩との違いは何ですか?

五十肩では主に関節周囲の組織の炎症や硬さが問題となりますが、上腕骨頭壊死症では骨への血流障害が背景にあります。どちらも痛みや動かしにくさが生じるため、診察や画像検査で区別します。

必ず手術が必要になりますか?

必ずしも手術が必要とは限りません。症状が軽く、画像で進行がみられない場合は、保存療法で経過をみることもあります。一方、病変の範囲や進行度によっては、早い段階で手術について相談することが大切です。

肩が痛くても運動してよいですか?

運動できる範囲は、骨頭の陥没の有無や痛みによって異なります。重い物を持つ運動や強い負荷は避け、診察で確認したうえで、無理のない運動やリハビリを行いましょう。

肩の痛みが続く方へ

肩の痛みの原因は、五十肩だけではありません。特に、肩の骨折・脱臼の経験がある方や、ステロイドによる治療歴がある方で痛みが続く場合は、早めにご相談ください。

三国ゆう整形外科では、原因と進行度を確認し、生活に合った治療と必要な専門診療につなげます。

参考文献

・落合信靖.上腕骨頭壊死症の診断と治療.関節外科 基礎と臨床.2023;42(8):838–844.

・Castillo Mercado JS, Rojas Lievano J, Zaldivar B, et al. Atraumatic osteonecrosis of the humeral head: pathophysiology and current concepts of evaluation and treatment. JSES Reviews, Reports, and Techniques. 2022;2(3):277–284.

・Sakai T, Sugano N, Nishii T, Hananouchi T, Yoshikawa H. Extent of osteonecrosis on MRI predicts humeral head collapse. Clinical Orthopaedics and Related Research. 2008;466(5):1074–1080.

・Scheidt MD, Aiyash S, Salazar D, Garbis N. Core decompression for early-stage avascular necrosis of the humeral head: current concepts and techniques. Clinics in Shoulder and Elbow. 2023;26(2):191–204.

・Dubin JA, Mirkin Y, Sax OC, et al. Core decompression is superior to nonoperative management for humeral head osteonecrosis: a systematic review. Journal of Shoulder and Elbow Surgery. 2023;32(10):2192–2200.

記事監修:曽我部 祐輔 医師(三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)

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