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フレイル
フレイル=「健康な状態と要介護状態の中間」
フレイルは病気というより、「Frailty(虚弱)」という概念で、「加齢に伴う予備能力の低下により、ストレスに対する回復力が低下した状態」と定義されます。健康な状態と要介護状態の中間とみなされ、活動量・身体機能・認知機能の低下がみられ、要支援・要介護への移行や認知症発症とも密接に関係します。
要支援(基本的な日常生活は自立しているが、一部介護・介助が必要な状態)と判定された高齢者はフレイルに相当すると考えられ、先行研究でも要支援高齢者の68.4%がフレイルと判定されています。つまり、フレイル予防は要支援状態への移行を防ぐことにつながります。

健康と要介護の「はざま」にあるサイン:多面的なフレイルを知る
「フレイル」は、単に「年をとって体力が衰えた状態」だけを指すのではありません。フレイルとは、健康な状態から要介護状態へ移行する中間の段階であり、以下の図のように3つのフレイルがあることが明らかになってきました。
フレイルの種類についてより詳しく
1. 身体的フレイル:運動器と体力の衰え
加齢に伴う筋肉量の減少(サルコペニア)や筋力の低下により、生理学的な機能が落ちてしまう状態を指します。 「歩くのが遅くなった」「階段の上り下りに手すりが必要になった」といったサインは、自立した生活を送るための基盤が揺らぎ始めている、医学的な症候群としての警告です。
2. 心理的フレイル:心のエネルギーの低下
心や脳の健康状態も、フレイルの重要な要素です。 気分が沈みがちになる、何に対しても意欲が湧かない、あるいは慢性的な疲労感に悩まされるといった状態を指します。これらは単なる「性格の変化」ではなく、心身の活力を維持するための精神的な機能が低下しているサインかもしれません。「認知的フレイル」は、身体的な衰えと、軽度の認知機能の低下が同時に起きている状態を指します。ただし、いわゆる「認知症」とは異なります。身体と脳の両面にアプローチすることで、進行を食い止めることができる段階と考えられています。
3. 社会的フレイル:社会とのつながりの喪失
人間は社会的な動物であり、他者との関わりが健康に大きく影響します。 定年退職や身近な人との別れ、あるいは地域活動への不参加などにより、社会的な資源や役割を失ってしまう、あるいはその恐れがある状態を「社会的フレイル」と呼びます。一人での食事が増えたり、外出の機会が減ったりすることが、実はフレイルの入り口になることが多いのです。

フレイルと骨粗しょう症・サルコペニアとの関係
フレイルは、体力・筋力・活動量の低下により、転倒や骨折が起こりやすくなった状態です。背景にはサルコペニア(筋量・筋力低下)と骨粗鬆症(骨密度低下)が関わり、筋力低下でふらつきが増える一方、骨が弱いと軽い転倒でも骨折につながります。椎体骨折や大腿骨近位部骨折は寝たきりや車いすのリスクを大幅に高め、ご本人だけではなく、ご家族の負担も大幅に増加してしまいます。
大切なのは、骨粗鬆症の治療とサルコペニア予防の運動を同時に進めることです。骨粗鬆症は自覚症状が乏しく進行しやすいため、骨密度測定などで状態を把握し、栄養・生活習慣の見直しに加えて、必要に応じた薬物治療を継続して骨折を防ぐことが重要です。
フレイルの検査
フレイルの判定基準のチェックリストは以下のようなものがあります。4つ以上、ピンクの枠に4つ丸が付いたらフレイルの兆候があると考えられます。

フレイルは治療することができますか?
多くの研究で、フレイルや筋肉の衰え(サルコペニア)は、「運動」と「栄養」を組み合わせることで改善できることが証明されています。単に「運動だけ」あるいは「食事だけ」に気をつけるよりも、両方を同時に行うことが克服への近道です。特に大切な3つのポイントをお伝えします。
1. 転倒と骨折を防ぐための「二段構え」
最近の研究(2024年)では、運動をするだけでは転倒は防げても、残念ながら「転倒による骨折」までは十分に防げないという報告があります。そこで重要になるのが、骨粗しょう症の治療を行いしっかり骨折を予防することです。軽い運動とビタミンDの摂取を組み合わせることで、転倒するリスクが大幅に減少したという心強いデータも出ています。
2. 「食べる力」を支える漢方の力
「食欲がない、体がだるくて動けない」という方もいらっしゃいます。当院では「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」などの漢方薬をご希望に応じて行っています。漢方薬には、
①食欲の改善( 食が細くなっている方の食欲向上)
②筋肉・機能の維持(体重減少や筋力低下を抑える)
③疲労回復(体内の炎症を抑えたり、抗酸化作用によって疲れにくい体づくり)
などの効果があります。
3.食べて動いてつながって!フレイル予防の「黄金バランス」
元気に過ごす鍵は「3つのバランス」です。大切なのは、①栄養の良い食事とお口の健康(しっかり食べる)、②無理のない運動や日々の活動(体を動かす)、③趣味や人との交流(社会とつながる)の3点。これらを偏りなく日々の生活に取り入れることが、健康維持の秘訣です。

当院での「フレイル克服」への挑戦
当院では、「弱って歩けなくなる状態」を未然に防ぎ、いつまでも自分らしく動ける体を維持するため、リハビリ、生活・栄養指導、お薬・漢方を組み合わせた多角的なアプローチを行っています。
「最近、足腰が弱くなったな」「食欲が落ちてきたな」と感じたら、それは体が発している大切なサイン。一人で悩まず、ぜひ当院のスタッフにご相談ください。リハビリ、栄養、そしてお薬の力を合わせ、一緒にフレイル克服にチャレンジしていきましょう。
参考文献
・フレイル : 人参養栄湯. 外科と代謝・栄養 59(2): 43-47, 2025.
・豊中市健康医療部健康推進課 働く世代にも知ってほしい!!「フレイル」を予防しよう. 2025年12月.
