整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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骨粗鬆症

関節リウマチ

放置で進む関節破壊は「早期診断」で止める

関節リウマチ(Rheumatoid arthritis: RA)は、自己免疫により関節の滑膜に炎症が起こり、放置すると関節破壊が進む慢性の全身性疾患です。日本での推定有病率は約1%と珍しくなく、朝のこわばりや手足の腫れ・痛みが続く場合は早めの受診が重要です。早期診断・早期治療によって関節破壊の進行を抑え、日常生活の質を保てます。当院では、早期発見から治療の継続・調整まで一貫して対応します。

原因(なぜ起こる?)

病因は完全には解明されていませんが、遺伝要因(HLA-DRB1の特定アリル、PADI4・PTPN22多型など)と環境要因(喫煙、歯周病、腸内細菌叢の変化、女性、吸入抗原など)が関与します。家族歴・職業歴・喫煙歴・歯周病の有無などの問診が診断の手がかりになります。

症状(こんなサインは要注意)

  • 手足の小関節(MCP・PIP・MTP)を中心とした痛み・腫れ
  • 朝のこわばり(起床直後に強く、しばしば1時間以上持続)
  • 左右対称の関節症状が多い
  • 倦怠感、微熱、体重減少などの全身症状
  • ※DIP関節や胸椎・腰仙椎の炎症はまれですが、DIPが痛むからといってRAを除外はできません。

血液検査

以下の項目が参考になります。

  • CRP上昇・赤沈亢進
  • リウマトイド因子(RF)陽性
  • 抗CCP抗体陽性(発症前から陽性になることあり)
  • 貧血、血小板増加 など
    無症候でも抗体陽性の方は慎重な経過観察が必要です。

画像検査(レントゲン・エコー・MRI)

  • X線:手根関節の橈側偏位、MCPの尺側偏位・亜脱臼、関節周囲骨粗鬆、bare areaの骨びらん、左右差の乏しい均一な関節裂隙狭小化
  • エコー:滑膜肥厚、血流増加の確認に有用
  • MRI:早期の骨髄浮腫や滑膜炎の評価に有用

診断(ACR/EULAR 2010分類基準の活用)

少なくとも1関節以上の腫脹(滑膜炎)があり、他疾患を除外することが大前提です。分類基準の感度は約82%、特異度は約61%とされます。臨床所見・血液・画像を総合して診断します。

治療目標(何を目指す?)

  • 関節破壊の抑制
  • 痛み・炎症のコントロール
  • 全身症状の改善とQOLの向上
  • 薬物治療が主体です。「薬はできるだけ使いたくない」というお気持ちは理解しますが、薬以外で十分に病勢を抑えることは困難です。

薬物治療(DMARDsが中心)

関節リウマチの薬物治療は、まず「DMARDs(免疫の働きを調整して病気の勢いを抑える薬)」を使います。DMARDsには、飲み薬中心の合成タイプ(sDMARDs:従来型のcsDMARDsと、分子を狙い撃ちするtsDMARDs)と、注射・点滴の生物学的製剤(bDMARDs)があります。最初の基本薬は多くの場合、csDMARDsのメトトレキサート(MTX)です(妊娠中や重い臓器障害がある場合などは使えません)。

MTXを始める前には、安全に使うために血液・生化学検査、胸部X線、肝炎ウイルスや結核のチェックを行います。開始後も、効き目と副作用を確認するために定期的な採血などを続けます。それでも症状のコントロールが不十分なときは、bDMARDsやtsDMARDsを追加したり、薬を切り替えたりして、炎症をしっかり抑えにいきます。

副腎皮質ステロイド(いわゆるステロイド)は、炎症を早く落ち着かせる目的で、少量を短期間だけ補助的に使うのが基本です(高血糖・高血圧・脂質異常などの副作用に注意が必要です)。それでも痛みが強く、関節の破壊が進んでしまった場合には、人工関節置換や関節固定術といった手術を検討することがあります。ただし、早い段階から適切な薬物治療を行うことで、将来の手術を避けられる可能性が高まります。

合併症:骨粗しょう症に注意

合併症として「骨粗しょう症」に注意が必要です。関節リウマチでは、体内の炎症を強める物質(炎症性サイトカイン:TNF-α、IL-1、IL-6など)の影響や、内服ステロイドの使用により、骨がもろくなりやすく、転倒などわずかな力でも骨折しやすくなります(脆弱性骨折のリスクはおよそ1.6倍と報告されています)。

予防と対策の基本は、まず病気そのものの勢いを抑えて炎症を落ち着かせ、ステロイドは必要最小限・できるだけ短期間にとどめることです。そのうえで、骨の強さを数値で確認できる骨密度検査(必要に応じて定期的に実施)を行い、結果に応じて治療を開始・調整していきます。

薬物療法が必要な場合は、デノスマブ(プラリア)などを選択することがあります。投与前には低カルシウム血症(血液中のカルシウムが下がる副作用)を避けるため、血清カルシウム値を確認し、安全性を確かめながら治療を進めます。早めの評価と適切な治療で、骨折の予防につなげていきましょう。

当院の役割(早期発見と維持治療)

当院は早期診断を最重要と考え、疑わしい症状があれば速やかに評価します。確定診断後は、RA治療に熟練した専門医へ紹介し、治療が安定した維持期は当院での継続管理も可能です。他院で改善が乏しい場合のセカンドオピニオンもご相談ください。

受診の目安(チェックリスト)

RFや抗CCP抗体の過去陽性を指摘されたことがある、もしくは以下の項目が一つでも当てはまる場合は、早めの受診をご検討ください。

・朝のこわばりが1時間以上続く

・手指や足指の腫れ・痛み

・原因不明の倦怠感・微熱が続く

参考文献

・関節リウマチの診断、間違われやすい疾患. 浅野 貴大. 『診断と治療』第111巻、第6号、2023年

・関節リウマチ 浮地太郎、『診断と治療』第111巻、第2号、2023年、ページ75

先生から一言

関節リウマチの治療で最も大切な点は、関節の変形が起こる前に早期治療を始めることです。当院ではガイドラインに従い、早期に詳しい検査を行い、関節が破壊されるまえに早期診断することを目指します。治療においてはクリニックで可能な範囲で行い、より専門的な治療が必要だと判断すれば、実績の豊富な専門診療科にご紹介します。

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