整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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あし(下肢) の痛み・しびれ

こむら返り

こむら返りとは

こむら返り(nocturnal leg cramps:NLC)は筋けいれん(等尺性筋収縮)によってふくらはぎの痛みを生じる疾患です。1回につき平均して約9分ほど持続するという報告があります。筋けいれんの発症部位はふくらはぎが最も多いですが、足部や大腿にも発生することがおおくあります(その場合はこむら返りとは呼びません)。筋けいれんは通常、夜間に起こることが多く、不眠症の原因ともなります。こむら返りの診断を確定するには病歴の聴取のみで十分なこともありますが、他の疾患との区別には注意が必要で、血液検査が有効です。

こむら返りの原因

原因としては、末梢血管疾患による血流不全、腰部脊柱管狭窄症、肝硬変、甲状腺疾患、血液透析、妊娠などの疾患が挙げられます。また、エストロゲン、ラロキシフェン、ナプロキセン、テリパラチドなどの薬も原因として関係するといわれています。睡眠中に起こる筋クランプは特に夜間下肢筋クランプ(nocturnal leg cramp)と呼ばれ、糖尿病罹患中は閾値が下がり発症しやすくなります。有痛性筋けいれん(こむら返り)は、筋肉の使いすぎ、ミネラル不足、脱水などが原因とされています。また、血液透析(hemodialysis;HD)患者では、たんぱく質制限によるカルニチンの摂取不足や、透析によるカルニチンの除去が原因となります。

高齢者の発症が多いため、まず背景の基礎疾患や原因薬剤がないかどうかを確認することが重要です。高齢者に多い理由の一つとして、座りがちな生活、それによる筋肉量の低下も原因とされています。このため、筋力訓練、ストレッチ、温冷浴は有効です。

こむら返りの症状

長距離走やサッカーなどの激しい運動の後半や運動後、睡眠中にふくらはぎの強い釣りを伴う筋肉痛が生じます。重症例では、強い痛みにより睡眠が妨げられ、日常生活に影響を及ぼします。また、妊娠時にも見られ、循環血液量の増加に伴う低マグネシウム血症が原因と考えられています。

難治例では、稀な疾患である全身こむら返り病(里吉病)、Isaacs症候群、stiff-man(person)症候群を考慮する必要があります。筋電図で安静時に異常放電があれば、脊髄運動ニューロンから末梢運動神経に至る過剰興奮や筋線維の興奮異常が考えられるため、筋電図検査を検討する必要があります。

こむら返りの検査

血液検査が有効で、脱水、電解質代謝異常(低カルシウム血症、低マグネシウム血症)、肝硬変、腎不全、甲状腺機能低下症などの原因を精査することが可能です。

筋クランプがいつ起こるのか(安静時、激しいスポーツ活動時、夜間、睡眠不足時、筋疲労時、運動時の暑熱環境など)について詳細に問診を行うことが重要です。ふくらはぎのみならず、様々な骨格筋に頻繁に繰り返し起こる場合は、病的な症状である可能性が高くなります。脊髄性筋萎縮症や多発神経炎などの神経原性筋萎縮をきたす疾患、下肢静脈瘤があるとリスクが高くなります。また、長期作用性β刺激吸入薬、降圧薬として使用されるCa拮抗薬やβ遮断薬、H2受容体拮抗薬、HMG-CoA還元酵素阻害薬、ある種の抗癌剤による薬剤性のものもあるため、薬剤内服歴の聴取も重要です。

こむら返りの治療

発作時には、他動的に筋肉をのばし、収縮を解除します。薬物療法では、芍薬甘草湯が有効です。寝る際に枕元に置いておき、症状が起きてから飲んでも十分であるとされています。芍薬甘草湯の長期内服には甘草による偽アルドステロン症のリスクがあり、低カリウム血症、血圧上昇を引き起こすことがあるため注意が必要です。常用量を長期間服用することは避け、発作時に頓用とて使用するか、連用する場合でも1日2包までとし、症状が改善したら服用を速やかに終了します。

他の漢方薬として、四物湯は芍薬甘草湯が副作用のために使えない場合や無効であった場合に試みます。甘草を含まないため使いやすいです。疎経活血湯は関節痛や筋肉痛がある場合に用います。甘草1gが含まれますが、長期間服用も可能です。八味地黄丸は下肢の冷えがあり、夜間頻尿や腰痛疾患などを伴う場合に良いです。甘草を含まないため使いやすいです。

中枢性筋弛緩薬であるエペリゾンの使用も一定の効果が期待できます。また肝硬変や血液透析患者に多いカルニチン欠乏は、骨格筋におけるATP欠乏を引き起こし、不適切な筋収縮を引き起こすため、レボカルニチンはこのような場合に内服を検討します。

こむら返りの予防法

こむら返りは一度発症すると繰り返されることが多く、予防が重要です。規則正しい生活を送り、十分な睡眠をとり、運動を定期的に行って下肢の筋肉を維持するように心がけましょう。

運動前後のゆっくりとしたストレッチ体操、運動・発汗後の塩分補給などが予防に効果的です。大量発汗や利尿薬による細胞外液と電解質の喪失が背景にある場合は、水分だけを摂取するとむしろ筋痙攣が出現しやすくなるため、OS-1などのMgイオン、Kイオン、Naイオンを含む経口補水液を飲用しましょう。

夜間下肢筋クランプは筋肉内温度の低下+静脈循環不全が関与している可能性があるため、特に寒い季節には下肢を温めることで症状の改善が期待できます。そのため、就寝前に足浴をしたり、吸湿性の木綿の靴下と分厚いニットのソックスを組み合わせ、さらに仙骨部にカイロを貼ることで循環が改善し、古村返りの予防に有効であると考えられます。

食事ではCaイオン、Kイオン、Mgイオンなどの電解質やビタミンB、ビタミンE、タウリン(シジミに豊富)を摂取するように努めましょう。

基礎疾患の治療や被疑薬の変更を検討することも大切です。

参考文献)

・「足がむずむずして眠れない」,「 足 が つ っ て 起 き て し まう 」への対応. 菊池徹哉 藤沼康樹. 生協浮間診療所

・日本医事新報 No.5131. 2022. 8. 27

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