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スポーツ整形外科
シンスプリント
シンスプリント(Shin splints)とは
下肢の代表的なスポーツ障害のひとつが「シンスプリント」です。医学的には内側脛骨ストレス症候群(MTSS)とも呼ばれ、すねの内側(くるぶしの少し上あたり)に痛みが出ます。ランニングをする方、特に長距離選手に多く、ランニング障害の中でも頻度が高いことで知られています。
シンスプリントは、はっきり1つの原因で起こる病気ではなく、状態は人によってさまざまです。一般的には、ランニングなどの繰り返し動作で、すねの内側に付着する筋肉や腱(後脛骨筋・ヒラメ筋・長趾屈筋など)が引っぱられ、脛骨の周辺に小さな損傷や骨膜の炎症が起きることで痛みが出ると考えられています。
以前は特定の診断名のように扱われることもありましたが、現在は「運動時に脛骨の周辺が痛む状態の総称」として捉えられています。なお、疲労骨折など別の病気とは区別して考える必要があります。

シンスプリント原因とリスク因子
シンスプリント(内側脛骨ストレス症候群:MTSS)の原因は一つに特定できず、主に「筋肉・腱が骨の付着部を繰り返し牽引して炎症が起こる」という説と、「脛骨(すねの骨)の骨皮質が脆弱化して変性が進む」という説が考えられています。
発症には、内的因子(年齢・体型/BMI・筋力低下・下肢アライメント不良〔扁平足・回内足など〕・柔軟性不足・下肢バランス)と、外的因子(硬い路面〔アスファルト/コンクリート〕・シューズの劣化/クッション性低下・練習量や強度の急増)が複雑に絡み合います。さらに動作面では、着地衝撃を吸収しにくいフォーム、足関節の過剰回内、蹴り出しで筋肉を使いすぎる走り方が脛骨への負担を増やし、下腿内側(くるぶし上付近)の痛みにつながります。
リスクファクターとして特に重要なのは、ランニング初心者、練習の期間・頻度・強度を急に増やしたケース、不整地や硬い路面での走行、そして扁平足(回内足)など足部アライメントの問題です。

シンスプリントの症状
典型的な症状は、運動後(または運動中)に出る、すねの内側(ときに外側)の痛みです。痛む部分を押すと強く痛み、一点の鋭い痛みというより、やや広い範囲が痛むことが多いのが特徴です。
初期は「走り始めに痛むけれど、体が温まると楽になる」こともあります。ところが放置すると、運動中ずっと痛むようになり、さらに悪化すると歩くだけで痛い、安静にしていても痛むなど日常生活にも支障が出ます。安静で改善するケースも多い一方、無理をして運動を続けると脛骨疲労骨折につながることがあるため注意が必要です。シンスプリントと疲労骨折は症状が似ており、治療期間や競技復帰の判断のためにも見分けることが大切ですが、判別が難しい場合もあります。痛みの原因は、骨や骨膜に負担がかかるタイプ、筋肉が骨を引っぱって痛むタイプなどがあり、動き方や体の使い方によって異なります。

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シンスプリントの検査
シンスプリントの特徴的な画像診断はなく、骨腫瘍や疲労骨折を除外するために行われます。単純X線画像では異常所見を認めないことが多く、MRI所見でも骨膜浮腫や骨髄浮腫が報告されていますが、異常所見が認められないことがよくあります。疲労骨折を強く疑うときはMRI検査が必要です。
シンスプリントの治療
痛みが強い急性期は、まずRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)を行います。RICEは、患部を休ませて炎症や腫れを抑える基本的な対処法です。
治療の中心は保存治療です。下肢に負担のかかるランニングやジャンプ動作はいったん休み、症状が落ち着いてきたら段階的にスポーツ復帰を進めます。安静期間の目安は2週間〜1カ月で、「休むべき時にしっかり休む」ことが回復を早め、悪化(脛骨疲労骨折など)を防ぎます。足部アライメントの問題が疑われる場合は、オーダーメイドインソールが有用です。当院ではスポーツインソール作製に対応できる装具会社と医療提携しています。
痛みが落ち着いたら、再発予防のためのリハビリ(リコンディショニング)を行います。フォームの見直し、ストレッチ、筋力強化、練習内容の調整が重要です。具体的には、ふくらはぎ(下腿三頭筋)のストレッチ、足首や母趾の可動域改善、足の動的アライメントの確認と修正、後脛骨筋の緊張改善、腰〜下肢の姿勢・動きのチェックなどを行います。シンスプリントは、スポーツ指導経験のある理学療法士によるリハビリが効果的なことが多く、当院の得意分野の一つです。
予防では、段階的に運動量を増やすこと(急な負荷増加を避ける)と、衝撃をうまく吸収できる動きの獲得が大切です。栄養面では、ビタミンDやカルシウムなどの状態を整えることがストレス骨折の予防に役立つ可能性があります。

参考文献
岡戸敦男, 吉原圭祐, 佐藤真樹:シンスプリントを有するアスリートに対するリコンディショニングとしての理学療法.理学療法 41(2):150-158, 2024.

先生から一言
陸上競技をはじめ、スポーツに励む成長期のお子様に多く見られるのが「シンスプリント」です。単なる使いすぎと軽視し、無理をして練習を続けると、稀に疲労骨折を招く恐れもあります。
当院では、スポーツ指導の経験豊富な理学療法士が、お一人おひとりの競技特性に合わせて丁寧にサポートいたします。お子様が全力でプレーを続けられるよう、まずは一度当院へご相談ください。