整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

06-6396-1374
診療時間
9:00~12:30 13:00
まで
× ×
14:45~18:15 × × × ×
                     
  • ※休診日 水曜午後・土曜午後・日曜・祝日
WEB予約 アクセス

DISEASE DETAILS 疾患一覧

肘の痛み

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

こんな症状の方はご来院ください

  • 物を「つかんで持ち上げる」「タオルを絞る」「ドアノブを回す」と肘の外側がズキッと痛む
  • カバンをもちにくい、ペットボトルのフタを開けにくい
  • 手首を反らす・マウス操作・フライパンを振る・草むしりなどの反復動作で痛む
  • 肘の外側のあたりを押すとピンポイントで痛みがある
  • 朝より午後~夕方に痛みが強くなり、仕事や家事がしにくい

三国ゆう整形外科では、症状の段階に合わせて、動作の見直し・リハビリ・装具・薬や注射を組み合わせ、早期の痛み軽減と再発予防をめざします。阪急宝塚線「三国駅」南口から徒歩約1分、国道176号線沿い。屋上に41台分の駐車場あり、受診の方には駐車券(無料)をお渡しします。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは

テニス肘は、テニスのバックハンドなどの反復動作で起こりやすい、肘の外側(上腕骨外側上顆)に生じる障害です。手首や指を伸ばす筋肉、とくに短橈側手根伸筋の腱が骨に付着する部分に負担がかかり、炎症だけでなく腱の変性が起こることで、肘の外側から前腕の甲側にかけて痛みを生じます。手首を反らす(背屈)・物をつかんで持ち上げる・前腕を回外する動作で痛みが強くなるのが特徴です。

治療は、まず痛みを悪化させる動作を控え、患部の負担を減らして炎症を鎮めます。次に、痛みが落ち着いてきたらストレッチや筋力トレーニング(前腕の伸筋群・握力・肩甲帯の安定化など)を段階的に行い、再発しにくい状態を目指します。十分な期間の保存療法でも改善が乏しい場合には、注射や装具の併用、最終的に手術治療を検討することがあります。痛みが長引く、夜間も痛む、日常生活や仕事に支障が大きい場合は、早めにご相談ください。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の原因と起こりやすい動作

テニス肘は30〜50歳代に多くみられ、テニスやバドミントン、ゴルフなどのラケットスポーツに限らず、仕事や日常生活での反復動作でも生じます。たとえば、ドライバーの長時間使用、重い物を運ぶ作業、草むしりなどで前腕の使い過ぎが続くと発症しやすくなります。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の病態

(難しい内容なので、読み飛ばしても大丈夫です)

病気の中心は「炎症」よりも、手首や指を伸ばす筋肉、とくに短橈側手根伸筋(ECRB)の腱が上腕骨外側上顆に付着する部分で起こる微小な断裂や変性です。腱付着部は神経や血管が少ないため修復力が弱く、負担が繰り返されると修復不全と再損傷を繰り返して、症状が長引いたり難治化したりします。組織学的には血管線維性過形成がみられる慢性腱症の一種と考えられています。 主病変はECRB起始部ですが、回外筋、長橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋などが関与することもあります。スポーツの反復動作、楽器演奏、タイピング、重量物の取り扱いなどで過負荷が続くと、腱に微小断裂が生じ、変性が進みます。喫煙や肥満は末梢循環の低下や線維芽細胞の機能低下を介してリスクを高める要因とされています。 一部の方では、関節内の問題が痛みの一因になることがあります。たとえば、肘関節の滑膜ひだが腕橈関節に挟まる滑膜ひだ障害、小頭や橈骨頭の軟骨損傷などです。こうした要素が重なると、ECRB付着部の部分断裂や外側関節包の変性・不安定性、滑膜炎、腕橈関節の初期変形性変化が併存して難治化しやすくなります。このような状態は、肘外側部をひとつの複合体としてとらえる概念で説明され、変性と瘢痕化が進むと橈骨頭の動きが妨げられ、肘外側インピンジメント症候群(LEIS)に至ることもあります。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の症状

手を握る動作や手首を反らす(伸ばす)と痛みが出やすく、タオルを絞る、ドアノブを回すといった日常動作が難しくなることがあります。痛みや圧痛は肘の外側から前腕の外側にかけて生じ、特定の動きで増悪します。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の検査

テニス肘では、手関節の背屈に抵抗をかけて痛みを再現するトムセン(Thomsen/Cozen)テストや、手関節を背屈するように椅子を持ち上げさせて痛みを誘発するチェアテストが陽性となりやすいです。痛みは肘外側~前腕外側に出現し、これらの抵抗動作で増悪します。

画像検査では、X線は多くの例で異常を認めませんが、変形性関節症や外傷後変化など他疾患の除外に有用です。まれにX線で付着部の石灰化を認めることもあります。超音波ではECRB起始部の肥厚や低エコー域などの異常所見を認めることがあります。MRIでは短橈側手根伸筋(ECRB)付着部の高信号(T2強調像)や肘外側の滑膜ひだを確認できる一方で、MRI所見は臨床症状と必ずしも一致しないため、当院では画像所見に過度に依存せず、問診・触診・誘発テストを総合して評価するようにしています。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の保存治療

テニス肘の多くは保存的に軽快します。まずは痛みを悪化させる動作を控え、必要に応じて手関節を固定して局所を安静にします。痛みが強い場合や安静の維持が難しい場合は、スプリントやギプスシーネで短期間固定することがあります。生活指導として、重い物は肘を曲げて体幹に近づけて持つ、前腕を回外して持ち上げるなど、伸筋群への負荷を減らす工夫をお伝えします。急な増悪時にはアイシングで炎症を落ち着かせます。

症状の緩和と再発予防には、理学療法が中心となります。痛みが落ち着いてきた段階で、前腕伸筋群のストレッチをゆっくり行い(10〜20秒保持を反復します)、肩甲帯や握力を含めた筋力トレーニングを段階的に追加します。等尺性から開始し、痛みに応じて等張性運動へ広げていきます。物理療法や電気刺激を併用して血流や柔軟性の改善を図ることもあります。

装具療法としては、エルボーバンドを用いてECRB付着部への負荷を軽減したり、手関節固定スプリントで伸筋群の活動を抑えたりします。短期的な痛みの軽減に有用とされますが、長期成績の優位性は一貫していません。患者さんの作業内容やスポーツ種目に合わせて選択いたします。

薬物療法は、外用剤や内服鎮痛薬で疼痛コントロールを図ります。ステロイド局所注射は急性期の症状改善に有効な場合がありますが、反復注射は腱の脆弱化や断裂のリスクがあるため、回数や間隔に十分注意します。

近年の選択肢として、PRP(多血小板血漿)療法、自己血全血、ドライニードリング、体外衝撃波治療(ESWT)などが報告されていますが、長期的な有効性については結論が出ていません。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の手術治療

保存治療(安静・装具・注射・リハビリ)を十分に行っても痛みが3〜6か月以上続き、日常生活や仕事に大きな支障が残る場合は、画像所見や関節内病変の有無を踏まえて手術適応を検討します。

まず関節鏡で肘関節内を観察し、滑膜ひだや橈骨頭を圧迫する軟部組織があれば切除します。続いて直視下に、Nirschl法に準じてECRB付着部の変性組織を切除し、上腕骨外側上顆を薄く削って小孔(ドリリング)をあけ、血流改善による治癒促進を図ります。術式にはほかに、短橈側手根伸筋腱を起始部から切離して適切な位置に再縫着する方法(Boyd法/Bosworth法)や、低侵襲な関節鏡下で外側滑膜ひだ切除やECRB起始部の処置を行う方法もあります。最適な術式は症状の程度、病態、生活背景により異なるため、経過に応じて計画を調整していきます。

当院では、保存治療で改善が得られず手術適応と判断される場合、手外科医が在籍する基幹病院へ速やかにご紹介します。

参考文献)

・私の治療 No. 5118 2022年5月28日 日本医事新報

・上肢のスポーツ外傷・障害 up to date::上腕骨外側上顆炎の保存・手術療法

・千馬 誠悦,鈴木 哲哉,佐々木 香奈,湯浅 悠介,齋藤 光,岩渕 圭一郎,宮腰 尚久.上腕骨外側上顆炎の手術治療.東北整形災害外科学会雑誌.2025;68(1):12-15.

・落合 信靖.上腕骨外側・内側上顆炎の病態について.関節外科.2024;43(8):786-792.

Information      連絡先

06-6396-1374           

お電話でのご予約はできません。