DISEASE DETAILS 疾患一覧
肩の痛み
変形性肩関節症
変形性肩関節症(Osteoarthritis of shoulder)とは
肩関節が加齢などの原因により変形し、安静時の疼痛や、運動時の疼痛をきたす疾患です。
変形性肩関節症には、基礎疾患がなく起こる一次性(primary OA)と、二次性(secondary OA)に分けられます。二次性変形性肩関節症の原因として外傷(骨折・脱臼)、関節リウマチ(rheumatoidarthritis:RA)、骨頭壊死、腱板広範囲断裂(cuff tear arthropathy)などがあります。
年齢とともに進行することが一般的であり、中高年以上の人々に多く見られる疾患となっています。日本で行われた疫学調査によると、40歳から80歳の一般の日本人を対象にした場合、レントゲンで確認できる変形性肩関節症の有病率は17.4%だったそうです。海外の研究結果と同様に、40代で1.8%、50代で9.6%、60代で14.7%、70代で26.9%、80代で27.5%と、年齢が上がるにつれて有病率が高くなる傾向が日本でも見られました
変形性肩関節症の原因とステージ分類
加齢や繰り返す負荷により軟骨がすり減り、骨棘形成、骨硬化、関節裂隙の狭小化・消失・骨嚢胞形成、骨頭や関節窩の変形(骨頭の扁平化や関節窩の摩耗による傾斜異常)などが起こると考えられています。
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変形性肩関節症の症状
活動中や夜間に肩の痛みを感じることが多く、可動域の制限のため肩の上げ下げや前後左右の動きが難しい、クリック音(肩を動かすときに関節から音がする)などの症状が出ます。
変形性肩関節症の検査
肩関節のX線検査にて、関節の変形を評価することができます。しかしX線で見られる変形の程度と痛みの強さには相関がなく、レントゲンでの変形が進んでも、必ずしも痛みが強くなるわけではないことに注意が必要です。高度な変形だから手術が必要、というわけではありません。
変形性肩関節症の保存治療
鎮痛薬などの薬物療法、関節内注射(ステロイドやヒアルロン酸)などが第一選択の治療となります。
リハビリテーションも有効です。これらの保存治療で改善を認めない時に手術療法が検討されます。
変形性肩関節症の手術治療
肩甲骨の後捻と上腕骨頭の後方への亜脱臼を伴う症例において、解剖学的な人工肩関節置換術を施した場合、手術後に上腕骨頭の後方への亜脱臼が再び起こり、ポリエチレンインサートの摩耗や肩甲骨コンポーネントの緩みが生じます。それに対してリバース型人工肩関節置換術は、もともと広範囲の腱板断裂を治療するために開発されましたが、その半拘束性の関節摺動面のおかげで、肩甲骨の後捻がある場合でも、上腕骨の亜脱臼を引き起こさないというメリットがあります。リバース型人工肩関節置換術の適用範囲は、これからもますます拡大していくと考えられます。
当院は資格を有する肩関節専門医が在籍する医療機関と提携し、必要に応じてご紹介しています。
参考文献)
・変形性肩関節症 ~病態,リスクファクター,治療の最新知見~ Pharma Medica, Vol. 39, No. 6202.
・Reverse shoulder replacement – Wikipedia
先生から一言
変形性肩関節症は加齢や骨折などの外傷により軟骨がすり減って起こる疾患です。投薬やリハビリ、注射で痛みがとり切れない場合は手術が検討されます。