DISEASE DETAILS 疾患一覧
けが(外傷)
突き指
「突き指」という言葉は、様々な外傷を含む
「突き指」とは、ボールや物が指先に直撃し、指を突いた形で受傷したケガの総称です。
正式な医学用語ではなく、主にレントゲン検査で骨折や脱臼といった明らかな異常が見られない指の外傷に対して「突き指」と診断されるケースが多く見受けられます。しかし、軽症であれば打撲や捻挫で済むものの、重症の場合は骨折や脱臼のほか、レントゲンには写りにくい軟骨損傷や靱帯・腱の断裂が生じていることもあります。
したがって、レントゲンで骨折や脱臼がないからといって「ただの突き指」と安易に判断せずに、悪化や後遺症を防ぐためにも、早期に正しい診断と適切な治療を受けることが非常に重要です。

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)
最終更新日:2026年7月24日
突き指の症状
指の腫れ、痛み、変形、動かしにくさ(可動域制限)などが挙げられます。怪我をした経緯やどのようにして怪我をしたのか受傷機転を詳しく聞くことが大切です。痛みが少ないと軽度と見られがちですが、そのために骨折や腱の断裂を見逃してしまうこともあるので注意が必要です。
突き指をしたときに起こりうる外傷
一言に「突き指」といっても一つの疾患ではなく、その中に様々な外傷を含みます。例えば以下のような外傷があります。
末節骨骨折、DIP関節の槌指(マレット指)、中節骨骨折、関節の脱臼、中節骨基部掌側骨折、基節骨骨折、関節の側副靱帯損傷、掌側版損傷、関節包損傷、屈筋腱断裂(指を曲げる腱の断裂)、伸筋腱皮下断裂(指をのばす腱の断裂)など、非常に多彩です。指の外傷は繊細で、診断や治療に経験が必要です。

突き指の検査
骨折や脱臼の有無を確認するため、まずは必須の検査としてX線(レントゲン)撮影を行います。正面、側面、斜位の3方向から撮影し、小さな剥離骨折が潜んでいないかを含めて詳細に観察します。特に小児の場合は、成長軟骨の損傷である「骨端線離開」が生じていることも少なくないため、注意深い診断が必要です。
また、X線画像では評価が難しい靱帯や関節包、軟骨などの損傷が疑われる場合には、必要に応じて超音波(エコー)検査やMRI検査を追加し、より正確な病態の把握に努めます。
突き指に対する応急処置
応急処置としては、一般的にRICE(安静、冷却、圧迫、挙上)を行います。指をアルミ製の副子で固定することもありますが、変形や不安定さが目立つ場合は隣の指と一緒に固定することがあります。バディーテーピング固定と呼びます。
突き指に対する治療
たとえ「単なる捻挫」と診断された場合でも、油断は禁物です。痛みや腫れが強いにもかかわらず適切な処置を怠ると、慢性的な痛みや腫れ、関節が動かしにくくなる可動域制限といった思わぬ後遺症を残す恐れがあります。そのため、症状に応じてギプスやシーネによる確実な外固定を行うことが重要です。
また、指の外傷は的確な初期対応がその後の機能回復を大きく左右するため、医師の技量が問われやすい分野でもあります。骨折や靱帯、軟骨、腱の損傷が疑われる場合は、手術の要否を速やかに見極める必要があります。具体的には、新鮮な打撲や捻挫、腱の断裂(腱性槌指)、ズレ(転位)のない骨折、あるいは中等度までの靱帯断裂などのケースでは、主に保存療法が選択されます。一方で、転位のある骨折や軟骨損傷、受傷から時間が経過した腱の断裂、不安定性の強い靱帯断裂などに対しては、手術療法が適応となります。
以下に、それぞれの疾患に対する具体的な治療法について詳しく述べます。
◎末節骨骨折
転位がなければシーネによる保存療法を行います。大きな転位がある場合は手術が必要となることがあります。下記の画像の親指の末節骨骨折では骨折部の転位が大きく、基幹病院に紹介、手術となりました。

【DIP関節(遠位指節間関節)】
突き指外傷の大半を占めるのが槌指(マレット指、マレットフィンガー)です。これはDIP関節の伸展機構が損傷し、指が完全に伸びなくなった状態を指します。
伸筋腱の停止部である終止腱のみが損傷した「腱性槌指」の場合、保存療法ではアルフェンスまたは専用の伸展型スプリントを用いて、中節骨基部から指先までを固定します。この際、DIP関節を(過)伸展位に保ち、6〜8週間固定した後、さらに2〜3週間は夜間のみ固定を行います。一方で、仕事などの事情で外固定を続けることが困難な場合は手術療法が選択され、DIP関節の経皮的鋼線固定術を行うことで外固定が不要になります。
また、末節骨の背側に骨折を伴う「骨性槌指」の場合、剥離した背側の骨片に終止腱が付着しているため、確実な骨癒合を図る必要があります。骨片の転位がない場合は、腱性槌指と同様の保存療法を行いますが、後から転位が大きくなったり骨癒合が遅れたりすることもあるため、注意深い経過観察が必要です。転位がある場合は基本的に手術療法の適応となります。骨片に圧迫力をかけて固定する「石黒法」という比較的簡便な手技が広く普及しており、術後4〜5週間の鋼線固定を要します。
【中節骨骨折】
中節骨骨折において、転位がない場合は保存療法としてアルフェンス固定を3週間行います。転位が大きい場合は手術療法が選択され、経皮的鋼線固定術やスクリューによる固定術を行います。
【PIP関節(近位指節間関節)の外傷】
PIP関節の外傷は、脱臼、骨折、靱帯断裂などを合併していることが多く、的確な診断と治療が求められます。骨折や脱臼がなく、側副靱帯断裂などの損傷にとどまる場合、中等度までの損傷であれば、隣り合う指と一緒にアルフェンス固定を1〜2週間行い、その後は隣接指とのテーピング固定(バディテーピング)を2〜3週間行います。重度の損傷では手術療法となり、専用の骨アンカーを用いた靱帯縫合術を施行します。脱臼がある場合は大半が背側への脱臼であり、牽引することで容易に整復できます。多くの場合で側副靱帯断裂を合併しているため、整復後の治療は骨折や脱臼がない場合と同様の経過をたどります。骨折を伴うものの関節が安定しているケースでは、まず脱臼を整復し、再脱臼の心配がなく骨片が小さい場合は保存療法を行います。しかし、再脱臼しやすい場合は、指を屈曲させた状態でアルフェンスを背側に当てて脱臼を防ぎつつ関節運動を許可する形で3週間固定するか、早期の安定化を図るために手術療法を選択します。粉砕骨折や脱臼骨折などで関節が不安定であり、整復が困難なケースは手術療法の適応となります。
【基節骨骨折】
基節骨骨折は、手のひら側(掌側)へ凸状に転位しやすいため、指を屈曲させた状態で徒手整復を行います。整復位が安定すれば、MP関節を完全に屈曲させた状態で3〜4週間のギプス固定を行います。末節骨より体幹に近い(近位の)外傷においては、隣接する指と一緒に固定するほうが安全です。なお、PIP関節は拘縮(関節が固まって動かなくなること)を起こしやすい部位であるため、3週間以上の固定は避けるようにします。
参考文献)
・日本医事新報 (5068): 43-44, 2021.
・吉川泰弘. 日本医事新報 (5158): 46-47, 2023.
・岩倉菜穂子. つき指. 日本医事新報. 2025;(5284):52-53.

先生から一言
突き指はただの捻挫ではないこともあります。しっかりとレントゲン検査を行い、骨折や脱臼などの外傷が隠れていないかを確認します。病態に応じて、手術も検討しないといけないことがあります。