整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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DISEASE DETAILS 疾患一覧

股関節の痛み

股関節インピンジメント

股関節インピンジメントとは

股関節インピンジメント(大腿骨寛骨臼インピンジメント)は、股関節を構成する大腿骨や骨盤の骨である寛骨臼の形態異常が原因で起こります。繰り返される動作によって関節軟骨や関節唇など股関節周辺の構造に負荷がかかった結果、微細な損傷や変性を引き起こす疾患です。Ganzらによって提唱された比較的新しい疾患概念であり、アスリートにおける股関節痛として知られます。

鼠径部や股関節の疼痛、そして特に内旋が制限される股関節の可動域制限が特徴です。

股関節インピンジメントの原因

原因としては骨盤の骨である寛骨臼の形態異常、大腿骨の主に先天的な形態異常があげられます。寛骨臼に骨形態異常があるものを「Pincer Type」、大腿骨に骨形態異常があるものを「Cam Type」、そして両方が合併する「Mixed Type」の三種類が存在します。どのタイプにおいても、一般的に関節唇の損傷が認められます。特に寛骨臼前上部が好発部位とされていますが、後下部にも損傷が見られることが報告されています。股関節周囲の骨形態異常に、スポーツなどによる繰り返しの股関節運動が影響を与え、そのインピンジメントの結果として股関節唇損傷や軟骨損傷が発生し、痛みを引き起こすと考えられています

股関節インピンジメントの症状

症状には、鼠径部の痛みや股関節痛、そして特に内旋が制限される股関節の可動域制限があります。股関節の屈曲や内旋で鼠径部痛が出やすくなります。

股関節インピンジメントの検査

前方インピンジメントテストが有効な徒手検査です。このテストは、股関節を90°屈曲させた状態で内転・内旋を行い、痛みが出現した場合に陽性と診断されます。

画像診断では、単純X線撮影やCTで、寛骨臼や大腿骨頸部の骨形態異常の有無を診断します。

また、MRIを用いて関節唇損傷の有無や程度を評価します。

日本股関節学会による股関節インピンジメントの診断指針

● Pincer typeのインピンジメントを示唆する所見

①CE角が240°以上

②CE角が230°以上で、Acetabular Roof Obliquity(ARO)が0°以下

③CE角が225°以上で、Cross-Over Signが陽性

特にCross-Over Signは偽陽性が生じやすいため、この場合にはCTやMRIを用いて寛骨のRetroversionの存在を確認することが推奨されます。

● Cam typeのインピンジメントを示唆する所見

①CE角が225°以上

②主要項目:α角が55°以上

③副要項目:Head-Neck Offset Ratioが0.14未満、Pistol Grip変形、Herniation Pitが含まれます。

これらの主項目を含む2項目以上の所見がある場合が該当します。

これらの画像所見を満たし、以下の臨床症状・股関節痛を有する症例は臨床的に股関節インピンジメントと判断されます。

①前方インピンジメントテストが陽性(股関節を屈曲・内旋位での痛み誘発を評価)

②股関節の屈曲内旋角度が低下している(股関節を最大屈曲位にて内旋角度を健側と比較)

股関節周辺に痛みを引き起こす他のスポーツ傷害

大腿骨頸部と寛骨臼縁が衝突する股関節インピンジメントと観月を要する疾患として、股関節唇損傷、恥骨結合炎などの器質的疾患を伴うものがあります。また、明らかな器質的原因がなく痛みを引き起こす鼠径部痛症候群などもあり鑑別は必ずしも容易ではありません。

股関節インピンジメントの保存療法

一般的には約70~80%が手術以外の保存療法によって症状が改善されます。保存療法には、日常生活動作の指導、リハビリテーション、投薬、注射が含まれます。日常生活指導では、痛みの出る動作を制限し患部を安静にします。

リハビリテーションでは、体幹や脊柱の柔軟性や可動域の改善、骨盤周囲の筋力強化(特に腎筋)、骨盤可動性の改善を行い、股関節への負担を軽減します。可動域訓練や拘縮がある股関節周囲筋のマッサージ、内腹斜筋や腹横筋などの機能訓練を行い、体幹から下肢の機能改善を図ります。これにより半数以上の症例が競技に復帰可能となります。投薬・注射も有効で、消炎鎮痛薬の内服や注射によって患部の炎症を抑えますが、ステロイドの頻繁な使用は避けるようにします。

股関節インピンジメントの手術療法

保存療法やリハビリテーションを行った後も3~6ヶ月以上経過しても症状が軽減しない場合、股関節の可動域制限が強く日常生活に悪影響を及ぼしている場合、日常生活では症状が改善するものの、活動性の高いスポーツで症状が残り競技継続が困難な場合には、手術が考慮されます。

手術方法としては、股関節鏡視下での関節唇修復術が一般的であり、関節唇の損傷部位を縫合することにより痛みを除くことができます。さらに、Cam Type の股関節インピンジメントの場合は、大腿骨頸部の骨膨隆部を切除・形成して骨形態異常の改善を図ります。

参考文献)

・金治有彦傾. 日本医事新報 55. 股関節インピンジメント(大腿骨寛骨臼インピンジメント)

・日本医事新報. No 4935.

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