DISEASE DETAILS 疾患一覧
スポーツによる障害
脛骨疲労骨折
脛骨疲労骨折(Tibial stress fracture)とは
スポーツなどによる反復的な負荷が脛骨(すねの骨)に繰り返し加わることによって生じる骨折です。部活などでハードなスポーツを続けていて、すねが痛くなる時は疲労骨折を疑わなくてはなりません。
脛骨疲労骨折の原因
走ったり、ジャンプをすることが多いスポーツにおいて、負荷が過剰に蓄積して発症します。ランナーや跳躍を伴うスポーツを行うアスリートに多いとされますが、急激な運動量の増加や不適切なトレーニング方法、足の不良なアライメント、不適切な運動靴など、さまざまな要因によって引き起こされます。
脛骨疲労骨折の症状
軽度では、日常生活では痛みを感じませんが、運動中あるいは運動後に痛みが発生します。特に走るまたは跳ぶことで痛みが増します。症状が進行すると日常生活でも、運動でも痛みが発生し、局所の熱感、圧痛が著明となります。重度になると骨折部に動きやずれが発生し、本格的な骨折となり運動が困難になることがあります。
脛骨疲労骨折のリスク因子
・スポーツや高負荷業務の長さ、強度、または頻度の急激な増加
・休養不足
・高強度トレーニングをする人(長距離ランナーなど)
・過去の疲労骨折の既往
・身体的コンディションが悪い、柔軟性がなくふくらはぎの筋肉が弱い
・硬い表面でのランニング
・扁平足または高い足のアーチ
・不適切なフットウェアや衝撃吸収能力が低い、または使い古したくつ
・骨の健康問題や骨の欠陥(骨粗鬆症、腫瘍、嚢胞を含む)
・代謝障害、ホルモンの問題、栄養障害(拒食症、過食症)
・女性の月経不順や停止
脛骨疲労骨折と鑑別を要する疾患
疲労骨折と鑑別が重要な疾患としてシンスプリントがあります。シンスプリントは骨膜炎、筋膜付着部炎が原因と考えられている脛骨の疼痛を伴うスポーツ障害です。疲労骨折では圧痛が限局しやすいのに対し、シンスプリントでは圧痛が限局せず、広い範囲に及ぶという傾向があります。
脛骨疲労骨折の検査
レントゲン検査(X線検査)で骨折の有無を確認します。初期の疲労骨折ではレントゲン検査のみでは骨折を指摘できないことも多いので、強く疑う場合は時間を空けてレントゲン検査を再試行するか、MRI検査が必要です。
脛骨疲労骨折の予防と治療
抗炎症薬、例えばイブプロフェンやナプロキセン、アセトアミノフェンが有効です。クーリングを、症状を悪化させる活動の後や2〜3時間ごとに10〜15分間行います。アイスパックまたはアイスマッサージを使用します。脛骨への負荷を軽減するためにブーツ、キャスト、ブレース、松葉杖が骨の治癒を保護するために使用されることがあります。
練習や競技前に適切なウォームアップとストレッチを行う、脚と足首の柔軟性、強度、持久力を維持することが大切です。しかし最も重要なのは「痛いときは無理せずやすむこと」です。休養に勝る薬はなく、どんなにリハビリやストレッチを頑張っても、無理して運動し続ければやがては骨折してしまいます。
疼痛の出現後、2か月程度は定期的に診察を行い、痛みがなくなるまで運動を中止します。レントゲンで骨折が見える状態であれば、ギプスなどの固定を行います。跳躍型・内果疲労骨折の場合は、骨の癒合するまでに長時間かかり、癒合しない可能性も高いとされます。確実にスポーツ復帰を希望する場合は手術も検討されます。
参考文献)
・1 Minute to Better Diagnosis & Treatment of Shin Splints. ChiroUp.
・スポーツ整形外科学. 新光堂.
先生から一言
一番の治療は「休むこと」これにつきます。痛みなく運動を続けたい場合は、当院でのスポーツリハビリテーションを検討する価値があります。