DISEASE DETAILS 疾患一覧
あし(下肢) の痛み・しびれ
重なり趾
重なり趾とは
生後すぐ、もしくは生後しばらくして、足の指が重なっていることに気付く場合があります。これは「カーリー趾」「オーバーラッピング趾」とも呼ばれ、足指が正常な位置からずれて隣の足の指の上に乗ったり下に入ったりする状態を指します。
重なり趾の原因
詳細については不明な点が多く残っていますが、以下のような要因があると考えられています。
遺伝的に生まれつき足の指が重なっている場合や、足の骨格が遺伝的に重なり趾を引き起こしやすい場合があります。特に、第2趾が長い「モートン趾」は重なり趾と関連していると考えられています。小さすぎる靴やつま先部分が狭い靴を履くことで、小指がずれて重なる原因となることがあります。特に、ハイヒールや先の尖った靴を履くことで徐々に指が重なるようになることがあります。関節リウマチは足の構造を変え、外反母趾や足趾が重なる原因となります。姿勢や歩き方も影響があると考えられ、歩行時に足が内側に過度に転がる「過回内症」は、外反母趾や足指が重なる原因と関連しています。また、ふくらはぎの筋肉が硬いと、足の球部に圧力がかかり、外反母趾や重なり趾を引き起こすことがあります。外反母趾、扁平足、ハンマートゥ、高い足のアーチなども重なり趾のリスクを高めます。
重なり趾の症状
足の指が重なることで、靴との摩擦や体重のかかり方のアンバランスさによって足に痛みが生じることがあります。たこや痛みを伴う魚の目ができることもあります。また、足の指が重なることによって引き起こされる二次的な状態として、足の球部が炎症を起こし、痛みを伴うメタタルサルジアがあります。
重なり趾の検査
見た目により、以下の3段階に分類されます。
Grade 1: 隣接する足指に完全に覆われていないため、足指の爪がすべて見える状態。
Grade 2: 隣接する足指に一部が覆われているため、爪の一部が隠れる状態。
Grade 3: 隣接する足指に完全に覆われているため、爪が全く見えない状態。
さらに、X線画像では以下の3つのgradeに分類されます。
Grade 1: 隣接する足指との間に軟部組織のみが重なる。
Grade 2: 軟部組織と趾節骨が隣接する足指に重なる。
Grade 3: 末節骨が隣接する足指の趾節骨に重なる。
重なり趾の保存治療
乳幼児の重なり趾はテーピングによって指を直線状に固定することで、改善させたり、治療することができます。きつすぎる靴は避け、足先のスペースに適度な余裕がある靴を選ぶことも重要です。治療は早ければ早いほど良く、子どもが歩き始めた後に開始すると、指が硬くなり手術が必要になる可能性が高くなります。
上記治療で改善せず、痛みなどの症状が残ったり、整容上の改善を期待する場合は手術が必要になることがあります。重度の外反母趾が合併したりや重度に重なった第5趾は、より手術が必要になる可能性が高くなります。
重なり趾の手術
手術法には腱移行術、FDL切離術、FDB切離術、および骨切り術があります。変形が高度である場合や変形矯正を希望する場合には、短縮が見られる屈筋腱を切離し、趾節骨の変形が見られれば矯正骨切りが検討されます。
参考文献)
・佐竹寛史. 重なり趾変形の特徴. 東日本整災会誌. 2017;29:437-441.