整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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骨粗鬆症

骨粗鬆症(骨粗しょう症)

骨粗しょう症 「寝たきりや要介護につながる恐ろしい病気」

骨粗鬆症は骨の量が減少し、骨の質が悪くなり、骨折しやすくなる病態のことを指します。骨折するまであまり症状がなく、ある日突然、ささいなけがで骨折してしまいます。「身長が縮んできた」「背中が曲がってきた」「慢性的な腰痛が続いている」などの症状を自覚されている方は、骨粗しょう症による「いつの間にか骨折」を起こしている可能性があります。寝たきりにつながる恐ろしい骨折です。

骨粗鬆症によるいつのまにか骨折を繰り返すことによって背中がどんどん曲がってきてしまいます
いつのまにか骨折を繰り返すことによって背中が徐々に曲がってきます

痛みがなく起こる「いつのまにか骨折」

椎体骨折(背骨の骨折)の約3分の2は無症状です。「あきらかな痛みが無く骨折を起こすことがある」のが恐ろしいところです。背中の痛みがある人だけを脊椎骨折の疑いとすると多くの骨折を見逃してしまうことになります。「背中や腰が曲がってきた(脊柱後弯変形)」「身長が低下した」(特に4cm以上は脊椎骨折を強く疑うとされています)「頭上のものを取りにくくなった」などから骨折を疑って、背骨のレントゲン検査と骨密度検査を行うことが重要です。

日本における骨粗鬆症の患者数は1280万人以上とも推定されており、骨粗鬆症による脆弱性骨折の発生件数は本邦の高齢化に伴い徐々に増加しています。骨折予防は、整形外科医の使命でもあります。

頭上のものが取りにくくなることは見逃されがちな骨粗鬆症によるいつの間にか骨折の症状です
頭上のものが取りにくくなることは見逃されがちないつの間にか骨折の症状です

骨粗しょう症のリスク因子

以下のような項目がリスクになることが知られています。

・高齢(加齢の伴い骨折リスクは指数関数的に上昇します)

・閉経後や加齢による女性ホルモンの低下

・運動量の絶対的不足(臥床安静、対麻痺、廃用症候群:いわゆる寝たきりに近い状態)

・無理なダイエット、やせ型

・タバコ(リスクは1.25~1.76倍に増大)

・過度の飲酒(リスクは1.38~1.68倍に増大)

・既存骨折(これまでに骨折したことがある方)

・骨折の家族歴(親の大腿骨近位部骨折で同部位の相対的リスクは2.3倍にもなります)

・骨量低下をきたす種々の疾患

関節リウマチ、糖尿病、腎障害、肝障害、アルコール依存症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性機能不全症、Cushing症候群、45歳未満の早期閉経、胃切除後などの吸収不良症候群、神経性食欲不振症、ビタミンAまたはD化上昇、ビタミンC欠乏症、骨形成不全症、Marfan症候群など・・・

・種々の薬剤

ステロイド、ワーファリン、メトトレキサート、ヘパリン、SSRI(抗うつ薬)、抗がん剤(性ホルモン低下療法)乳がんに対するアロマターゼ阻害剤、前立腺がんに対するアンドロゲン除去療法など・・・

骨粗しょう症の症状

骨粗しょう症そのものは症状を出しませんが、骨折を起こすことによってさまざまな症状が現れます。背中や腰の痛みが続く、身長が縮んできた(2㎝以上)、背中や腰が丸くなる(円背や亀背などの脊柱の後弯変形)などの症状があります。

また骨粗しょう症と動脈硬化は併存することが多く、糖尿病と同程度に心筋梗塞のリスクを高めます。さらに、高齢者の脆弱性骨折は、骨折後の生命予後不良の強力な予知因子であることが知られています。

骨粗しょう症による「ドミノ骨折」に注意

骨粗鬆症による骨折は連鎖的に生じることが特徴であり、骨折予防のために早期の治療介入が望まれる最大の理由となっています。胸腰椎の骨折は、その後の骨折リスクを約4倍に上昇させ、骨折連鎖を招きます。また、大腿骨近位部骨折後の反対側の再骨折率は約10%にも及びます。骨折により日常生活活動(ADL)が障害され転倒しやすくなることも原因と考えられます。

そのため、特に既存骨折を有する高齢者に対する積極的な骨折予防策が重要となります。骨粗しょう症の治療には薬物療法が主体となり、転倒予防にはサルコペニアやフレイルへの対策が主体となります。

骨粗しょう症の検査

①骨密度測定検査

当院では「腰椎」「大腿骨」で測定するガイドラインに準拠した骨密度測定機器「Prodigy Fuga C」を導入しています。保険適応で、予約不要で検査ができ、当日すぐに結果をご説明できます。

骨密度検査に基づいた骨粗鬆症の診断基準としては以下の3つの基準があります

・「大腿骨近位部骨折または椎体骨折がある」

・「大腿骨近位部・椎体骨折以外の脆弱性骨折」+骨密度<80% YAM(Young Adult Mean)」

・「脆弱性骨折がない」+「骨密度≦70% YAM(もしくは≦-2.5SD)」

・骨密度 70~80%では「骨量減少」と判断されます。骨粗鬆症予備軍として生活習慣指導、定期的な骨密度検査フォローが必要です。

②胸腰椎のレントゲン

「大腿骨近位部骨折または椎体骨折をしたことがある」場合は、骨密度が正常範囲内でも骨粗しょう症と診断されます。大腿骨骨折は見逃されることはありませんが、椎体骨折はいつの間にか骨折として見過ごされていることがあります。したがって、骨密度検査のみではなく胸腰椎移行部のレントゲン検査(椎体の正面・側面・前後屈像)が必要です。

③血液検査

肝機能、腎機能、血中カルシウム濃度に加えて、「骨代謝マーカー(Tracp-5b、P1NPなど)「ビタミンD」を測定します。骨代謝マーカーを調べることで骨を「作る」「壊す」のバランスの崩れ方を判定できます。骨粗鬆症の治療に血液検査は必要不可欠で、骨の新陳代謝の異常、使えるお薬の種類がわかるだけではなく、骨粗しょう症以外に腰痛や関節痛をきたす病気(白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫)が隠れていないかを見つけ出す目的もあります。

骨粗しょう症の治療

運動(背筋強化、下肢筋力訓練、転倒防止のための歩行訓練)、食事、日光をしっかり浴びることが治療の基本となります。しかし生活習慣の改善のみでは治療が難しく、薬物治療が重要です。「既存骨折はないが骨折リスクのある患者さんに対して骨折を生じさせない一次予防」と「既存骨折がある患者さんに対して再骨折を防ぐ二次予防」に分けて考えることがポイントです。骨粗鬆症治療薬には「骨吸収抑制剤」、「骨形成促進剤」、「骨代謝改善薬」の3種類があります。

① 骨吸収抑制薬
・ビスホスホネート

・デノスマブ(抗RANKL抗体)

・SERM (Selective Estrogen Receptor Modulator):SERMは脂質代謝異常(高コレステロール血症など)を改善し,(エストロゲン受容体陽性)乳癌の発生リスクを抑制するという嬉しい副次効果があります。比較的若年で生活習慣病を伴った骨粗鬆症には,骨質改善効果を持つSERMをまず検討します。

・カルシトニン

・ロモソズマブ(抗スクレロスチン抗体):骨形成促進作用だけでなく骨吸収抑制作用もあります

使用する薬ごとに少ないながらも副作用がありますが、骨粗鬆症を放置すればまた骨折を起こしてしまいます。したがって、治療で得られるメリットは副作用のリスクに勝ります。無リスクで、全く副作用のない薬というのは残念ながら存在しないといえます。薬を投与するか否かはリスクとベネフィット(利益)のバランスを考慮して行うことになりますが、骨粗鬆症は特にベネフィットの大きい疾患と考えられています。

ビスホスホネート、デノスマブなどに特有の合併症として顎骨壊死があります。顎の骨が溶けてしまう合併症が、口の中の状態が悪い人に起こることがあります。虫歯(齲う歯し)があったりして抜歯などの治療が必要な人には、先に歯科で口の中の治療を行ってから骨粗鬆症の治療を開始します。また、非定型大腿骨骨折は、骨吸収を抑える薬を長期間にわたって使用することで骨のしなやかさが失われ、大腿骨を骨折してしまうものです。いずれも発生頻度は低く、それよりは骨粗鬆症による脆弱性骨折のほうが圧倒的に高リスクであるといえます。

② 骨形成促進薬
テリパラチドやロモソズマブ(抗スクレロスチン抗体)があります。骨形成促進作用だけでなく骨吸収抑制作用もあります。

③ 骨代謝改善薬
活性型ビタミンDやビタミンK2があります。①、②と併用して用いる薬剤です。

「骨折の連鎖」を断つ!当院は骨折・寝たきりを全力で予防します

骨粗鬆症の発見・早期治療をしっかり行うことにより骨折を予防することが可能です。健康寿命を伸ばしていつまでも元気に、自分のやりたいことができる人生を目指しましょう。また加齢や運動不足、廃用によって筋肉、特に背筋が弱い人も圧迫骨折を起こしやすく、リハビリテーションで筋力訓練を行うことも重要です。

すでに骨折を経験してしまった方でも治療は必要です。脆弱性骨折をきたした方は連鎖骨折(ドミノ骨折)をきたしやすいことを患者さま、ご家族に知っていただくことも大切です。

三国ゆう整形外科は「患者さんに骨折をおこさせない!」をモットーに、生涯元気に生きるお手伝いをします🍀

先生から一言

女性では50歳くらいから骨量が低下し始めますので、閉経後は一年に一度、男性では70歳以降の方は定期的に骨密度の検査をすることをおすすめします。
骨粗しょう症が引き金となる骨折は寝たきり、要介護につながります
生涯元気に、自分らしく過ごすためにまずは検査行い、しっかり治療を継続していきましょう
骨折したことがある方、骨粗鬆症の検査を受けてみたかったけどなかなか受診する機会がなかった方、高齢のご家族が心配なかたなど、あらゆる悩みに全力でサポートを行います

三国ゆう整形外科の最大の使命は、骨粗鬆症による脆弱性骨折を予防し健康寿命を最大限のばすこと、そしていつまでも自分らしく元気に生きるお手伝いをすることです

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