DISEASE DETAILS 疾患一覧
スポーツによる障害
アキレス腱付着部症
アキレス腱付着部症とは
アキレス腱は下腿の太い筋肉(下腿三頭筋)が踵の骨に付着する部位に存在します。歩行、ランニングなど足の筋肉が働くとき強いストレスがかかる場所でもあるため、マラソン、ランニングなど長距離走による使い過ぎ(Overuse)によってアキレス腱の踵骨付着部に疼痛が生じます。
アキレス腱付着部症の原因
主な原因は使い過ぎ(オーバーユース)です。急な練習量の増加、固い地面での反復運動、サイズの合わないシューズや硬いヒールカウンターの圧迫、ふくらはぎ(下腿三頭筋)の硬さ・柔軟性低下などが関係します。かかとの骨の出っ張り(骨棘)や形の個人差が負担を強めることもあります。
アキレス腱付着部症の症状
かかとの後ろの痛み・腫れ・熱感、朝のこわばり(最初の数歩がつらい)、つま先立ちや階段・ダッシュでの痛みがみられます。押すと痛い“点(圧痛点)”があり、運動を続けると悪化しやすくなります。
アキレス腱付着部症の検査
診察では痛む場所や動作での痛み方、ふくらはぎの柔軟性を確認します。レントゲンで骨の形や骨棘の有無を評価し、必要に応じて超音波で腱や滑液包の炎症、MRIで腱の変性や周囲の状態を詳しく調べます。アキレス腱断裂など他の疾患が疑われる場合はその鑑別も行います。
アキレス腱付着部症の治療
スポーツによる使い過ぎ(Overuse)が原因として明らかな場合は、まずは競技を休むことが最も重要です。完まずは保存療法(手術以外)が基本です。痛みが強い時期は、競技や走行距離を減らし、症状に合わせて段階的に再開します。
理学療法では、ふくらはぎのストレッチや足関節の可動域改善を行い、下腿三頭筋の柔軟性を高めるためのリラクゼーションや、アキレス腱に過度な負担をかけない範囲での筋力トレーニングを実施します。装具・シューズの工夫として、ヒールリフト(かかと上げインソール)の使用やクッション性の高いシューズへの変更で負担を軽減します。
薬物療法では痛み止め(NSAIDs)や湿布を適切に用い、物理療法としてはアイシングや超音波・衝撃波治療を症状に応じて併用します。炎症が強い滑液包に対しては、医師の判断で注射を行う場合もあります。これらの保存療法で多くは改善し、痛みの軽減に合わせて数週〜数か月を目安に段階的なスポーツ復帰を目指します(個人差があります)。
それでも長期間(例:6か月以上)の保存療法で改善が乏しく、日常生活や競技に大きな支障が残る場合は、腱付着部周囲の癒着や変性組織、骨棘の処置などを行う手術を検討します。術後は理学療法で再発予防を目的に柔軟性と筋力の回復を図り、フォームの修正も合わせて行います。

受診の目安
・歩行だけでも強い痛みが続く/夜間痛がある
・つま先立ちが困難、腫れや赤みが強い
・運動量を減らしても数週間以上改善しない
これらに当てはまる場合は、早めの受診をご検討ください。

先生から一言
アキレス腱付着部症は、運動による使い過ぎで起こりやすい足の痛みです。運動量が多い方や成長期の方にみられます。痛みが強い場合は、一時的に運動を休むことがあります。ストレッチや下腿三頭筋の柔軟性を高めるリハビリテーションを、症状に合わせて提案します。