整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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スポーツによる障害

アキレス腱断裂

アキレス腱断裂とは

アキレス腱は足関節の後方、下腿三頭筋が踵に付着する部位の腱です。足関節を底屈させる働きがあります。多くはジャンプや蹴りだし動作を伴うスポーツで断裂します。

アキレス腱断裂の原因

アキレス腱断裂の大部分、約60~80%はスポーツ中の受傷によるものです。特に、30~40歳代でスポーツ中の受傷が多く、50歳以上では日常生活中の受傷が増える傾向が見られます。男性に多く、左足の発症が多いとされます。種目では、バドミントン、バレーボール、サッカー、テニスなどでの受傷が特に多いです。急な切り返し動作、ジャンプを伴う競技は高リスクと考えられます。

リスク因子として、ステロイドの注射や一部の抗菌薬(ニューキノロン)の使用は、アキレス腱断裂のリスクを高める可能性があるといわれています。脂質異常症、人工透析、副甲状腺機能亢進症、関節リウマチなども原因となることが知られています。

アキレス腱断裂の症状

下腿三頭筋の筋力低下があり、つま先立ちができなくなります。歩行困難となることも多いですが、歩行が可能なケースもあり、注意が必要です。

アキレス腱断裂の検査

触診で断裂したアキレス腱部の陥凹を触れます。画像検査では、MRIや超音波検査が有効です。特に、超音波検査はMRIよりも手軽で低侵襲なため、治療方法の選択や経過観察に役立ちます。保存治療を選択する場合は、超音波検査で足関節の最大底屈時に腱の断裂部が接触するかを確認しておくことが重要です。

また、骨折や他の疾患の鑑別診断の際には、単純X線検査も効果的です。X線検査では Kager Sign陽性となることもあります。

アキレス腱断裂の保存治療

短下肢のギプス固定や荷重制限を行います。ギプスでの外固定後、短下肢装具を使用して早期運動療法を開始します。仕事などの都合にて頻回の通院が難しい場合は、ギプスを長期使用せざるを得ないケースもあります。従来の保存治療は手術治療と比べると再断裂率が高いという問題がありましたが、最近は早めにリハビリを開始することで、保存治療の結果が向上し、手術治療と同等の効果が期待されるようになりました。

アキレス腱の再断裂

アキレス腱の再断裂リスクが高いとされるのは、特に装具や外固定を外して2か月以内です。外固定の終了後に足関節が急激に強制背屈されないよう注意することが大切です。階段や段差を踏み外したりしないように気を付けましょう。受傷から4.5か月経過したのちは再断裂はほぼなくなります

当院における保存治療プラン

古府ら、上甲らの方法を参考にし、早期荷重歩行(immediate weight-bearing)を行っています。まずはギプスないしシーネによる足関節底屈位固定を2~3週間程度行ったのち、楔状パッドにて足関節の角度が調整可能な機能的装具に付け替えます。装具装着後は速やかに荷重歩行を許可し、1~2週間ごとに装具の中のパッドを除去して足関節を徐々に中間位に近づけていきます。装具を外した状態での足関節の底屈運動も開始します。リハビリテーションでは装具装着での荷重歩行の安定性向上、膝や股関節などの他関節の拘縮予防、足関節の自動運動を中心に行います。11週目で装具を除去、6か月目で水泳や軽いジョギングなどの運動への復帰を許可します。元のスポーツへの復帰は7か月目以降を目指します。

リハビリでは荷重歩行の安定性向上、膝や股関節などの他関節の拘縮予防、足関節の自動運動を行います
リハビリでは荷重歩行の安定性向上、膝や股関節などの他関節の拘縮予防、足関節の自動運動を行います

アキレス腱断裂の手術治療

断裂した部分を直接縫合する手術は、再断裂率が低いとされ、活動的な患者さんにも適しています。手術後は早期から積極的に理学療法を開始することが大切です。手術加療の最大の利点は腱を強固に縫合するので、術直後から早期運動療法を行っても腱延長が起こりにくいということです。腓腹筋の萎縮が少なく、より早期に筋力回復が見込めることが、トップアスリートにとっては手術を選択する根拠となっています。

術後の回復度を評価する方法として、heel raiseテストがあります。壁に向かって立ってもらい、軽く手を壁につけてバランスをとりながらつま先立ちをし、どれだけの高さまで踵が上がるかを確認します。健常な側と比較して、踵が1/2以上の高さまで上げられれば、heel raiseが可能と判断します。そして、何回つま先立ちができるかは、スポーツに復帰する際の活動量を決定する参考になります。

参考文献)

・スポーツ整形外科学.文光堂.

・整形外科看護 2022 vol.27 no.11.

・保存療法で直す運動器疾患.全日本病院出版会.

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