整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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けが(外傷)

スキーヤーズサム

スキーヤーズサム(Skier’s thumb)とは

スキー競技による母指中手指節(MP)関節の尺側側副靭帯(UCL)損傷のことを指します。「スキー母指」や「スキーヤー母指」、「skier’s thumb」などとも呼ばれます。

スキーヤーズサムの原因

転倒やスポーツ、ブレイクダンス、物が当たる、瓶の蓋を開けるなど、多くの原因が報告されています。実際にはスキーよりも手をついての転倒による受傷が多いと考えられています。

共通している要因は、母指の外転(側屈)強制です。スキーでは握っているストックや転倒した際に手をつくことで、母指の外転が強制されます。スキーの種類、例えば滑降やクロスカントリーなどを問わずに発生し、全スキー外傷の9.5%を占めるとされています。

スキーヤーズサムの症状

受傷機転やその際に指がどのような状態であったかを確認します。UCLの付着部や靭帯に沿った圧痛は特に重要で、スキーヤーズサムを強く疑う根拠になります。

スキーヤーズサムの検査

側方動揺性を評価するストレスX線撮影によって靭帯の損傷の重症度を評価します。疼痛をとる麻酔をしてから、MP関節を伸展・屈曲0°でストレスX線写真を撮影しています。母指MP関節において、35°以上の側方動揺性がある場合、または健側との差が10°以上の場合は、靭帯の完全断裂を疑い、それ以下の場合は靭帯の部分断裂が強く疑われます。またUCL損傷では基節骨底部の裂離骨折を合併することが多く、手術が必要なケースの60%に存在するとされています。

UCL損傷は、特に遠位側(基節骨側)から断裂することが多いとされ、MRIで確認することができることもありますが、治療方法の選択にはあまり役立ちません。

Stener損傷とは?

遠位側から断裂したUCLは、受傷外力の大きさによっては、内転筋腱膜を越えてしまうことがあります。その外力が取り除かれて、基節骨以遠が原位置へ戻る際、UCLは母指内転筋腱膜の近位縁によって反転され、その断裂端が近位を向いたままの状態になることがあります。この状態をStener損傷といい、母指MP関節UCL損傷の64~87%に認められます。

スキーヤーズサムの治療

ストレスX線写真でUCLの完全断裂が疑われる場合は手術療法を、それ以外の部分断裂に対しては保存療法を適用します。部分断裂が疑われる場合でも、母指MP関節尺側の圧痛が著明な若年者や、3週間の保存療法中に圧痛の軽減が認められない場合には手術療法が検討されます。ただし、UCLの完全断裂と部分断裂を厳密に区別することは難しく、手術するか否かの判断は簡単ではありません。

◎保存療法
MP関節が外転力が加わらないようにやや屈曲位で、母指ギプス包帯で3週間固定します。

◎手術療法

断裂した靭帯を縫合したり、アンカーなどを用いて修復します。術後は概ね3週間のギプス固定を行います。術後に圧痛や不安定性が残った場合は、UCLの再建術が必要になることもあります。

保存治療でも、手術でもMP関節の可動域が減少し、関節部の腫脹が残る事があります。特に手術療法では可動域制限が残りやすく、腫脹や痛みの軽減にも時間がかかる場合があります。MP関節は母指の「key joint」であるので、痛みなく使えることが、可動域獲得よりも優先されます

参考文献)

・手のスポーツ外傷・障害 -skier’s thumb 臨床スポーツ医学:Vol. 35, No. 3(2018-3)

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