DISEASE DETAILS 疾患一覧
手首・手指の痛み
プライサー病
プライサー病(Preiser病)とは
手関節の疼痛を生じる原因不明の疾患で、手の舟状骨に発生する無腐性骨壊死症です。本疾患は何らかの原因で骨髄内の血流が障害されることによって発生すると考えられていますが、不明な点が数多く残っています。外傷の有無に関係なく、一般に舟状骨全体の壊死例をPreiser病と呼んでいますが、症例数が非常に少なく、自然経過や予後についてもまだ明らかになっていません。
プライサー病の原因
舟状骨の骨髄内の血流が何らかの理由で不全となり、その結果骨壊死が発生する(無腐性骨壊死症:感染症による壊死ではないということ)と推測されています。成人に多く発生すると報告されていますが、発生頻度が極めて低い稀少疾患です。
プライサー病の症状
多くの報告では手関節の圧痛や運動時の痛みが主な訴えです。
プライサー病の検査
X線は壊死の範囲によって様々な所見を呈することがあり、硬化・圧潰・嚢腫様変化・分節化などがみられます。X線所見からの鑑別疾患として最も考慮すべきは舟状骨の不顕性骨折であり、両者の鑑別は時に困難です。その他、先天性の二分舟状骨や舟状骨に発生する骨腫瘍(転移性骨腫瘍、内軟骨腫、骨内ガングリオンなど)および腫瘍類似疾患(骨嚢腫など)との鑑別も必要となります。本症候群の確定診断には、手術時に採取した病理組織所見から骨壊死の像を確認することが必要です。MRI検査では壊死の範囲を推定することができ、有用な検査です。
プライサー病の治療
舟状骨の摘出や近位手根列切除術など様々な方法が報告されていますが、骨壊死の範囲によって選択されるべきであると考えられています。壊死の範囲が狭い場合は、局所安静とX線による経過観察のみ、またはドリリングなどの手術を選択することができます。皮質骨の連続性が失われ不安定性がある場合には、舟状骨偽関節手術に準じた骨移植術が必要となります。舟状骨全体に骨壊死が及んでいる場合には、摘出後のスペーサー挿入術や手根骨間固定術なども検討されます。
プライサー病自体が非常に少なく、まとまった報告がないため予後については不詳です。しかし、一般的な骨壊死疾患と同様に、壊死範囲によって本症候群の予後は左右されると推察され、圧潰が比較的軽度であった症例では、血管柄付き骨移植で満足な結果が得られたとする報告も散見されます。
参考文献)
・骨,関節,結合織. 北里大学東病院整形外科 二見俊郎
先生から一言
プライサー病は非常にまれな、手関節の疼痛を生じる疾患です。舟状骨という骨の壊死が原因ですが、なぜ起こるのかは明らかになっていません。