整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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DISEASE DETAILS 疾患一覧

股関節の痛み

化膿性股関節炎

化膿性股関節炎(Septic arthritis of the hip joint)とは

股関節に細菌が侵入して起こる重大な感染症です。

感染による炎症は、抵抗力がまだ十分に発達していない幼い赤ちゃんに発生しやすいとされます。

骨が成長する過程で重要な役割を果たす成長軟骨に損傷を与えるリスクがあります。

まれですが、生命や後遺症の危険がある重大な感染症です

化膿性股関節炎の原因

扁桃腺の感染など、他の部位で起こった感染がもとになって細菌が血管内に侵入し、血流にのって股関節に到達すると考えられています。詳細は不明な点も多く残されています。

化膿性股関節炎の症状

歩行が難しいほどの股関節や大腿部の痛みがあり、しばしば38℃を超える発熱がでます。この発熱と痛みによって、疲れ切ったような様子が見られます。股関節には腫れがあり、関節内の圧力が高まることで、股関節が曲がり、外側に開き、外向きに回る姿勢を取ります。この痛みは非常に強く、立っていることや自分で動くことができません。診察の際には、痛みのために激しく抵抗したり、下肢を動かそうとしない仮性麻痺を示すことが特徴的です。

Buxtonらは、乳児期までの発症症例は成績が不良だと報告し、和田らは、発症年齢が低いほど成績が不良であると報告しています。すなわち、発症年齢が低いほど関節機能の低下が残るリスクが高くなるため、速やかに診断して適切な対応を行うことが重要です。

化膿性股関節炎の検査

38.5℃以上の発熱および股関節痛を認める場合には特に本疾患を疑います。

画像診断では、単純X線撮影、超音波検査、MRIが有効です。初期段階では単純X線撮影では骨の変化は見られないものの、関節液の貯留が見られ、これが骨頭の側方への移動による関節隙間の拡大を示します。超音波検査でも関節の水腫が見られます。MRIは、関節の水腫だけでなく、周囲の軟部組織への炎症の広がりや骨髄炎の有無を調べるのに特に有効です。

血液検査では、白血球数、血沈速度、C反応性蛋白(CRP)など、炎症反応が上昇します。血沈速度は化膿性股関節炎の80%の症例で上昇が見られる一方、白血球数の増加は約1/3の症例にのみ見られるという報告もありますので、血沈速度の測定が推奨されています。

画像診断で関節の水腫が確認され、血液検査で炎症反応の上昇が見られた場合は、関節穿刺が行われます。関節液は、白色から黄色で濁った膿汁が確認できます。関節液の培養やグラム染色で菌体が確認されれば、化膿性股関節炎と診断されます。抗菌薬の先行投与が行われている場合は、培養で菌体が同定されないこともあります。起炎菌が培養で同定されるのは30%~80%であり、培養で菌がでないからといって感染を否定することはできません。

右の大腿骨頭が感染によって溶けてなくなっています

Hip Septic Arthritis – Pediatric – Pediatrics – Orthobullets, ORTHO

化膿性股関節炎の治療

治療の目的は、感染を早期に治療することにつきます。関節軟骨損傷、骨端線の損傷、大腿骨頭の壊死などの後遺症を防ぐために重要なのは、とにかく早期診断、早期治療です!感染の早期コントロールと後遺症の防止には、関節内の圧を下げ、洗浄するために関節を切開して膿を排出します。最近では股関節鏡を用いた戦場を行うこともあるようです。

抗菌薬の使用は、診断が確定次第、早期に始めます。原因菌が培養によって特定された場合、薬剤感受性に基づき最も効果的な薬剤を選択します。治療は最初は点滴で行い、その後は検査結果や臨床症状に応じて経口薬に切り替えることが推奨されています。治療期間は点滴と経口薬を合わせて6週間続けるとする報告があります。

化膿性股関節炎は診断や治療が遅れると重大な後遺症を残す

化膿性股関節炎は診断や治療が遅れた場合、重大な後遺症を残します。股関節の脱臼、亜脱臼、大腿骨頭壊死、骨髄炎の慢性化、成長障害による脚の長さの不等など、様々な合併症が報告されています。特に若い年齢層では診断が困難で、治療介入が遅れがちですが、発症から3〜4日以内に治療を開始した場合には、良好な予後が得られることが知られています。したがって、早期の診断と迅速な治療が重要です。

参考文献)

・Hip Septic Arthritis – Pediatric. ORTHO.

・化膿性股関節炎と単純性股関節炎 小児股関節疾患の概要 著者:及川泰宏、西須孝

先生から一言

化膿性股関節炎は極めて重大な疾患です。診断が遅れると関節が破壊されて後遺症を残します。
本疾患を疑ったら、速やかに大病院にご紹介します。

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