整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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DISEASE DETAILS 疾患一覧

股関節の痛み

大腿骨頭すべり症

大腿骨頭すべり症:Slipped capital femoral epiphysis (SCFE)とは

大腿骨近位骨端部が頚部に対して、さまざまな程度で後内方に転位した状態であり、学童期に歩容異常(跛行)を来たす原因疾患の一つとして重要です。日本では、発生頻度は10万人あたり1-2人とされており、稀な疾患です。10 ~14歳ころの思春期に発症することが多く、男女比は3:1で、男の子に多いことが知られています。

大腿骨頭すべり症は、大腿骨の近位骨端核が転位する(すべる)疾患です。

大腿骨頭すべり症の原因

肥満が発症と有意に関係しています。糖尿病などの内分泌異常が関連していることもあります。病因は明らかではありませんが、単一因子によるものではなく、成長軟骨帯の傾斜角の増大や大腿骨頚部前捻角の減少などの物理因子、甲状腺・成長・性ホルモン異常などの化学的因子、そして肥満が相互に関与して発症するのではないかと言われています。

大腿骨頭すべり症の症状

股関節の疼痛、歩行障害、可動域制限が主な症状です。すべりの程度に応じて症状の強さは様々ですが、重度になると歩行できなくなることもあります。予後を最も反映する分類としてLoder分類が広く用いられます。これは臨床分類であり、体動による疼痛が強くて立位などとても取れないものをunstable type、何らかの手段で少なくとも立位は取れるものをstable typeとします。

大腿骨頭すべり症の検査

股関節の屈曲に伴い外旋外転位をとろうとするDrehmann兆候が診断に有用です。

股関節の屈曲に伴い、痛みを回避するために外旋外転位をとろうとするDrehmann兆候

股関節レントゲンでは、正面像ではTrethowan兆候を確認します。すべりの程度が比較的軽い場合は、X線正面像での骨端核の転位が明らかでない場合があるため、側面像は必ず確認しなくてはなりません。

股関節正面像におけるTrethowan兆候は大腿骨頭すべり症で見られる異常所見のひとつです

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大腿骨頭すべり症の治療

クリニックでの治療は難しい疾患です。

本症を疑った段階で速やかに小児整形外科専門医にご紹介します

治療目標は、すべりを進行させないことと、最大の合併症である大腿骨頭壊死(avascular necrosis; AVN)を予防することです。骨頭壊死はUnstable typeでその頻度が圧倒的に高く、動けないほど痛くてすべりの程度も強いことがあります。

その一方でstable typeは、すべりの程度も強くないし歩行もなんとか可能なので、軽視されがちです。保存的な経過観察のみでは、必ずすべりは増強し、stable typeであったものがunstable typeに移行し予後不良となる可能性があるため、どちらのtypeであっても慎重な対応が必要です。

手術加療ではすべった位置で骨端核を固定するpinningなどの術式がありますが、すべった骨頭を整復すべきか否かなど結論が出ていない部分も多くあります。

参考文献)

・小児の歩容異常 ―外来診療でのコツと治療の考え方―. 日整会誌(J. Jpn. Orthop. Assoc.)97( 4 )2023.

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