整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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あし(下肢) の痛み・しびれ

扁平足

扁平足(Flat Foot)とは

扁平足とは、様々な原因により足部の土踏まず(内側縦アーチ)の低下をきたす疾患です。とくに内側縦アーチに加えて前足部の外転、回外、後足部の外反をきたすものを外反扁平足といいます 。扁平足の中には症状のない無症候性の扁平足もあり、治療を必要としない場合もあります。

有痛性の外反扁平足の原因として、とくに多いのが後脛骨筋腱の炎症や損傷にともなう後脛骨筋腱機能不全症(posterior tibial tendon dysfunction:PTTD)です。

扁平足の原因

中年以降の女性に好発します。原因は不明なことが多いですが、加齢や高血圧、糖尿病、内果の手術歴、ステロイドの局所注射などが関連しているといわれています。成人の扁平足の要因をまとめると以下のように先天性、後天性の原因に分けられますがそのうち後脛骨筋腱機能不全(PTTD)に伴うものが最多です。

後脛骨筋腱は、足関節の内果後方を通り、舟状骨に一度付着し、その後一部は足底に回り込み楔状骨や中足骨基部に付着しています 。この腱は足部の内側縦アーチの維持やつま先立ちをする際に必要になります。腱の機能不全により舟状骨を支えられなくなるため、内側縦アーチの低下、底側踵舟靭帯(ばね靭帯)などの破綻が生じ、外反扁平足になります。

後脛骨筋(Tibialis Posterior)の解剖。内側縦アーチの維持に重要な筋肉である
後脛骨筋(Tibialis Posterior)の解剖:内側縦アーチの維持に重要な筋肉である

扁平足の発症要因:先天性と後天性に分類されるが、後脛骨筋機能不全(PTTD)に伴うものが最多

成人扁平足の原因の分類
扁平足の発症要因

扁平足の症状

症状としては側部内側の疼痛で、「足関節内側の痛み」と表現されることも多いです。痛みの所在が後脛骨筋の走行にそっていないかを確認する必要があります。

病期が進行するにつれて足部の外反扁平足変形をともないます。診断には、内果周囲の圧痛や痛み、後脛骨筋腱の腫脹、single heel rise test(片足でつま先立ちができないか、疼痛をともなえば陽性)、too manytoes sign(後方から見た際に踵骨の外反をともない、前足部の外転により外側の足趾が見えれば陽性、 図 3 )があります。

後脛骨筋機能不全に伴う扁平足の病期分類
後脛骨筋機能不全に伴う扁平足の病期分類

扁平足の検査

画像診断としては、X 線では足部の荷重位での撮影によるアーチの低下や前足部の外転、踵骨の外反などがみられます。後足部外反の評価には立位の後足部撮影法(Cobey法)を行います。縦アーチの評価には距骨ー第一中足骨角やcalcaneal pitchの計測を行います。Stage 3まで進行すると距骨下関節やChopart関節に関節症変化を認めます。Stage 4では足関節において距骨外反した関節症性変化を認めます。

MRI では、後脛骨筋腱などの腱の変性や断裂、病期が進むと関節変形による軟骨の変性や骨髄浮腫などがみられます。診断のためには必ずしも必要な検査ではありませんが、手術療法の選択においては関節症変化の進行の確認のため有用です。

扁平足の治療

治療は、症候性(痛みなどがある)外反扁平足に対して行われます。治療は病期にかかわらず保存的治療が重要です。病態をよく理解することが重要で、内がえし運動を実際に行っていただき、後脛骨筋の機能低下の程度を知ることから始めます。特にStageⅡまでは保存治療の反応性が良好であると考えられます。

アーチの維持や後脛骨筋腱への負荷軽減を目的とした安静や外固定、運動制限、体重コントール、靴の指導、アキレス腱のストレッチ、疼痛コントロール目的に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与などの薬物治療を行います。

理学療法(リハビリ)では後脛骨筋の機能訓練に加えて、後脛骨筋の機能を代償するような筋群(長趾屈筋、長母趾屈筋、下腿三頭筋)やアーチ保持にかかわる足内在筋の筋力訓練も重要です。足の内がえし訓練、足指運動、下腿三頭筋・アキレス腱のストレッチングは家庭でも実践しやすい運動です。

足底挿板や UCBL(Universityof California Biomechanics Laboratory)装具などの装具療法が行われます。

装具はアーチ保持機能を有するものであることがポイントで、後脛骨筋を休ませつつ、その間に他の筋力の増強訓練をすかさず行います。また症状の改善、再発防止のためには体重コントロール、減量も重要です。

後脛骨筋機能不全による扁平足に対して用いるUCBL装具、足底板
後脛骨筋機能不全による扁平足に対して用いるUCBL装具

保存的治療が効果不十分の際には手術治療が選択されます。手術治療には上記のStage分類が参考になります。StageⅠでは関節滑膜切除術が中心となります。

足部の柔らかさ(=可撓性、かとうせい)のある Stage Ⅱの外反扁平足には確立された治療法はなく、それゆえに多くの手術療法が報告されています。外側支柱延長術や踵骨内側移動骨切り術などの骨切り術に加え、ばね靭帯の修復術や長趾屈筋腱の移行術、アキレス腱延長術などを組み合わせて行われています。

Stgae Ⅲ~Ⅳにおいて変形性関節症など関節症性変化が強い場合は関節(距舟関節、距骨下関節、踵立方関節)の固定を組み合わせて、部分関節固定(二関節固定、三関節固定)が思考されます。関節固定は足部の可撓性が失われるため関節固定になる前に治療をすることが大切です。特に足関節固定術では足関節の可動域が喪失されてしまうので可能な限り避けたい術式です。

参考文献)

・専門医の整形外科外来診療(南江堂)

・田﨑正和、整形外科看護 2021 vol.26 no.1

・© ResearchGate GmbH. The University of California Biomechanics Laboratory (UCBL) Foot Orthoses with a supramalleolar extension.

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