整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

06-6396-1374
診療時間
9:00~12:30 13:00
まで
× ×
14:45~18:15 × × × ×
                     
  • ※休診日 水曜午後・土曜午後・日曜・祝日
WEB予約 アクセス

DISEASE DETAILS 疾患一覧

腕・手のしびれ

手根管症候群

手根管症候群群(CTS)とは

手根管症候群は、手の首の部分にある手根管内で正中神経が何かしらの原因で圧迫されることにより起こる、手の末梢神経の障害です。末梢神経が骨や靭帯によって作られるトンネル(=手根管)を通る場所で圧迫されると、限局性の神経障害が発生します。このような状態を絞扼性神経障害と呼びますが、その中でも手根管症候群は最も多い疾患です。

手根管症候群は指のしびれを生じる疾患です
手根管症候群は指のしびれを生じる疾患です

手根管症候群の原因

発生原因により特発性(あきらかな基礎疾患がない物)と二次性に分けられます。約80%が特発性であり、よく両手に発生します。特発性の主な原因には、加齢、手の過度な使用、そして女性であることが挙げられます。女性の発病率は男性の3.8倍にも上り、年齢と共に発病率が上昇しますが、女性では更年期にあたる50代に発症のピークがあるとされています。また、出産期にも多く発症することから、女性ホルモンの影響が考えられています。

二次性の原因としては、手首の外傷や手根管内の滑膜に炎症を引き起こす全身性疾患(透析、関節リウマチ、糖尿病、アミロイドーシス)などがあります。近年、手根管症候群と心アミロイドーシスとの関連が注目されており、心アミロイドーシスの診断の5~9年前に手根管症候群が発症していることや、手根管症候群の合併が心アミロイドーシス患者の死亡リスク因子であることから、心アミロイドーシスの診断や治療において、手根管症候群が重要な手がかりとなると考えられます。

手根管症候群の症状

手根管症候群の主な症状には、夜間に特に強くなる痛み、正中神経が支配する領域(母指、示指、中指、環指の親指側)のしびれや感覚の低下、そして母指球筋の萎縮があります。初期では、夜間痛が主な症状で、肩から指先にかけて強い痛みを感じます。この痛みは、手を振ることで軽減され「フリックサイン」といいます。症状が続くと、昼間も症状が継続し、しびれや感覚障害が常に現れるようになります。進行すると、母指球筋の萎縮や母指対立運動の障害が見られます。

特徴的な点として、環指の内側は正中神経が、外側は尺骨神経が支配しているため、環指の感覚が二分される「リングフィンガースプリッティング」が認められます。しかし、必ずでるわけではありません。

母指対立運動の障害が起きると、ボタンのかけ外しなどが困難になり、母指と示指で円を作ると、完全な円ではなく楕円ができることがあります(「パーフェクトオーサイン」)。さらに進行すると、母指球筋が明らかに萎縮し、母指基部にくぼみができます。前骨間神経麻痺では、母指と示指で作る円が涙滴のようになることがありますが、これは「ティアドロップサイン」と呼ばれ、麻痺する筋肉が異なります。

診断に役立つテストとしては、ファレンテストとティネル様徴候があります。ファレンテストは、手首を最大1分間掌屈させた時に症状が誘発されるテストです。ティネル様徴候は、手首の掌側で正中神経に沿って叩くことで、正中神経支配領域に放散痛が誘発されるテストです(感度23~60%、特異度64~87%)。

手根管症候群の検査

手関節の単純X線撮影を3方向(正面、側面、手根管)で行います。橈骨の骨折後の変形治癒、手関節の橈骨や手根骨の変形性関節症、手根管内の石灰化などの病変が評価できます。

電気生理学的検査(神経伝導速度検査や針筋電図)も有効です。手根管症候群では、運動神経終末潜時(正常値は4.5ms以下)、感覚神経伝導速度(正常は45ms以上)の遅延や、針筋電図で母指球筋の脱神経所見が認められます。

超音波検査は、補助診断としての有用です。手関節手掌部での正中神経の横断面積が手根管症候群の患者では増加しており、一般に10mm*2以上が基準です。

手根管症候群の保存治療

手根管症候群の保存的治療の主な目的は、局所を安静に保ち、滑膜炎を抑制して神経の圧迫症状を和らげることです。周産期など、一時的な滑膜炎が原因の場合は、保存的治療で効果が期待できるため、試す価値があります。治療方法として、局所の安静(手の酷使を避ける、手関節固定装具の使用)、手根管内へのステロイド注射があります。ステロイド注射は、1%リドカイン3mlとトリアムシノロン10mgを混合して注入しますが、症状に応じて量を増減します。正中神経損傷を避けるため、約25Gの細い針を使用し、刺入部位は近位手首皮線よりやや近位で、長掌筋腱の尺側から針を入れます。注射の効果は6週間は最低でも持続し、神経の炎症が改善すれば、手術を回避できる可能性もあります。

手根管症候群の手術治療

保存療法が効果を示さないときや、母指球筋の萎縮が認められる重症例では、手術を検討します。手根管開放手術で、横手根靭帯を切除して神経の圧迫を取り除きます。直視下手根管開放術と鏡視下手根管開放術があり、直視下法では、目視で神経を確認して手術を行い、鏡視下法では、手根管内に関節鏡を挿入して手術を行います。

さらに、進行した症例で母指球筋の萎縮が著しい場合や母指対立運動に障害がある場合は、腱移植による母指対立再建術が必要になることもあります。

先生から一言

手根管症候群は手のしびれをきたす疾患です、保存治療で改善することもありますが、良くならない場合は手術を検討します。特に母指のツマミ動作、対立運動に制限があるときは手術を積極的に検討します。

Information      連絡先

06-6396-1374           

お電話でのご予約はできません。