整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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首の痛み

肩こり(本態性肩こり)

肩こりとは

肩こりは、首、肩、背中に連なる僧帽筋などの筋肉が緊張し続けることで起こる循環障害(阻血と言います)によって生じると考えられています。首や肩の筋肉群は、約5~6kgの頭部を支え、姿勢を保つために常に収縮・緊張した状態にあります。細い首があたかもボーリングのたまを支えているようなイメージです。常に強い負担がかかっているので、筋肉内の血流が悪化しやすく、肩こりを発症します。

肩こりと腰痛は、非常に患者数の多い疾患です。「2019年:国民生活基礎調査」によれば、腰痛は成人男性で最も多く見られる症状であり(他の診療科を含めたあらゆる訴えの中で一位です!)、女性では2番目に多いとされています。一方、肩こりは女性では最も多い症状であり、男性では2番目に多い症状です。

肩こりは腰痛に次いで2番目に多い疾患です!

参考)第一三共ヘルスケアHP

近年、特に問題となっている背景は、長時間のスマホやディスプレイの使用(ゲーム・動画、リモートワークでのPC作業)という現代人のライフスタイルが大きく関係しています。スマホ首というフレーズができているくらいです。2020年初旬以降、COVID-19(新型コロナウイルス)の影響で新たな生活習慣が強いられたことも状況を悪くしました。IT技術を活用したテレワークやオンライン教育の導入が加速していることを考慮すると、肩こりや腰痛の患者数は今後も増加してゆくと予想されます。

肩こりの原因

最近のコロナウイルスによる生活環境の変化やテレワークの普及で、パソコンやディスプレイの前で長時間過ごすことが増え、肩こりを感じる人も増えています。同じ作業姿勢(首を前に突き出す、肩をすぼめる、猫背になる)を続けることで、血行が悪くなり肩こりが発症することがあります。パソコン作業による目の疲れも肩こりの悪化につながる要因となります。

肩こりの原因となる筋肉には、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋(大菱形筋、小菱形筋)、胸鎖乳突筋が挙げられます。これらの筋肉が緊張し続けると、血行不良が起こり、肩こりの症状が現れます。

肩こりの原因となりやすい筋肉(体の後面)、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋
肩こりの原因となりやすい筋肉(体の後面)
肩こりの原因となりやすい筋肉(体の前面)胸鎖乳突筋
肩こりの原因となりやすい筋肉(体の前面)

Copyright:(19) Pinterest, Muscles Of The Shoulder: Anatomy,

Function & Common Injuries (shoulder-pain-explained.com)

肩こりの原因は様々で、運動不足、生活習慣、長時間のパソコン作業、ビジュアルディスプレイ端末(VDT:Visual Display Terminals)作業などが関連しています。

肩こりによる痛みは、症状の持続期間と中程度の相関があることが分かっており、「症状が長く続くほど、痛みをより強く感じる」のです。肩こりと筋肉の硬さ(筋硬直・筋硬度)の関係については、明確な結論は得られていません。

さらに、肩こりと性別の関連も報告されており、女性は男性に比べて肩こりの症状が強くなる傾向があります。これは、精神的ストレスや体の状態との相関が示唆されています。加えて、女性は僧帽筋などの筋肉内の酸素飽和度や痛みの閾値が低く、ストレスや不安を感じやすいため、僧帽筋内の血流不足が起こりやすく、これが症状と関連していると推察されています。

肩こりと発痛物質

肩こりの 症状が長引くと、肩こり部位(僧帽筋などの筋肉内)において慢性的な血流不全・循環障害(阻血)が起こります。局所の血流量が減少し、筋肉をはじめとする組織の阻血がおこると低酸素状態に陥った筋からさまざまな痛みの原因となる代謝産物:発痛物質(ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジン)が生成され、知覚神経に対して脊髄への刺激が続くという痛みの悪循環が形成されることが症状が長引く一要因であると考えられています。

精神的ストレスは肩こりの原因となる

また肩こりも腰痛と同様に精神的ストレス、職場での対人関係のストレスとの関連を示す報告があります。一概にストレスそのものが肩こりの原因とは断定できませんが少なくとも症状を増悪させる一つの要因になっている可能性はあると考えられています。

肩こりの検査

PC作業を長時間行うことが多いか、同じ姿勢で作業することが多いか、眼精疲労がないか(肩こり、頚部痛、頭痛を引き起こすため)をチェックします。X線検査では、頚部、肩関節部、背部の骨、関節の形態異常がないかを確認することも重要です。腕や手のしびれを伴う場合は、頚椎症による神経症状との鑑別のため、MRIが必要となることがあります

肩こりの治療

猫背でのPC、スマホ使用を避けるなどの生活習慣の改善、僧帽筋をはじめとする筋肉のストレッチ、筋力訓練などを組み合わせて行うことが推奨されています。当院の理学療法士は豊富な筋肉の解剖知識をもとに、体を痛めにくいストレッチ、筋トレを通じて筋肉の血流改善方法を指導することが可能です。

また、作業環境調整(椅子やデスクの高さ調整、適切な画面の位置)や、目の疲れを軽減するためのブレイクタイムを設けることも効果的です。

ディスプレイや椅子・机の高さの調整は重要です。職場環境調整は治療の基本となります。

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疼痛部位に局所麻酔薬を注射するトリガーポイントブロック注射は非常に有効な治療法です。

コロナワクチンより細い針で注射するため痛みもほとんどありません。

肩こりは、心理社会的ストレスが自律神経系を介して症状を悪化させていると考えられるため、自分なりのストレスの解消方法をもっておくことも大切です。

参考文献)

汐田まどか, 小児内科 Vol. 53 No. 5, 2021.

第一三共、筋肉痛の原因、筋肉痛の症状・原因|くすりと健康の情報局 (daiichisankyo-hc.co.jp)

慢性疼痛ガイドライン

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