整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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肩の痛み

色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)

色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)とは

色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS:Pigmented villonodular synovitis)は膝などの関節の疼痛、可動域制限、腫脹を生じる疾患です。滑膜由来の絨毛状結節性病変として知られ、特に膝関節に多く発生し、その他にも股関節、足関節、肩関節などの大関節にも発生しやすいです。関節内での発生が多いですが、腱鞘や滑液包などの滑膜を持つ部位にも発生することがあります。

男女差はなく、20歳から40歳の年齢層に多く見られますが、10歳以下の子どもにも発症することがあります。発症から診断までに時間がかかることが多く、緩徐に進行します。

自然治癒が期待できないため、骨が侵食される前の段階での早期手術が必要です。滑膜切除、骨内の腫瘍掻爬と骨移植、場合によっては人工関節の置換も検討されます。

PVNSには「限局型」と「びまん型」の2つのタイプがある

PVNSは限局型とびまん型の二つに分類されます。限局型は、関節腔内、腱鞘、滑液包の一部に限定して増殖し、びまん型の初期段階とも言われます。一方、びまん型は関節腔内に広がりを見せ、進行すると関節破壊が生じることがあります。

色素性絨毛結節性滑膜炎の原因

従来は発生原因が不明でしたが、骨内浸潤や悪性化、クローン染色体異常などの報告があり、2002年のWHO分類ではDiffuse-type giant cell tumorと呼ばれる線維組織球性腫瘍という腫瘍の一種ではないかと考えられています。他にも炎症説、代謝異常説などが提唱されています。

色素性絨毛結節性滑膜炎の症状

関節が腫脹し、動きの範囲の制限が出ます。特に結節型では、遊離体として関節に挟まりこむことで疼痛や可動域の制限が顕著になります。また、関節内での反復する出血も見られます。しかし、限局型では絨毛形成や血管新生が少ないため、出血が少ないこともあります。さらに、限局型では有茎性腫瘤を形成し、膝関節が動かなくなるロッキング症状を呈し、半月板症状と間違うことがあります。

小児では特に診断が容易ではないため、痛みや腫脹を繰り返し、穿刺で血性であれば本疾患を疑います。

色素性絨毛結節性滑膜炎の検査

X線像では、初期に関節裂隙の狭小化や骨萎縮が見られ、進行すると多数の嚢胞形成や破壊像がみられます。びまん型の進行例では骨内に病変が侵食することがあり、嚢胞状の透明層が見られることがあります。

MRIは非常に有用で、ヘモジデリンがT1やT2でも低信号域として描出され、腫瘤内のまだら模様の所見として特徴的です。増殖した滑膜はT1およびT2強調像で低信号を示し、STIR像では高輝度で示されます。Gd造影では、増殖した血管が高輝度で造影されます。

関節鏡によって関節内を直接見る検査も有効で、茶色の特徴的な結節性またはびまん性の滑膜増殖が確認できます。病変部を切除して組織を切除し、病変部を観察すると重層化した絨毛上皮と間質、そして細胞内のヘモジデリン沈着が見られます。加えて、マクロファージ、リンパ球、コレステロール結晶を含む泡沫細胞および多核巨細胞の増生が特徴です。

色素性絨毛結節性滑膜炎の治療

色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)は、良性の疾患であるにもかかわらず、術後の再発率が非常に高いことが知られています。治療には、侵襲性の高い滑膜全切除術が一般的に行われていますが、それでも再発率が高く、治療が難しいことが多いとされています。

手術方法としては、限局型では関節鏡下の摘出を行います。特に膝蓋下脂肪体付近から発生することが多いため、しっかりと鏡視することが大切です。

びまん型では関節鏡視下での滑膜切除は侵襲が少なく、機能障害も生じにくいですが、再発率が高くなります。そのため関節鏡を使用せず関節を切開して切除する手術が一般的です。関節内の病変を切除し、骨侵食があれば骨の掻爬も十分行います。再発防止のうえでは、完全切除が必須ですが、術後の機能面を考えると、軟骨、靭帯、半月板などを損傷することは好ましくないため、実際には厳密な完全切除は困難です。全コンパートメントの滑膜切除を行っても、術後再発率は33~37%と高く、鏡視下での不完全な滑膜切除の場合、再発率が50~56%と非常に高いことも報告されています。

PVNSはMRIによる画像上の再発が認められても必ずしも自覚症状が再発するわけではありません。したがって、再発しても各々のADL障害の程度と病勢に応じて治療方針を選択する必要があります。

再発例や再発の可能性が高い例では、放射線照射の併用が勧められています。

参考文献)

・色素性絨毛結節性滑膜炎. 関節外科 Vol.31 4月増刊号(2012)

・JOSKAS Vol 35, 364-368, 2010. びまん型色素性絨毛結節性滑膜炎に対する滑膜全切除術の治療成績

先生から一言

色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)はまず疑わないとなかなか診断できない疾患です。X線検査で明らかな異常がなくても、原因の明らかではない関節痛や動きの制限が長引く場合は本疾患を疑いMRI検査を確認する必要があります。MRIでPVNSを疑えば、速やかに対応可能な病院にご紹介いたします。

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