整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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こどもの整形外科

若年性特発性関節炎(JIA)

若年性特発性関節炎(JIA)とは

16歳未満に発症し、少なくとも6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎です。具体的には、関節を包む関節包の一部である滑膜(かつまく)と呼ばれる部分が炎症を起こし、滑膜が異常増殖することで関節の痛みが起きると考えられています。原因がよくわからず、ふしぶしのいたみが続くときはJIAを疑わなくてはいけません。成長痛やスポーツによる痛みだと思われて見過ごされることがあります。

JIAは「全身型」と「関節型」に分かれる

JIAは全身型と関節型(全身型を除く6病型)の2つに大きく分かれます。関節型JIAには、様々なタイプがあります。少関節炎や多関節炎は、獲得免疫系の異常を背景とする自己免疫疾患とされ、「抗核抗体」や「リウマトイド因子」などの自己抗体が認められます。自己抗体とは、本来は細菌などを攻撃するべきところが、自分の体の組織を誤って攻撃してしまうものを指します。乾癬性関節炎や付着部炎関連関節炎は、乾癬や脊椎関節炎といった背景疾患があり、自己炎症と自己免疫の両方の特徴を持ちます。

一方で、全身型JIAは自然免疫系の機能異常が原因で、IL-1、IL-6、IL-18の過剰産生により発熱と全身臓器の炎症が起こる自己炎症性疾患と考えられています。

若年性特発性関節炎の原因

詳細は解明されていませんが、要因として考えられているものは、ストレス、免疫反応、遺伝的要因、感染症などがあります。

関節型JIAの症状

関節型JIAは、慢性的な関節炎を示す疾患であり、関節の腫れ、痛み、熱感、動きの制限、朝のこわばりなどが見られます。また、関節炎によって身体活動が制限されるだけでなく、不機嫌や元気のなさも見られるようになります。特に年少の子どもや罹患関節が少ない場合、保護者でも症状を把握することが難しい場合があります。

関節炎の評価には、身体診察のほか、関節の超音波検査やMRIなどの画像検査、血清MMP-3値の測定が用いられます。さらに、抗核抗体、リウマトイド因子、抗シトルリン化蛋白抗体などの自己抗体の検査は、JIAの病型分類や他の膠原病との鑑別に役立ちます。

他の疾患を除外することが重要で、血液や尿の検査、様々な病原体に対する迅速な抗原検査、単純X線検査、関節の超音波検査などが行われます。

重要な合併症として見逃しがちなのがぶどう膜炎で、これは将来的に重篤な後遺症を残す可能性があります。抗核抗体が陽性であること、女の子であること、早期に関節炎が発症したこと、少関節炎を患っていることが、ぶどう膜炎の発症リスクを高める要因です。

全身型JIAの症状

全身型JIAは、発熱、紅斑性皮疹、関節炎を主な特徴としますが、すべての症状が出るとは限りません。小児における不明熱として、EBウイルスなどの感染症、川崎病、血液腫瘍性疾患の除外が必要です。全身型JIAは発熱のみならず、関節痛、筋肉痛、喉の痛みなどのインフルエンザ様の症状を伴い、不機嫌になることがあります。また、発熱時にはサーモンピンク色の即時消退する紅斑性皮疹(リウマトイド疹)が現れることがあります。関節炎は、特に肩関節や股関節などの大きな関節に見られることが多いですが、病気の初期段階では関節の症状が少ないこともあります。治療の遅れが懸念されるため、6週間未満であっても1か所以上の関節炎がある場合には治療を開始することが推奨されています。

最も注意すべき合併症は、「マクロファージ活性化症候群(MAS)」です。二次性の血球貪食性リンパ組織球症であり、発症初期の活発な期間に合併することが多いですが、病気の全経過を通じて注意が必要です。MASが発症すると、熱は持続し、肝脾腫、リンパ節の腫れ、脳症、紫斑などが見られます。また、検査では白血球数や血小板数の減少、血清トランスアミナーゼの上昇、凝固異常、血清フェリチンの上昇などが確認されます。

若年性特発性関節炎の検査

レントゲン検査で関節やリンパ節などに炎症が起こっていないか確認します。血液検査で炎症の有無をはじめ、様々な項目を評価します。

若年性特発性関節炎の治療

本疾患は経験豊富な専門医による治療が望ましい疾患です。当院では早期診断を目的に、X線検査、血液検査を行い、JIAを疑えば速やかに当該医療機関にご紹介します。以下は、一般的な治療方法について述べます。

全身型・関節型ともに薬物療法が中心です。関節炎症状がある場合は、患部を湿布薬で冷やし体育の授業や部活動は休むなどして安静を保ちます。炎症所見が鎮静化したら、罹患関節が拘縮しないようにリハビリテーションを行います。

関節型JIAの治療は、関節の破壊の後遺症を防ぐために行います。そのため、早期発見、治療によって関節の炎症を迅速に抑えることが重要です。一方で、全身型JIAの治療の目的は、全身の炎症を抑制し、多臓器障害の改善を目指すことです。また、「マクロファージ活性化症候群(MAS)」は生命に関わる深刻な合併症であり、可能な限り迅速に対応する必要があります。

薬剤の副作用を最小限に抑え、身体機能、成長発達、生活の質、社会への参加などへの影響を軽減することも重要です。

参考文献)

・小児内科 第55巻 増刊号 2023年 若年性特発性関節炎(Juvenile Idiopathic Arthritis) 井上 祐三朗

・今日の整形外科診療

先生から一言

若年性特発性関節炎は、成長痛やスポーツによる使い痛みなどと判別することが困難なことがあります。疑ったら血液検査を確認し、治療を開始するタイミングを逸さないことが大切です。

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