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けが(外傷)
足関節捻挫
足関節捻挫(足関節新鮮外側靭帯損傷)とは
足関節捻挫は、足首をひねった際に、関節を支える靱帯などが傷つくけがです。日常生活でもスポーツでも起こる、頻度の高い外傷の一つです。
なかでも多いのが、足の裏が内側を向くように足首をひねる「内がえし」によって、足首の外側の靱帯を損傷するタイプです。これを「足関節外側靱帯損傷」と呼び、受傷後間もないものを「新鮮外側靱帯損傷」といいます。
足首の外側は、前距腓靱帯・踵腓靱帯・後距腓靱帯という3つの靱帯で支えられています。特に傷つきやすいのは前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)で、損傷が強い場合には踵腓靱帯も傷つくことがあります。後距腓靱帯まで損傷することは比較的まれです。
一方、足首の内側の三角靱帯や、すねの2本の骨をつなぐ靱帯が損傷する場合もあります。また、捻挫と思われるけがに、骨折や腱・軟骨の損傷、足の中央部のけがなどが隠れていることもあるため、適切な診察が大切です。

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)
最終校正日:2026年9月12日
足関節新鮮外側靭帯損傷の原因
足関節捻挫は、ジャンプの着地や急な方向転換などで、足首にひねる力が加わることで起こります。サッカー、バスケットボール、バレーボールなどのスポーツで多くみられますが、段差を踏み外したときや、でこぼこした道で足を取られたときなど、日常生活でも起こります。
軽くひねっただけと思っていても、靱帯が損傷している場合があります。また、競技に集中していると、受傷直後には痛みをあまり感じず、運動後に腫れや痛みに気づくこともあります。
どの方向にひねったか、どの程度の力が加わったかは、損傷部位を判断する重要な手がかりです。 歩行中にひねった場合と、高い場所から着地した場合では、疑われるけがの範囲や程度が異なります。
過去に捻挫を繰り返している方では、靱帯のゆるみや足首を支える筋力・バランス機能の低下によって、再び捻挫しやすくなることがあります。

足関節新鮮外側靭帯損傷の症状
主な症状は、外くるぶしの前方から下方にかけての痛み・腫れ・押したときの痛みです。皮下出血を伴うこともあり、歩く、体重をかける、足首を動かすといった動作で痛みが強まります。損傷が強い場合には、足をついて歩くことが難しくなることもあります。
ただし、歩ける場合や腫れが少ない場合でも、靱帯の損傷や骨折がないとは限りません。 見た目や痛みの強さだけで、けがの程度を判断しないことが大切です。
外くるぶしの周囲だけでなく、足首の内側、足首の少し上、足の甲や外側などにも痛みがある場合は、外側靱帯以外の損傷を伴っている可能性があります。

足関節新鮮外側靭帯損傷の診断・検査
診察では、足首をどのようにひねったか、受傷直後に歩けたか、過去に捻挫を繰り返していないかなどを確認します。仕事の内容やスポーツの種目・競技レベル、大会の予定なども、治療計画を立てるうえで重要です。
触診では、外くるぶしとその周囲の靱帯だけでなく、内くるぶし、足首の少し上、外くるぶしの後方を通る腓骨筋腱なども確認します。必要に応じて、足の外側にある第5中足骨の付け根や、足の中央部にある舟状骨・リスフラン関節なども調べます。
足首をひねったけがでも、実際には足の中央部に骨折や関節の損傷が起きていることがあります。 痛む場所を丁寧に確認し、検査する範囲を判断します。

足関節捻挫の診察では、「前方引き出しテスト」などを用いて、反対側の足首と比べながら関節のゆるみを評価します。受傷直後は痛みや腫れで判断しにくいこともあるため、検査の時期や必要性を考慮して慎重に行います。関節の不安定性だけでなく、歩行の状態や合併損傷、年齢・活動内容を踏まえて治療方針を決めます。
超音波(エコー)検査では、前距腓靱帯を中心に、靱帯の断裂や腫れ、過去の損傷による変化を確認します。必要に応じて足首に慎重に力を加え、不安定性を調べるほか、周囲の靱帯も観察します。評価できる範囲には限界があるため、診察やほかの画像検査と合わせて判断します。
レントゲン検査は、骨折や骨の位置の異常を調べるために行います。靱帯そのものは写らないため、レントゲンで異常がなくても靱帯損傷は否定できません。 足の甲や外側にも痛みがあれば、足首に加えて足部の撮影が必要になることがあります。小児では剥離骨折や骨の成長部分である「骨端線」の損傷にも注意し、撮影方向の工夫やエコーの併用で確認します。症状が長く続く場合には、立って体重をかけた状態で撮影し、関節の隙間や変形を調べることもあります。
慢性的なぐらつきがある場合は、足首に力を加えて撮影する「ストレス撮影」で関節のゆるみを調べることがあります。ただし、数値だけで手術の必要性を決めることはありません。痛みが長引く場合や軟骨・骨の損傷が疑われる場合、手術を検討する場合などにはMRIが役立ちます。当院でMRIが必要と判断した場合は提携医療機関へご紹介し、結果説明と治療方針の相談は当院で行います。
足関節捻挫の保存治療
受傷後間もない足関節外側靱帯損傷では、保存治療が第一選択となり、靱帯が断裂していても、直ちに手術が必要になるわけではありません。 関節の不安定性や痛み・腫れ、合併損傷の有無を確認し、仕事内容やスポーツの種目なども考慮して、固定・装具療法とリハビリテーションを組み合わせます。
受傷直後は運動を中止して足首を保護し、症状に応じて冷却や適切な圧迫、足を高くして休むなどの対応を行います。保冷剤は直接皮膚に当てず、タオルで包んで使用してください。歩くと強く痛む場合は無理に体重をかけず、必要に応じて松葉杖や鎮痛薬を使用します。
不安定性が少ない場合は、サポーターによる保護と活動の調整で治療できることがあります。不安定性が強い場合などには、シーネやギプスで短期間保護した後、過度なひねりを防ぎながら動かせる装具へ切り替えます。固定期間や体重をかけ始める時期は、損傷の程度と回復状況に合わせて調整します。 骨折などの合併損傷がなければ、足首を保護しながら痛みの許す範囲で歩行や運動を再開します。
回復と再発予防・捻挫の後遺症
回復と再発予防には、足首の動き・筋力・バランス機能を取り戻すことが大切です。リハビリは固定が終わるまで待つのではなく、状態に応じて安全に行える内容から始めます。足首を動かす練習や腓骨筋などの筋力トレーニング、片脚立ちなどのバランス練習を行い、徐々に走る・跳ぶ・方向を変える動作へ進めます。当院では、理学療法士が足首の機能を評価し、生活や競技内容に合わせて復帰を支援します。
捻挫後もぐらつきが続く場合や、同じ足を繰り返しひねる場合は、慢性足関節不安定症が疑われます。捻挫の受傷後にしっかり安静や固定を行わないと後遺症が発生しやすくなるため注意が必要です。靱帯のゆるみだけでなく、筋力やバランス機能の低下が関係することもあるため、検査所見とご本人が感じる不安定感、生活への支障を確認します。慢性化している場合も、まずは装具と運動療法を中心に治療します。
スポーツ復帰には、軽症でも数週間、重症例や合併損傷がある場合には数か月かかることがあります。復帰は期間だけで判断せず、痛みや腫れ、足首の動き・筋力・バランス機能の回復を確認して決めます。 競技動作で痛みやぐらつきがなく、練習後や翌日に症状が増えないこと、ご本人が強い不安なく動けることも大切です。必要に応じてサポーターやテーピングを併用し、運動量を徐々に増やします。復帰後も筋力・バランス練習を続け、再発を予防しましょう。
足関節捻挫の手術治療(提携病院へご紹介)
手術治療は、装具やリハビリテーションなどの保存治療を十分に行っても不安定感や繰り返す捻挫が改善せず、診察や画像検査でも関節の不安定性が確認される場合に検討します。 日常生活やスポーツにどの程度支障があるかも、重要な判断材料となります。
保存治療の期間は3か月程度が一つの目安ですが、その期間が過ぎれば必ず手術になるわけではありません。実施したリハビリの内容や症状の変化、仕事や競技で求められる活動を踏まえて判断します。
手術の必要性は、靱帯が切れているかどうかや、ストレス撮影で測定した角度・移動量だけでは決めません。ご本人の症状、診察・画像所見、保存治療への反応を総合して検討します。
また、すねの2本の骨をつなぐ靱帯の損傷である「シンデスモーシス損傷」で強い不安定性がある場合や、手術が必要な骨折・骨軟骨損傷などを伴う場合には、早期に手術を検討することがあります。
当院では、手術が必要と判断した場合、専門的な治療が可能な医療機関へご紹介します。
参考文献
・山口智志.足関節靱帯損傷の診断と治療戦略.整形外科Surgical Technique.2026;16(1):10–15.
・今日の整形外科治療指針 第8版
・専門医の整形外科外来診療

先生から一言
足首の捻挫は、「たかが捻挫」と軽く考えられがちなけがです。しかし、適切な治療を受けないと、ぐらつきや痛みなどの後遺症残り、将来の変形性足関節症につながることもあります。まずは整形外科専門医の診察で損傷の程度を確認し、適切な治療を始めることが大切です。
試合に出たい、練習を休みたくない。その気持ちを受け止めながらも、「休むべきときは、しっかり休む」とお伝えすることも、専門医の大切な役割**だと考えています。
競技を休む期間も、ご自身の体を知り、けがを防ぐ体の使い方を学ぶ機会にできます。当院では理学療法士によるリハビリを通じて、競技復帰と再発予防を支援します。これからも長くスポーツを楽しめるよう、一緒に取り組んでいきましょう。