整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

06-6396-1374
診療時間
9:00~12:30 13:00
まで
× ×
14:45~18:15 × × × ×
                     
  • ※休診日 水曜午後・土曜午後・日曜・祝日
WEB予約 アクセス

DISEASE DETAILS 疾患一覧

スポーツによる障害

踵部脂肪褥症候群(Heel Pad Syndrome)

踵部脂肪褥症候群(Heel Pad Syndrome)とは

踵部脂肪褥症候群(しょうぶしぼうじょくしょうこうぐん)とは、踵骨結節部にある線維脂肪構造体で衝撃吸収機能を持つ踵部脂肪褥に痛みを感じる疾患の総称です。足底腱膜炎と間違えられることがよくあります。

踵部脂肪褥症候群では、踵の脂肪褥が薄くなることで痛みを生じると考えられています。脂肪褥は、歩いたり走ったり跳んだりする際に、踵を衝撃から守るクッションのような役割を果たしますが、加齢とともに、脂肪組織が縮小したり、弾力性を失ってゆきます。その結果、日常生活や活動に支障をきたすほどの踵の痛みが生じます。

踵部脂肪褥症候群は、「踵部脂肪褥萎縮症」とも呼ばれています。

踵部脂肪褥症候群(Heel Pad Syndrome)の原因


加齢や肥満が原因で脂肪褥の弾性が低下することが、症状の一因と考えられています。体重の増加は踵部脂肪褥にかかる圧力を高め、弾力性の低下やクッション性の喪失を早めます。遺伝性があると考えられており、踵部脂肪褥症候群の家族歴があると、リスクが増加します。また、踵部脂肪褥への直接的な打撲などの外傷も症候群を引き起こす原因となり得ます。

歩行時の姿勢不均衡や足の構造も影響します。歩行姿勢や扁平足が、踵部脂肪褥の摩耗に影響を及ぼします。足に合わない靴を使用することも、繰り返し踵に衝撃を与え、踵部脂肪褥の損失を引き起こします。硬い地面での裸足での歩行や走行は、踵の脂肪褥に衝撃を増加させ、脂肪褥組織の薄化や損傷を引き起こす可能性があります。

反復活動や長時間の立ち仕事、バスケットボール、テニス、バレーボール、ランニング、体操などのスポーツ活動の踵の摩耗や炎症を招く原因となります。またステロイド注射の過去の使用、足底筋膜炎は、高アーチの足、2型糖尿病、ループスやリウマチ性関節炎などの疾患も発症リスクを高める可能性があると示唆されています。

踵部脂肪褥症候群(Heel Pad Syndrome)の症状

踵部脂肪褥症候群の症状として、歩いたり立ったり走ったりする際に、踵の中央部に深い痛みや打撲のような痛みが現れることがあります。また、踵の中央部を強く押すと痛みが再現されます。長時間立ったり歩いたりするときや、踵に負荷のかかるスポーツ(バレーボール、ランニング、体操、バスケットボールなど)を行うとき、さらには裸足で硬い表面(硬い木のフローリング、コンクリート、セラミックタイルなど)を歩くときに、痛みが強くなります。踵部足底中央の深部に滑液包炎に特徴的な浮遊感が現れることもあります。

足底腱膜炎との見分け方

足底腱膜炎は、足のアーチを支える結合組織に痛みが出る疾患です。足底筋膜は、踵から足の指にかけて伸びています。足底筋膜炎の主な症状は、踵に感じる脈打つような痛みで、踵の内側や足のアーチに近い部分に現れます。足の底を伸ばすときには、ツッパリ感を感じます。また、休息後の最初の歩行や、朝のはじめの一歩での痛みが最もひどく、歩いているうちに徐々に改善しますが、歩き続けると続けると再び悪化します。足底腱膜を押すと、痛みは鋭く突き刺すように感じられます。

一方、踵部脂肪褥症候群の痛みは、踵の中央に近いところで発生しやすいとされています。長時間歩いたり立ったりしたとき、高衝撃の活動に参加したとき、または硬い表面で裸足で歩いたときに痛みが悪化します。踵の痛みは夜間や休息時により頻繁に発生することがあり、足底筋膜炎と比較して両足に起こる可能性が高いです。

踵部脂肪褥症候群(Heel Pad Syndrome)の検査

局所の身体所見としては、踵骨隆起底部中央に腫脹、熱感、圧痛が見られます。画像診断では、MRIにて踵部脂肪褥における炎症の所見として、脂肪抑制T2強調画像での高信号領域を認めたり、滑液包炎を認めることがあります。

踵部脂肪褥症候群(Heel Pad Syndrome)の治療

保存的治療の目的は、痛みと炎症を軽減し、踵の脂肪組織を保護・維持し、さらなる損傷を防ぐことです。安静にすること、アイシング(活動後に踵に20分間アイスパックを使用)、NSAIDsの内服が有効です。また、踵カップ、靴のインソール、クッション性のある靴下や足底挿板の使用も有効であり、これによって脂肪褥部における足底圧を低下させて痛みを除去することができます。海外ではシリコン注入などの報告もありますが、一般的ではありません。

理学療法士の指導の下、ふくらはぎの筋肉を伸ばす適切なストレッチや、足・膝・股関節の不適切なアライメントとアンバランスを修正するリハビリテーション運動を行うと、治療と再発予防に有用です。

踵部脂肪褥症候群(Heel Pad Syndrome)の予防方法

踵部脂肪褥症候群は、加齢や家族歴による摩耗による要素は予防できませんが、ライフスタイルの改善でリスクを減らすことはできます。

クッション性のある、足裏をサポートする靴を着用するようにし、特にスポーツのときは、アスレチックシューズを履きましょう。高いヒールの靴は体重の分配が不適切で、足の一部に過度の力がかかるので避けたほうが良いでしょう。かかとに強い負荷のかかるスポーツ、例えば、ランニング、バスケットボール、体操を行う時間を制限し、これらの活動の後は踵部脂肪褥が回復するための十分な休息を確保しましょう。肥満があるとか踵にかかる負荷が増強するので、肥満を改善し、健康的な体重を維持するように心がけましょう。また不均一で硬い表面(タイル、硬木、セメントなど)では、裸足で歩くことはできるだけ避けたほうが良いでしょう。

参考文献)

・MB Orthop. 32(1): 57-62, 2019 特集:外来でよく診る足疾患. 踵部痙痛症候群の診かた.

・整形外科診療forプライマリケア診療所.羊土社.

Information      連絡先

06-6396-1374           

お電話でのご予約はできません。