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けが(外傷)
鎖骨骨折
鎖骨骨折(Clavicle fracture)とは
鎖骨は胸骨の上部から肩甲骨の上部(肩峰)に水平に延びている長管骨の骨折です。 鎖骨骨折は、全骨折中約10%を占めるほど多い骨折のひとつです。鎖骨はS字形をした骨であり、上肢と体幹とを結ぶ唯一の骨です。鎖骨は遠位で肩峰と肩峰鎖骨関節で、近位で胸骨と胸鎖関節で関節を形成します。鎖骨の中央部は最も細いセグメントであり、靭帯の付着がないため、最も骨折しやすい場所です。
鎖骨骨折の原因
多くの場は転倒した際に腕を伸ばしてついたり、肩から転倒して直接打撲して骨折します。
骨粗しょう症があると骨折しやすくなります。
鎖骨骨折の症状
骨が折れた部位に痛みや腫れが生じます。 鎖骨骨折で生じる痛みによって、肩を上げられなくなることも多いです。 鎖骨の中間部分の近くで、鎖骨下動脈が第一肋骨の前を通過し、腕神経叢も鎖骨の後ろを通り、中央鎖骨の骨折がある場合にはこれらの重要な構造を損傷するリスクがあります。
鎖骨骨折の検査
レントゲン検査で骨折の有無や骨のずれを確認します。 骨折の仕方やずれが大きい場合は必要に応じて、CT検査を追加します。画像検査における骨折部位の分類では、外側が15%、中央部が80%、内側が5%となり、中央部が大多数を占めます。
鎖骨の骨折は、通常、Allman分類システムを用いて記述され、場所に基づいて3つのグループに分けられます。中央の三分の一、または中央の骨折がグループI(最も一般的)に、遠位または外側の三分の一の骨折がグループIIに、近位または内側の三分の一の骨折がグループIIIに分類されます。
Neer分類も有用です。
タイプ1:わずかな変位があります。これらの骨折は、烏口鎖骨靭帯のすぐ外側で発生し、手術は通常不要です。
タイプ2:内側の骨片が烏口鎖骨複合体から分離する場合に発生します。骨折部断端は胸鎖乳突筋の引っ張りにより下方に転位します。遠位の断片は頭側に転位します。明らかな変形を引き起こし、偽関節と(ほねがくっつかないこと)のリスクが高いとされます。手術を検討します。
タイプ3:骨折が転位せず、肩峰鎖骨関節に及ぶ場合です。これらの骨折も外科的な処置を必要としません。しかし、遅れてAC(肩峰鎖骨)変性変化が発生し、遠位鎖骨部の切除が必要になる場合があります。
®The Royal Children’s Hospital Melbourne.
鎖骨骨折の治療
転位の少ない骨折では保存治療が選択されます。鎖骨バンド(クラビクルバンド)などで患部を固定して安静を保つようにします。固定期間はおおむね4週間が目安です。
骨折部のずれ(転位)が大きく、骨がついても短縮し変形が残ったままだと痛みや運動制限などの機能障害を生じるおそれがあるため、手術療法を検討します。
参考文献)
・スポーツ整形外科学
・The Royal Children’s Hospital Melbourne.
・The Johns Hopkins University, The Johns Hopkins Hospital, and Johns Hopkins Health System.
先生から一言
鎖骨骨折を手術するか、しないかの判断は論争があり難しいところです。私は骨がくっつかないリスクがあると判断すれば速やかに手術できる病院にご紹介するようにしています。10歳未満の子供は癒合率が高く、積極的に保存治療を試みています。