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けが(外傷)
足首の骨折(くるぶし骨折・足関節果部骨折)
足首の骨折(くるぶし骨折・足関節果部骨折)とは
足関節果部骨折(くるぶしの骨折)は下肢外傷のなかでも頻度が高く、日常診療でよくみられます。関節の骨折であるため、単に「骨が折れているか」だけでなく、関節のずれ(転位の大きさ)や、靭帯損傷を含めて足関節が不安定になっていないかを確認したうえで、治療方針を決めます。骨折は脛骨・腓骨・距骨などのいずれか、または複数に生じ、軽症から靭帯損傷を伴う重症まで幅があります。外果・内果・後果といった骨折部位や、脛腓靭帯結合(syndesmosis)の損傷の有無が、重症度と治療の選択に大きく関わります。

足首の骨折の症状
足関節の骨折は、重度の捻挫と症状が似ていることがあり、受傷直後から強い痛みが出て、腫れや皮下出血を伴うのが典型です。体重をかけると痛みが増し、歩行が難しくなることも少なくありません。骨のずれ(転位)が大きい場合や脱臼を伴う場合には、足首の変形が目立つことがあります。
外くるぶし(外果)だけでなく、内くるぶし(内果)側の圧痛や不安定性の有無も重要です。見た目には外側の骨折が主体に見えても、内側の靱帯損傷を合併して足関節が不安定になっていることがあります。不安定性が強いと距骨がずれて関節のかみ合わせが崩れ、痛みや歩行障害が強くなり、治療方針にも大きく影響します。
足首の骨折の原因
足首の骨折の多くは、転倒や段差での踏み外し、スポーツ中の着地ミスや接触などをきっかけに、足関節へ「ひねり(回旋)」の外力が加わって起こります。足部の向き(回外・回内)と外力の方向(外旋・内転・外転)の組み合わせによって損傷が段階的に進むという考え方があり、靱帯損傷が先行して外くるぶし(外果)から後果、内側要素へと広がるタイプや、脛腓靱帯結合(syndesmosis)の損傷を伴いやすいタイプなどが知られています。
とくに脛腓靱帯結合損傷を伴う場合は、足関節の安定性に直結します。見落とすと治療成績に影響し得るため、受傷機転の聞き取りと身体所見から疑う姿勢が重要です。交通事故などの強い外力でも発生しますが、日常では「ひねって転ぶ」「つまずく」といった身近な場面で起こることが多いのが特徴です。

足首の骨折の検査
足首の骨折では、まず受傷機転の確認と、足関節だけでなく足部・下腿まで含めた診察を行い、腫れや圧痛の部位、皮下出血、変形の有無、荷重の可否などを評価します。画像検査の基本は単純X線で、骨折部位、骨のずれ(転位)の程度、関節のかみ合わせ(整合性)、距骨の位置(ずれ)を確認します。
ただし、X線で腓骨の単独骨折に見える場合でも、内側靱帯損傷を合併して実際には足関節が不安定になっていることがあります。そのため必要に応じて、重力ストレスや外旋ストレスなどのストレス撮影を行い、内側クリアスペースの開大や距骨のシフトの有無を確認します。さらに、脛腓靱帯結合(syndesmosis)の離開が疑われるときは、高位腓骨骨折を伴うパターン(Maisonneuve関連損傷)も念頭に置き、下腿全長を含めたX線を評価します。靱帯など軟部組織の評価が必要な状況では、MRIを検討することもあります。
足首の骨折の治療
骨のずれ(転位)が小さく、距骨のずれ(シフト)がなく、ストレス評価でも不安定性が否定できる安定型では、シーネ・ギプス・装具などで固定する保存療法が基本です。受傷直後は腫れと痛みが強いため、安静・挙上・冷却などで腫脹を管理し、固定下で痛みや画像所見をみながら荷重を段階的に調整します。固定期間は約4週間が目安ですが、骨折型や腫れ、疼痛、画像所見に応じて調整し、固定終了後は関節のこわばりを防ぐために可動域訓練や筋力訓練、歩行練習を進めて機能回復を図ります。
一方、距骨のシフトを伴う場合やストレス評価で不安定性が示唆される場合、両果骨折・三果骨折、脱臼を伴う場合などでは、手術(整復固定)が選択されます。手術では外果・内果・後果の骨片を整復し、必要に応じて脛腓靱帯結合(syndesmosis)の安定性を術中に評価して追加固定を行います。後果骨折は、骨片の大きさだけで判断せず、骨折形態や関節面の段差、脛腓間の安定性への影響などを総合して固定の要否を検討します。術後もリハビリを段階的に行い、関節可動域の回復と不安定性・変形性変化の予防を目指します。
参考文献)
・小野瀬喜道, 秋山唯, 仁木久照:2 治療方針決定のために必要な分類法.整形外科サージカルテクニック 13(1):19-27, 2023.
・American Academy of Orthopaedic Surgeons. Ankle Fractures (Broken Ankle). OrthoInfo. December 2020. Accessed December 22, 2025.