整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

06-6396-1374
診療時間
9:00~12:30 13:00
まで
× ×
14:45~18:15 × × × ×
                     
  • ※休診日 水曜午後・土曜午後・日曜・祝日
WEB予約 アクセス

DISEASE DETAILS 疾患一覧

けが(外傷)

踵骨骨折

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)は全骨折の約2%を占め、高所からの落下など強い衝撃が主な原因です。骨折するとかかとに強い痛みと腫れが現れ、地面に足をつくことが難しくなります

踵骨は足の中で最も大きな骨で、立つ・歩く・段差を下りるといった日常動作の衝撃を支える重要な役割を担っています。骨が「潰れて広がり、短くなる」ような変形が生じやすく、関節面にまで損傷が及ぶことも少なくありません。関節面がうまく治らないと、慢性的な痛みや足首の動きの制限、歩行障害といった後遺症につながる可能性があります。

治療では、変形した骨をできるだけ元の形に近づけることが大切で、多くの場合は手術が必要となります。一方で踵骨の外側は皮膚や皮下組織が薄く、手術のタイミングや方法を慎重に選ばないと傷の治りが悪くなることがあるため、状態を十分に見極めながら治療方針を決定していきます。

踵骨骨折の症状

踵骨骨折では、受傷直後からかかとに強い痛みと腫れが現れ、地面に足をつくことが難しくなります。内出血(あざ)が足の裏にまで広がることがあり、これは踵骨骨折を強く疑うサインのひとつです。

骨のずれや潰れが大きい場合は、かかとが外側に膨らんで幅が広くなったり、形が変わったりすることがあります。また、アキレス腱がうまく力を発揮できなくなるため、足首に不安定感を感じることもあります。骨折が比較的軽度であれば歩けることもありますが、痛みをかばうために引きずるような歩き方になることがあります。

注意が必要なのは、腫れが非常に強い場合です。足の内部の圧力が高まる「コンパートメント症候群」を合併することがあり、早急な対応が必要となります。また、骨片が皮膚を内側から強く圧迫している状態(tented skin)が見られる場合も、皮膚のダメージを防ぐために早めの処置が求められます。

踵骨骨折の受傷原因・リスク

最も多い原因は、高所からの転落や交通事故などによる強い衝撃です。着地の際に体重が一気にかかとへ集中することで、距骨が楔のように踵骨に打ち込まれ、骨が潰れるように骨折します。交通事故では、フロアボードやペダルからの衝撃で同様の損傷が起こることがあります。

衝撃が大きいほど骨折は重くなりやすく、脊椎や股関節など他の部位の骨折を同時に合併するリスクも高まります。また、捻りによる亀裂骨折やランニングの繰り返しによる疲労骨折など、比較的軽い負荷でも骨折が生じることがあります。

糖尿病や骨粗鬆症のある方は骨折が起きやすく、治癒も遅れやすい傾向があります。喫煙も骨や傷の回復を妨げる重要なリスク要因として知られています。

踵骨骨折の検査

骨折の評価にはX線撮影とCT検査が用いられます。

X線では側面像・軸位像・Anthonsen像の3方向を撮影します。側面像では関節面の陥没や踵骨の高さをBöhler角で確認します(正常値は20〜40°)。健側との比較が重要なため、反対側も撮影することが推奨されます。軸位像ではかかとの広がりや変形の程度を把握し、Anthonsen像では関節面をより詳しく評価します。X線分類としてEssex-Lopresti分類が一般的で、まず関節内・関節外を分けたうえで、関節内骨折を舌状型と陥没型に分類します。

CTは術前計画に欠かせない検査で、骨折の細かい形状や関節面のずれ、腓骨筋腱の損傷なども確認できます。CT所見をもとにしたSanders分類(TypeⅠ〜Ⅳ)は、手術方法の選択や予後の予測に役立てられます。

踵骨骨折の保存治療(手術以外の治療)

まず骨折の程度や緊急性を評価したうえで、保存療法か手術療法かを選択します。いずれの治療においても、まず痛みのコントロールと腫れの管理が最優先です。鎮痛薬の使用、アイシング、患肢の挙上を行いながら、シーネ(副木)で固定して安静を保ちます。体重をかけない免荷管理が基本となります。

骨のずれが少ない骨折(Sanders分類TypeⅠなど)や関節外骨折の多くは保存療法の対象です。ギプスや装具でおおむね6〜12週間固定し、その間は荷重を避けます。痛みと腫れが落ち着いた段階から、段階的に関節可動域訓練を開始します。骨のずれが少なく、関節面への影響が軽微であれば、予後は概ね良好です。

踵骨骨折の手術療法

骨片が皮膚を内側から強く押し上げている場合、関節面が大きくずれていたり粉砕が激しい場合、かかとの高さが著しく失われている場合、骨折が周囲の関節にまで及んでいる場合、皮膚が破れた開放骨折などが手術の対象となります。特に若い方の場合、変形や関節面のずれを放置すると、将来的に荷重時の痛みや関節症、筋力低下などにつながりやすいため、手術を積極的に検討します。

開放骨折(皮膚が破れている骨折)と、足の内圧が異常に高まって血流や神経が障害される「足部コンパートメント症候群」は、緊急手術が必要です。コンパートメント症候群は典型的な症状が出そろう前に進行することがあるため、腫れが強い場合は足の内圧を計測し、必要であれば緊急で圧力を逃がす処置(減張切開)を行います。

受傷直後はかかと周辺が強く腫れており、この状態での手術は傷の回復不良や感染のリスクが高まります。そのため、腫れが落ち着き、皮膚に自然なしわが戻ってから手術を行うのが基本です。多くの場合、受傷後5〜10日で手術が可能になりますが、腫れの引き方によっては3週間ほど待機することもあります。

手術の方法は、骨折の状態や皮膚・軟部組織の状況に応じて選択します。比較的単純な骨折であれば、小さな切開からスクリューで固定する体への負担が少ない方法が適しています。粉砕が強い骨折では、外側から十分な視野を確保したうえでプレートを用いてしっかり固定します。骨が大きく失われている場合は人工骨(骨補填材)を組み合わせることもあります。粉砕が非常に高度な場合には、足首の関節そのものを固定する手術(距骨下関節固定術)を検討することもありますが、まずは骨の形を整えて固定することを優先し、その後の経過を見ながら必要に応じて関節固定を行う方針をとることもあります。

手術後の回復には時間がかかり、継続的なリハビリテーションが、機能回復の大きな鍵となります。完全な回復には数か月から、場合によっては1年以上かかることもあります。長期的には、足首付近の関節症や腱の障害、筋力低下などが残る可能性もあります。

参考文献)

・有本竜也,原口直樹:総論:踵骨骨折の基本的知識.整形外科サージカルテクニック.2023;13(4):436-441.

・Chirayath A, Dhaniwala N, Kawde K. A Comprehensive Review on Managing Fracture Calcaneum by Surgical and Non-surgical Modalities. Cureus. 2024 Feb 23;16(2):e54786. doi:10.7759/cureus.54786.

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)

Information      連絡先

06-6396-1374           

お電話でのご予約はできません。