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スポーツ整形外科
フライバーグ病(Freiberg病)
Freiberg(フライバーグ)病は、足の中足骨(ちゅうそくこつ)にある骨端核(成長軟骨の中心)に変化が生じ、骨頭の壊死や不全骨折を引き起こす疾患で、主に歩行時に足の痛みを伴います。
1914年にFreiberg医師によって初めて報告され、かつては1923年の別の報告にちなんで「第2 Köhler(ケーラー)病」とも呼ばれていました。
好発年齢は成長期にあたる10〜18歳で、約75%を女性が占めるのが特徴です。大部分は片足のみに発症しますが、約6.6%の割合で両足に発症することもあります。発症しやすい部位としては、足の指の骨のなかで最も長い「第2中足骨」が最も多く全体の68%を占め、次いで第3中足骨(27%)、第4中足骨(3%)の順に多く見られます。

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)
Freiberg病(フライバーグ病)の原因
Freiberg病の明確な発症原因や詳細な発症頻度は、現時点では明らかになっていません。しかし、活発にスポーツを行う中学生以降のお子さんに好発することから、歩行や走行時の「踏み返し動作」を繰り返す力学的なストレスが関与していると考えられています。この繰り返しの負荷によって微小な骨軟骨骨折が生じ、それに続いて骨の壊死に至ると推測されています。
主に運動部などで活動する学生に多く見られますが、日常的に激しい運動を行っていない場合は症状が軽微にとどまることも珍しくありません。そのため、成人になってから別の理由で検査を受けた際に偶然過去の痕跡が発見されたり、成人期になってから初めて発症したりするケースも存在します。
Freiberg病(フライバーグ病)の症状
主な症状は、歩行時や運動時、または運動後に生じる前足部(足の甲側)の痛みです。罹患した足の指の付け根(MTP関節)の周囲に腫れや圧痛が現れ、関節の動かしにくさ(可動域制限)もみられます。特に、歩行時の踏み返し動作などで足の指を反らす(背屈する)際に痛みが誘発されやすく、運動を続けることで症状はさらに強くなります。痛みが悪化すると、歩行が困難になったり、スポーツの継続ができなくなったりするなど、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
診察における徒手検査では、足の指の根元(基節骨基部)を中足骨の背側に押し付けるように軸圧を加えながら反らすと、特有の痛みを訴えるのが特徴です(gliding test)。
軽症のうちは自然に修復されることもありますが、病期が進行すると中足骨骨頭の背側が陥没して平らになり(扁平化)、関節軟骨の剥がれ(裂離)や変形性関節症のような変化へと移行してしまうため注意が必要です。
Freiberg病(フライバーグ病)の検査
診断にあたっては、まず患者様のスポーツ歴や「どのような動作をした時に痛みを感じるか」を丁寧に問診し、足の指の付け根(骨端核)周辺に圧痛がないかを確認します。本疾患は、進行すると中足骨の変形性関節症へと移行して後遺症を残す恐れがあるため、画像検査による早期発見と早期治療が極めて重要です。
画像検査の基本となるレントゲン(X線)検査では、正面からの撮影で骨頭の丸みが失われている様子が確認できます。さらに斜めからの撮影(斜位像)を行うことで、中足骨頭の背側が陥没している状態がより明確に描出されます。具体的には、骨端核が白く硬くなる「硬化」、ぺちゃんこに潰れる「扁平化」、細かい破片に分かれる「分節化」といった特徴的な変化が観察されます。
レントゲンでは変化が捉えにくい初期段階の診断には、MRI検査が非常に有用です。MRIでは、病変部がT1強調像で黒く(低信号)写り、T2強調像や脂肪抑制像では骨髄のむくみ(骨髄内浮腫)を反映した白いサイン(高信号領域)として確認できるため、早期診断の決め手となります。
また、病期が進行している場合ではCT検査が必要です。CT検査では、骨頭の陥没具合や、骨壊死に伴う軟骨下の空洞、関節内に剥がれ落ちた骨のかけら(遊離体)などを立体的かつ詳細に把握することができます。
なお、当院での診察の結果、これらのMRI検査やCT検査によるさらに精密な評価が必要と判断した場合には、速やかに設備の整った提携病院へご紹介しています。
当院では非常に珍しい、第1中足骨のフライバーグ病の診断がついたことがあります。下記のレントゲンでは第一中足骨の骨頭に圧壊を認めました。


Freiberg病(フライバーグ病)の治療
かかとのSever病など他の足部骨端症は、保存療法のみで予後良好となることが多いですが、Freiberg病は保存療法が無効な場合も少なくありません。進行して変形性関節症をきたした場合には手術の負担が大きくなり、治療成績も不良となる恐れがあるため、適切なタイミングでの手術適応の判断が非常に重要となります。
保存治療
主に初期段階の病変(Gauthier分類 Stage 0〜Ⅰ)に対して推奨される治療法です。疼痛が強い場合は、まず競技活動やスポーツを休止して患部の安静を保ちます。安静期間には個人差がありますが、おおむね2週間から1ヶ月程度が目安となります。
局所の安静を図るため、足の指を反らす(背屈する)動きや踏み返し動作を制限するテーピング、船底靴の使用、場合によっては足趾までのギプス固定を行うこともあります。また、前足部への負担を軽減する目的で、中足骨パッドなどのインソール(足底装具)を使用し、患部の除圧を図る治療も有効です。ただし、病変が中足骨頭の背側(甲側)に位置しているという特性上、インソールのみでの効果は限定的となる場合があります。

手術治療:基幹病院に紹介
病期が進行し変形性関節症をきたしている場合(Gauthier分類 Stage Ⅲ以上)や、早期のスポーツ復帰を強く希望される場合には手術療法が考慮されます。
初期の症例に対しては、骨穿孔術や病巣掻爬術が行われます。進行した症例に対する代表的な術式としては、壊死部分をくさび状に切除し健常な骨頭部分を背屈させて関節面を確保する「背側楔状骨切り術(背屈骨切り術)」や、膝関節からご自身の骨と軟骨の一部(自家骨軟骨柱)を移植する「骨軟骨移植術」などが挙げられます。その他にも、剥がれ落ちた骨の破片を取り除くデブリドマン、中足骨短縮術、腱やインプラントによる関節形成術など、病態に応じた様々な術式が検討されます。
なお、骨切り術や骨軟骨移植術などの手術を行った場合、歩行などの日常生活に支障は出ないものの、足の指の付け根(MTP関節)に健側の3分の2程度の動かしにくさ(可動域制限)が残ることが共通の課題とされています。
当院での診察や保存治療の結果、進行例であり手術加療が望ましいと判断した場合には、専門的な手術設備が整った提携先の基幹病院へご紹介します。
参考文献)
・杉本和也,磯本慎二,三浦公郎,百田吉伸.第2・3中足骨疲労骨折,Freiberg病.関節外科.2022;41(suppl-2):166-173.
・山口智志:足部の骨端症,副骨障害,癒合症.MB Orthopaedics 38(5):65-72,2025.

先生から一言
Freiberg病(フライバーグ病)はあまり知られていない疾患ですが、スポーツ(特に野球やサッカー)を活発に行う中学生以降のお子様によく見られます
なかなか診断がつかず、原因のわからない足の痛みとして放置されていることも多いです
適度な安静、装具、ストレッチを中心とした理学療法・リハビリで進行を食い止めることが可能です
本疾患は見逃されたままで進行すると変形性関節症となり、もとの骨の形には戻らなくなってしまい手術が必要になることもあります
早期発見が重要であるため原因不明の足の指付近の疼痛がある場合は早めに受診いただくようお願いします