整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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その他の症状

骨軟骨腫

骨軟骨腫(こつなんこつしゅ)とは

骨軟骨腫(osteochondroma)は、骨表面から正常な皮質骨や骨髄と連続性を保ったまま隆起し、その表面が硝子軟骨(軟骨帽)で覆われる良性骨性腫瘍です。原発性骨腫瘍および良性骨腫瘍の中で最も頻度が高く、日常診療で比較的遭遇しやすい腫瘍で、良性骨腫瘍の約3分の1を占めます。発症は多くが30歳代までで、男女比は1.8対1と男性に多く、長管骨の骨幹端に好発し、関節近傍の硬い骨性隆起として触知されます。約15%は常染色体優性遺伝の形式で多発性に生じる多発性遺伝性骨軟骨腫で、この場合は1~5%で軟骨肉腫への悪性転化が報告されています。

骨軟骨腫の症状

症状は発生部位により多彩です。一般的には関節近傍に硬い骨性隆起を触れ、運動時痛や関節可動域制限を生じることがあります。脊椎発生例では部位特異性がみられ、椎弓発生例では脊髄症状、関節突起発生例では神経根症状、棘突起発生例では後頚部痛と可動域制限、横突起発生例では椎骨動脈閉塞症状を呈しやすいとされています。睡眠時無呼吸症が報告された例もあります。実際に頚椎椎間関節から発生して脊髄症状を呈した症例では、神経症状の出現を踏まえて手術適応と判断されています。

骨軟骨腫と傍骨性骨肉腫

骨軟骨腫と非常に類似する病変として傍骨性骨肉腫(骨肉腫の亜型)があり、誤って骨軟骨腫として経過観察されることがあるため注意が必要です。骨軟骨腫は基部の皮質骨および骨髄と連続性を示すのに対し、傍骨性骨肉腫はこの連続性を欠きます。どちらも大腿骨に好発し、傍骨性骨肉腫は大腿骨遠位後面に生じやすく、経過観察のみでは増大し高悪性度の肉腫に変化することがあります。脊椎発生例はまれですが報告があり、発育軟骨部に一致して棘突起、上下関節突起、椎弓根部などに発生します。本邦報告では発生高位は頚椎、胸椎、腰椎の順に多いとされています。

骨軟骨腫の検査

画像診断では単純X線がまず有用で、皮質骨から連続して茸状あるいは台地状に隆起する骨性隆起として描出されます(下の画像参照:患者さまより許可を得て掲載)。

CTやMRIでは、基部における皮質骨・骨髄との連続性の確認や軟骨帽の厚み評価、周囲神経や血管への影響評価、脊柱管内進展の有無の把握に役立ちます。鑑別診断として傍骨性骨肉腫が重要で、骨軟骨腫が皮質骨・骨髄との明確な連続性を示すのに対し、傍骨性骨肉腫ではこの連続性がみられない点が決め手となりますが、両者は画像上きわめて類似することがあるため注意が必要です。

多発性遺伝性骨軟骨腫では、疼痛の持続や骨成長終了後の増大がみられる場合に悪性転化(多くは軟骨肉腫)を念頭に生検を行います。フォローアップに確立した手法はありませんが、長期にわたる頻回のX線やCT撮影による被ばくを避ける観点から、年1回の全身MRIによるスクリーニングの有用性が報告されており、とくに多発性骨軟骨腫では体幹部を中心に生涯にわたり経過観察が必要と考えられています。

当院でみつかった指骨の骨軟骨種:レントゲン画像
当院でみつかった指骨の骨軟骨種:レントゲン画像

骨軟骨腫の治療

無症状で小病変の場合は経過観察が基本ですが、症状がある場合には隆起した骨およびその先端にある軟骨帽を含めて切除を行います。多発性遺伝性骨軟骨腫では1~5%で悪性転化が生じうるとされる一方、報告によっては1~25%程度と幅があるため、疼痛や増大傾向を認める症例では生検や切除を含め慎重に対応します。悪性化の組織型は軟骨肉腫が大半で、年齢は通常の軟骨肉腫より低く20歳代にピークがあるとされ、発生部位は骨盤、肩甲骨、大腿骨近位部に多いと報告されています。予後は通常の軟骨肉腫と同様に比較的良好とされ、再発例を含めても遠隔転移を認めず長期生存が得られた報告があります。

脊椎発生例に対する外科治療では症状と部位に応じてアプローチを選択し、たとえば頚椎椎間関節由来で脊柱管内に存在する場合には後方からの片側椎弓切除で展開して切除します。腫瘍切除にはエアトームを用いた報告が多い一方、硬膜への強い癒着が予想される際には顕微鏡下で超音波吸引装置の使用が有用とされます。

検査や診察の結果、手術が必要と考えられる場合には、腫瘍外科の専門医がいる提携病院をご案内し、スムーズに受診できるようお手伝いします。

参考文献)

・林孝儒ら.頚椎椎間関節に発生し脊髄症状を呈した骨軟骨腫の1例.東日本整形災害外科学会雑誌.2017;29(2):154-157.

・中村博亮(編).苦手克服!速考!整形外科外来診療エッセンス:小児・腫瘍・スポーツ編.東京:南江堂,2024年5月21日.

・土屋弘行(編).今日の整形外科治療指針 第8版.東京:医学書院,2021年10月11日.

先生から一言

当院で骨軟骨腫が見つかった場合は、痛みなどの症状があるときや、短期間で腫瘍が大きくなっている場合など、詳しい検査や治療が必要と判断されるときには、腫瘍の専門医がいる提携基幹病院をご紹介いたします。必要に応じて連携を取りながら、安心して治療を受けていただけるよう対応いたします。

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