整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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リウマチと関連疾患

多発性筋炎 / 皮膚筋炎

多発性筋炎・皮膚筋炎(特発性炎症性筋疾患)の概要

多発性筋炎(PM)および皮膚筋炎(DM)は、本来であれば細菌やウイルスから身体を守るはずの免疫システムが、誤ってご自身の骨格筋(筋肉)や皮膚、肺などを攻撃してしまう原因不明の「全身性自己免疫疾患」です。

近年、この病気は単一の疾患ではないことが判明し、総称して「特発性炎症性筋疾患(IIM)」と呼ぶことが標準となっています。 IIMには、筋肉の症状が乏しいタイプ(無筋症性皮膚筋炎:ADM)、筋肉が壊死してしまうタイプ(免疫介在性壊死性筋症:IMNM)、肺や関節の症状が強く出るタイプ(抗合成酵素症候群:ASSD)、他の膠原病に合併するタイプ(オーバーラップ症候群)など、多様な病態が含まれています。

単に筋肉や関節が痛むだけの病気ではなく、免疫の異常が全身に波及するため、患者さん一人ひとりの「病型(サブタイプ)」を正確に見極め、それぞれに最適な個別化医療を行うことが重要です。

「筋肉の痛みや力の入りにくさ」といった、整形外科疾患と非常に見分けがつきにくい症状の背後に、膠原病(特発性炎症性筋疾患)が隠れていることがあります。当院ではこれまで、初期のスクリーニング検査から基幹病院での確定診断へと至った症例を数多く経験しており、早期発見に向けた「入り口」でありたいと考えています。少しでも違和感を感じられた際は、まずはご来院ください。

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)

最終更新日:2026年4月27日

多発性筋炎・皮膚筋炎(特発性炎症性筋疾患)の症状

単なる加齢や使いすぎによる痛みとは異なり、数週間から数ヶ月(亜急性)の単位で全身に多様な症状が現れるのが本疾患の特徴です。

代表的な症状として、首(頸部屈筋)や、太もも・二の腕といった身体の中心に近い筋肉(四肢近位筋)の筋力低下が挙げられます。具体的には、「仰向けから起き上がれない」「和式トイレから立ち上がれない」「腕が上がらない」、あるいは「飲み込みにくい(嚥下障害)」といった自覚症状が現れます。筋肉そのものの自発痛はまれですが、押すと痛むことがあります。また、首や肩周りに痛みやこわばりが出るものの筋力低下を伴わない「リウマチ性多発筋痛症」など、他の疾患との慎重な区別も必要になります。

皮膚筋炎を伴う場合には、特徴的な皮膚症状がみられます。まぶたの赤紫色のはれ(ヘリオトロープ疹)や、手指の関節の甲側に出る赤い発疹(ゴットロン丘疹)が代表的です。これらに加えて、指の腹や側面が荒れる「機械工の手(メカニクスハンド)」や、手のひら側に発疹が出る「逆ゴットロン徴候」など、患者さんの病型タイプによって多様な皮膚症状が現れます。

さらに、筋肉や皮膚以外の全身症状にも注意が必要です。特に、空咳や動くときの息切れを伴う「間質性肺炎」を高頻度で合併します。中には数週間で急激に呼吸状態が悪化する「急速進行性間質性肺炎」を引き起こすタイプもあるため、早期の発見と対応が極めて重要です。また、特定の病型(抗合成酵素症候群など)においては、発熱や、冷たい刺激で指先が白くなるレイノー現象、さらには関節リウマチに似た関節の腫れや痛みを伴うこともあります。

多発性筋炎・皮膚筋炎(特発性炎症性筋疾患)の原因

はっきりとした原因は不明ですが、患者さんごとの「病型(サブタイプ)」によって、根本的な免疫の異常メカニズムが異なることが判明してきています。例えば、皮膚筋炎では「I型インターフェロン」、抗合成酵素症候群では「II型インターフェロン」という、それぞれ異なる免疫関連遺伝子が過剰に働いていることが示唆されており、これが多彩な症状の違いを生み出しています。

多発性筋炎・皮膚筋炎(特発性炎症性筋疾患)の検査

当院では、筋肉の痛みや筋力低下をきたす他の疾患(甲状腺機能の異常、ウイルス感染、薬剤の副作用など)を慎重に除外した上で、的確な診断と予後予測のための検査を行っております。

当院では診断の第一歩として、血液検査による詳細なスクリーニングを実施しております。主に筋細胞の破壊に伴って血中に漏出する酵素(CK、アルドラーゼ、LDH、AST、ALTなど)を測定し、筋肉の炎症レベルを客観的に評価します。
筋疾患においては、「病型によってCK値が正常範囲にとどまるケース」や、「検査値が高くても自覚症状が乏しいケース」など、数値と症状が必ずしも一致しないことがあります。そのため当院では、血液検査による客観的なデータと、臨床症状に基づく慎重な診察を組み合わせることで、病変の早期発見と正確な診断に努めております。

さらに当院では、診断の要となる「筋炎特異的自己抗体(MSA)」の測定も行っております。抗ARS抗体や抗MDA-5抗体などの自己抗体を詳しく調べることで、肺の合併症のリスクや治療への反応性を事前に予測し、精度の高い病型分類を行うことが可能です。同時に、間質性肺炎の合併や重症化リスクを評価するためのバイオマーカー(KL-6やフェリチンなど)も併せてチェックし、全身状態を速やかに確認いたします。

血液検査の結果、本疾患の疑いが強まった場合には、より高度な精密検査を行うために速やかに専門医療機関へご紹介いたします。ご紹介先では、骨格筋MRIによる筋肉の炎症(浮腫)の評価や、筋電図を用いた障害程度の確認、さらには確実な病型分類のための組織検査(筋生検・皮膚生検)などが行われます。また、成人発症の炎症性筋疾患は悪性腫瘍を合併しやすい特性があるため、基幹病院と連携の上、胃カメラ・大腸カメラや各種がん検診を含む全身の徹底的なスクリーニングを依頼し、万全の管理体制を整えます。

当院は、適切な治療への架け橋となる「血液検査による早期スクリーニング」を重要視しております。気になる症状がある方は、まずは当院での血液検査をご検討ください。

多発性筋炎・皮膚筋炎(特発性炎症性筋疾患)の治療

特発性炎症性筋疾患は、問診、血液検査(自己抗体の精密な解釈)、筋病理などの結果を統合して「どの病型に当てはまるのか」を正確に分類・診断することが、治療の最も重要な第一歩となります。

治療の基本は「副腎皮質ステロイド」ですが、再燃を防ぎ、ステロイドの副作用を軽減するために、初期段階から「免疫抑制薬」を併用するのが現在の主流です。間質性肺炎の進行が早い重症例では、複数の強力な免疫抑制薬を組み合わせた集学的治療が迅速に行われます。免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)は飲み込みの障害(嚥下障害)や、重度の筋力低下がある場合には、点滴による免疫グロブリン療法が選択されることもあります。

特発性炎症性筋疾患は極めて専門的な全身管理を要する疾患で、当院のみで治療行うことは困難です。スクリーニング検査の結果、本疾患が疑われた場合は早期に適切な治療を受けていただけるよう、膠原病専門医が在籍する基幹病院へ速やかにご紹介しております。

参考文献)

・笹井恒雄, 中嶋蘭. 多発性筋炎 / 皮膚筋炎のバイオマーカー. 炎症と免疫. 2025; 33(6): 474-481.

・吉田晃, 桑名正隆. リウマチ性疾患による筋障害. 炎症と免疫. 2025; 33(3): 238-242.

・梅澤夏佳. 炎症性筋疾患の診断と治療. Medical Practice. 2024; 41(2): 220-225.

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