整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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けが(外傷)

舟状骨骨折

舟状骨骨折は、手首の親指側(橈側)に痛みが出る骨折で、手根骨(手首の骨)の骨折の中で最も多いとされています(全体の約60~90%)。多くは、手首を反らせた状態で手をついて転倒したときに起こりますが、パンチング動作などでも受傷することがあります。

舟状骨骨折は見逃されやすく、単純X線(レントゲン)では初期には骨折線がはっきり写らないこともあります。親指の付け根にある「解剖学的嗅ぎたばこ窩」(くぼみ)を押して強い痛み(圧痛)がある場合は舟状骨骨折を疑います。

また舟状骨は、部位によって血流が乏しいところがあり、治りにくい(骨癒合しにくい)骨です。そのため、早い段階で診断して、固定などの適切な治療を行うことが大切です。転位(ずれ)が小さい骨折であれば、受傷後1か月以内に診断して治療できると、骨がつく可能性は高くなります。

一方で、診断が遅れたり放置されたりすると、骨がつかずに偽関節(骨がくっつかない状態)になりやすく、偽関節になると骨移植を伴う手術が必要になることがあります。さらに偽関節が治療されないまま経過すると、約10年ほどで二次性の変形性手関節症(SNAC wrist:舟状骨偽関節に伴う進行性の手関節変形)につながることがあります。

転倒後に手首の親指側が痛い、嗅ぎたばこ窩を押して痛いといった場合は、早めに整形外科で評価を受けることが重要です。

舟状骨骨折の症状

舟状骨骨折では、手首の親指側(橈側)の痛みが中心症状です。受傷直後から痛むことが多く、腫れ(腫脹)を伴うこともあります。痛みは、手首を動かしたときや手をついたときに増悪しやすく、特に握る・つまむ・絞るといった動作で強くなるのが特徴です。腫れの程度は一定せず、手関節の可動域制限を伴う場合もあります。

また、舟状骨骨折はあざや明らかな変形が目立たないことが少なくありません。そのため患者さん自身が「軽い捻挫」と考えてしまい、受診が遅れることがあります。

舟状骨骨折の原因

もっとも多いのは、転倒して手をついたときに起こる受傷です。特に、手首が反った状態(手関節背屈位)で手をつく転倒(FOOSH:fall on outstretched hand)が代表的で、体重の衝撃が手首の親指側に集中することで舟状骨の骨折が生じます。

また、転倒以外でも、拳で強く打つようなパンチング動作で受傷することがあります。手首に軸方向の強い力が加わることで、舟状骨に負担がかかるためです。

なお、この受傷機転は橈骨遠位端骨折(いわゆる手首の骨折)と同じであるため、症状や状況が似ている場合があり、両者を鑑別しながら評価することが重要です。

舟状骨骨折の検査

親指の付け根のくぼみ(嗅ぎたばこ窩)と、手のひら側のふくらみ(舟状骨結節)を押して痛みがあるかを確認します。ここに強い圧痛があれば舟状骨骨折を疑います。

①解剖学的嗅ぎたばこ窩(anatomical snuffbox)の圧痛

親指を伸ばしたときに手首の親指側にできるくぼみで、ここを押して痛む場合は舟状骨骨折を疑います。

②舟状骨結節(scaphoid tubercle)の圧痛

手首の手のひら側(掌側)で親指側に触れる骨のふくらみで、ここに圧痛があることも舟状骨骨折を強く示唆します。


疑った場合は、最初にレントゲン(X線)を撮ります。ただし通常の4方向だけでは見落としがあり、舟状骨をはっきり写すための追加撮影(舟状骨撮影:scaphoid view)を行うこともあります。舟状骨は他の骨と重なって写りにくく、初期は骨折線が見えないこともあります。

レントゲンで骨折がはっきりしない場合でも、圧痛が明確なら骨折を否定できません。このときは手首を固定して、1~2週間後にレントゲンを撮り直して確認します。レントゲンでは分からずMRIで初めて分かる骨折(見えない骨折)が約2割あるため、レントゲンで異常がなくても疑いが強いときは固定を続け、追加検査(MRIなど)を検討します。

舟状骨骨折の治療

治療は、骨折のずれ(転位)の程度と骨折部位で決まります。舟状骨は血管が主に遠位側から入って骨の中を近位へ向かうため、近位ほど血流が悪く、骨がつきにくい傾向があります。そのため「近位」「ずれがある」ほど、早めに手術を勧められることが増えます。

舟状骨の近位部骨折は治癒しにくく、手術になりやすい
1)保存治療(ギプス固定)

ずれが小さい新鮮骨折(目安:1mm以内)で、遠位部またはずれのない体部(腰部)では、ギプス固定で骨癒合が期待できます。前腕までのギプスで6~8週間程度(骨折の状態によってはそれ以上)固定し、1~2週ごとにレントゲンで位置の変化がないか確認します。固定中は手をつく動作や強いひねりを避け、痛みが強い作業は控えます。固定を外した後もすぐに完治とは限らないため、受傷後約3か月までは通院して骨のつき具合を確認します。

経過中にずれが増えた場合、骨折線がはっきりして不安定になってきた場合、痛みがなかなか引かない場合などは、治療方針を見直して手術へ切り替えることがあります。転位が少ない段階で固定できるほど、骨癒合の面では有利です。

2)手術治療(内固定)

ずれが大きい、骨折が近位にある、長期間のギプス固定が難しい(仕事や生活上の事情など)、経過観察中にずれが増えるような場合は手術を検討します。一般的には、透視(レントゲンの動画)で位置を確認しながら、皮膚を小さく切開してスクリューで骨を固定します。手術の目的は、骨のずれを整えて確実に骨をつけることと、長期固定による不便さを減らすことです。

一方で手術には、感染、神経や血管の刺激、再手術が必要になる可能性などのリスクもあります。スクリューは通常は体内に残しますが、違和感が強い場合などには抜去を検討することがあります。手術後も骨折の状態により短期間の固定を行い、その後は手首のこわばりを防ぐために段階的に動かしていきます。

3)偽関節(骨がつかない場合)

診断が遅れたり、固定が不十分だったりすると偽関節になることがあります。偽関節では骨の形や並びが崩れやすく、放置すると痛みや関節の変形につながる可能性があります。この場合は、骨移植(必要により血管付き骨移植)で骨の欠損を補い、変形を整えたうえでスクリュー固定し、骨癒合を目指します。

参考文献)

・三浦俊樹:手関節痛で考えるべき疾患とその鑑別法.診断と治療 111(6):761-765,2023.

・寺田信樹:舟状骨骨折.日本医事新報 (5094):42-42,2021.

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)

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