整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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スポーツ整形外科

シンデスモーシス損傷

シンデスモーシス損傷|足首の捻挫が治らない方へ

「足首を捻挫してから痛みがなかなか引かない」「外くるぶしより少し上が痛い」「歩けるようになったのに、走ると痛む」――このような症状の原因の一つに、シンデスモーシス損傷(遠位脛腓靱帯損傷)があります。「ハイアンクルスプレイン」とも呼ばれる、足首の靱帯損傷です。

すねには、太い「脛骨」と、その外側にある細い「腓骨」の2本の骨があります。シンデスモーシスとは、足首の少し上でこの2本を結びつける関節構造です。前下脛腓靱帯、後下脛腓靱帯、骨間靱帯、横脛腓靱帯の4つの靱帯に支えられ、足首の動きに合わせてわずかに動きながら、関節のかみ合わせと安定性を保っています。

足首を強くひねるなどしてこれらの靱帯が傷つくと、歩行時や運動時に痛みが生じます。損傷の程度によっては、脛骨と腓骨の位置関係を保てなくなり、足関節に不安定性が残ることがあります。

レントゲンで骨折が見つからなくても、靱帯が傷ついていることがあります。 足首の捻挫後に痛みが長引く場合は、損傷している場所と関節の安定性を確認し、状態に合った治療を受けることが大切です。

一般的な足首の捻挫との違い

一般的な足関節捻挫では、外くるぶしの前方から下方にある外側靱帯を傷めることが多くあります。一方、シンデスモーシス損傷では、足首の関節より少し上にある、脛骨と腓骨をつなぐ靱帯が傷つきます。両方の損傷が同時に起こることもあります。

シンデスモーシス損傷では、靱帯が傷ついていても関節の安定性が保たれている場合と、骨同士の位置関係を保てなくなる場合があります。この「不安定性の有無」が、治療方法を決める重要なポイントです。

不安定性が残ると、歩行時や運動時の痛みが続き、関節の軟骨に負担がかかることがあります。長期的には変形性足関節症につながる可能性もあるため、適切な評価と治療が必要です。

シンデスモーシス損傷の症状

主な症状は、足首の前方から外くるぶしのやや上にかけての痛みです。歩いて体重をかけたときや、階段の昇り降り、足首を反らす動作、足先を外側へひねる動作などで痛みが出ることがあります。また、走る、ジャンプする、急に方向を変えるといったスポーツ動作で痛みが強まり、捻挫後の腫れが引いても、歩行時や運動時の痛みが続く場合があります。

損傷した部分を押すと痛みがあり、腫れや皮下出血を伴うこともあります。ただし、腫れが少ない場合や歩行できる場合でも、靱帯が損傷している可能性はあります。 見た目の腫れや歩けるかどうかだけでは、けがの程度を判断できません。

捻挫後の痛みが長引く原因には、シンデスモーシス損傷のほか、骨折や軟骨の損傷、他の靱帯・腱の損傷などもあります。痛む場所だけで自己判断せず、整形外科で原因を確認することが大切です。

足首が変形している、体重をかけられないほど痛い、足先にしびれや冷たさがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

シンデスモーシス損傷の原因

シンデスモーシス損傷は、足部に対してすねがひねられたり、足先がすねに対して外側を向くような強い力が加わったりすることで起こります。足首が強く反らされる動きや、外がえしの力が加わる場合もあります。

例えば、サッカーやラグビーで足を地面についたまま身体をひねったときや、接触・転倒などで足首に大きな力が加わったときに生じます。スポーツ以外でも、段差での転倒や交通事故などが原因になります。

4つの靱帯のうち、前方にある前下脛腓靱帯は特に損傷しやすい部分です。加わる力が強いと、骨間靱帯など複数の靱帯へ損傷が広がることがあります。

靱帯だけが傷つく場合に加え、外くるぶし・内くるぶし・足首の後方の骨折などに合併する場合もあります。そのため、骨折が見つかった際にも、周囲の靱帯や関節の安定性を確認します。

シンデスモーシス損傷の検査・診察

シンデスモーシス損傷の診断では、どの靱帯が傷ついているかに加え、足関節に不安定性が生じているかを確認することが大切です。 受傷時に足首をどのようにひねったか、どこに痛みがあるか、歩行や運動がどの程度できるかを伺い、診察で圧痛や腫れ、足首の動きなどを確認します。必要に応じて、すねを圧迫したり、足部に外旋の力を加えたりして、痛みの出方を調べます。

レントゲン(X線)検査では、骨折や脱臼の有無、脛骨と腓骨の間隔、足関節のかみ合わせを確認します。ただし、靱帯そのものはレントゲンでは詳しく見えないため、「骨に異常がない」と言われていても、靱帯が損傷している場合があります。 必要に応じて、体重をかけた状態での撮影や、医師の管理下で力を加えるストレス撮影などを検討し、関節の安定性を評価します。

超音波(エコー)検査では、皮膚に近い場所を走る前下脛腓靱帯を中心に、靱帯の連続性や腫れなどを観察します。靱帯の走行に合わせて確認することが重要であり、深い部分を含めた損傷の全体像については、他の検査も組み合わせて判断します。

靱帯損傷の範囲や程度を詳しく調べる必要がある場合には、MRI検査を行います。当院ではMRI検査を実施していないため、近隣の提携病院へご紹介して撮影を受けていただきます。 提携病院との連携により、比較的早い日程で検査を受けられることが多くありますが、撮影日は予約状況によって異なります。

検査後は当院で画像や検査結果を分かりやすくご説明し、今後の治療方針をご相談します。 MRIの所見だけでなく、痛みの程度や関節の安定性、日常生活・スポーツへの影響も踏まえて、治療を進めていきます。

シンデスモーシス損傷の治療|保存療法・手術・リハビリテーション

シンデスモーシス損傷の治療は、関節の安定性や骨折の有無、日常生活・スポーツへの影響などを考慮して決定します。脛骨と腓骨の位置関係が保たれ、不安定性がない場合は、保存療法で回復を目指します。 受傷直後は運動を休止し、冷却や足の挙上で痛み・腫れを抑えます。損傷の程度に応じて装具やギプスなどで固定し、必要な場合は松葉杖を使用して体重をかける量を制限します。痛みに対しては鎮痛薬を使用し、固定期間や歩行を再開する時期は、診察所見と回復の経過に合わせて調整します。

一方、脛骨と腓骨の間が開いている場合や、検査で明らかな不安定性が確認される場合には、手術を検討します。骨折に伴って関節のかみ合わせが崩れている場合も、骨の位置を戻して固定する治療が必要になることがあります。手術が必要と判断した場合は、対応可能な基幹病院へご紹介します。 手術では、骨の位置関係を正確に戻し、スクリューやスーチャーボタンなどで固定します。損傷の状態によっては、前下脛腓靱帯の修復や補強を組み合わせます。

手術後のリハビリテーションは、当院でも対応可能です。 手術を担当した医師の指示や治療方針を共有し、骨折や靱帯の回復、固定の安定性、傷の状態などに合わせて進めます。体重をかけ始める時期や運動の範囲についても、紹介先の病院と連携しながら調整します。

保存療法・手術療法のいずれの場合も、回復段階に応じたリハビリテーションが大切です。患部を保護しながら、足首の動く範囲を広げる訓練、筋力訓練、バランス訓練を行います。スポーツ復帰に向けては、歩行から軽いランニング、ジャンプ、方向転換へと段階的に進め、競技に必要な動作を確認します。日常生活で歩けるようになっても、全力で競技ができるまでには、さらに回復が必要な場合があります。

シンデスモーシス損傷は、一般的な足首の外側靱帯損傷より回復に時間がかかる傾向があります。一般的な活動への復帰に6~8週間程度かかることがあり、重症例や骨折を伴う場合には、さらに長期間を要することもあります。ただし、この期間がそのままスポーツ復帰の目安になるわけではありません。復帰の時期は経過日数だけで判断せず、痛みや関節の安定性、可動域、筋力、競技に必要な動作を確認して決定します。

参考文献)

・村橋靖崇,寺本篤史.遠位脛腓靱帯損傷治療に必要なシンデスモーシスの構造と基礎知識.MB Orthop. 2025;38(11):63-69.依光正則.

・足関節顆部骨折に対する骨接合術―成功に導く術前準備.関節外科.2025;44(4月増刊号):143-152.

・American Orthopaedic Foot & Ankle Society. High Ankle Sprain. FootCareMD.

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)

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