DISEASE DETAILS 疾患一覧
スポーツ整形外科
バレエによる足・膝・股関節の痛み
こんな症状があれば整形外科へ
- ポワントでのかかとの奥の痛み・違和感
- 足首を伸ばしたときのつまり感・可動域制限
- ジャンプ・着地後の足首の痛み・捻挫をくり返す
- アキレス腱やかかと周囲の腫れ・痛み
- レッスンによる足の痛み・腫れ・しびれ
- 膝の前側・内側の痛み(バレエで膝が痛い)
- 股関節・そけい部のつまり感・引っかかり
- 反る動作(アラベスク・カンブレ)での腰の痛み

バレエで足・膝・股関節が痛くなる理由
「バレエで足が痛い」「バレエで膝が痛い」「バレエで股関節が痛い」という症状は、めずらしいものではありません。日本では子どもから大人まで多くの方がバレエを習っている一方で、年齢や柔軟性に見合わない動きで痛めてしまうことがあります。
クラシックバレエでは、つま先立ちのポワント・ドゥミポワント、股関節を大きく開くターンアウト、さらにプリエやジャンプを何度もくり返すといった動きがあります。これらの動きは足首を強く伸ばしたり、股関節を外にひねったりするため、どうしても足・足首・膝・股関節に負担がかかりやすくなります。とくにポワントで足首をめいっぱい伸ばしたときに、かかとの奥がつまるように痛む場合は「足関節後方インピンジメント症候群(PAIS)」というバレエ障害が疑われます。

また、プリエのときに上体が前に倒れていると膝の前に負担が集中しやすくなりますし、ターンアウトを股関節ではなく足先だけで無理に作っていると足首の内側を使いすぎてしまいます。さらに、骨盤が前に倒れたまま踊っていると、股関節の前やそけい部が「つまる」感じになり、痛みにつながることがあります。このように、バレエの動きそのものに加えて「動き方のくせ」も痛みを起こす大きな要因になります。

バレエで起こりやすい疾患・外傷
- 足関節後方インピンジメント・三角骨障害
- ジャンプ後の足関節捻挫・足関節靱帯損傷
- 足関節不安定症
- 距骨骨軟骨損傷
- 中足骨疲労骨折
- 長母趾屈筋腱障害・腱鞘炎
- Morton病
- メタタルサルジア
- 扁平足
- 有痛性外脛骨
バレエで痛みがでる主な原因
むりなターンアウト
本来は股関節で開くところを、足だけ外にねじってしまうと足首や膝がねじれて痛くなります。
ポワント・ドゥミポワントの準備不足
足首を最大に伸ばすための筋力・可動域がまだできていないのにポワントをくり返すと、かかとの奥がつまったり(PAIS)、母趾を動かす腱がこすれて腫れたりします。
レッスン量の急な増加・発表会前
8〜11歳くらいでレッスン回数が増える時期、大人バレエで発表会前に急に回数が増えた時期は、関節や腱がまだ慣れていないため痛みが出やすくなります。
当院でできる検査と治療
身体診察
まずは「どの部位が痛いのか」をはっきりさせます。プリエで痛いのか、ポワントでつまるのか、ターンアウトで股関節が詰まるのかなど、痛みがでる動作、痛みがでる場所を特定して原因を推定します。
レントゲン・エコー(超音波)
骨折、骨のでっぱり(三角骨など)、関節や骨の異常を診ます。エコーでは肉離れ、腱鞘炎、腱の断裂、関節の腫脹などの評価が可能です。
スポーツの休止の指導
完全に休むのではなく、痛みが出る動きだけ回数を減らしたり、レッスンを週1回に戻したりして、炎症をおさえます。発表会が近い方には、その時期にできる範囲での動きの調整を一緒に考えます。
リハビリで痛みを取る・動きを直す
リハビリで行うことは大きく分けて「筋力訓練(筋トレ)+ストレッチ」です。骨盤・体幹を安定させる練習を先に行い、プリエで上体が前に倒れないように下肢、体幹の筋力を鍛えます。バレエを続けながら治す方針 をご相談します。
薬の処方・痛みに対するブロック注射
痛みどめの薬・ブロック注射が必要な場合は、症状に合わせて処方します。
参考文献
齋藤 愛見,渡會 公治,船渡 和男:バレエの直立およびプリエ姿勢に関する4~11歳女児の年齢および経験年数に伴う変化.日本臨床スポーツ医学会誌 33(1): 124-133, 2025.
生駒 和也,牧 昌弘,高橋 謙治:クラシックバレエの後足部痛の可視化.臨床スポーツ医学 40(10): 1042-1045, 2023.
生駒 和也:バレエダンサーの足部・足関節傷害.日整会誌 97:676-686, 2023