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膝が痛い方へ|変形性膝関節症とリハビリでできること(淀川区・三国駅1分)
階段や立ち上がりで「ズキッ」とくる膝の痛み、朝のこわばり、歩くときの不安定感…。それは変形性膝関節症などで膝の関節に負担がかかっているサインかもしれません。こうした膝の痛みは、適切なリハビリテーション(運動療法)で改善が期待できます。
このページでは、手術の前にできる膝のリハビリ・運動療法について、整形外科専門医の立場から、国内外のガイドラインや臨床報告に基づいてわかりやすく解説します😊
こんな症状でお困りではありませんか?
・朝起きたときや、長く座ったあとに膝がこわばる
・歩くと膝がズキッと痛む
・階段の上り下りや、立ち上がる瞬間がつらい
・「変形性膝関節症と言われたけれど、どうすればいいのかわからない」
・注射や湿布だけでは良くならず、手術をすすめられて不安

なぜ“リハビリ”が効果的なの?
① 筋力と関節の動きを取り戻す
太ももやお尻の筋肉(大腿四頭筋・股関節外転筋〈中殿筋など〉)は、膝を支える土台です。ここが弱ってくると、膝関節そのものに負担が集中しやすくなり、歩く・立ち上がる・階段で「ズキッ」と痛みが出やすくなります。
変形性膝関節症(いわゆる「膝の軟骨がすり減って痛い状態」)はとても頻度の高い病気で、日本では多くの方が歩行時の膝の痛みやこわばり、階段のつらさなどで悩んでいると報告されています。

変形性膝関節症では、ただ「膝が痛い」だけでなく、太ももの筋力低下や膝がしっかり曲がらない・伸びないといった動きの制限が起こりやすく、立ち上がりや階段動作がつらくなり、膝周りの筋肉痛が出やすくなったり、日常生活の質(QOL)も下がっていきます。
こうした膝の痛みに対して、世界中のガイドラインでは運動療法(リハビリ)が「まず行うべき基本治療」と強く推奨されています。運動療法は、痛みをやわらげる、膝を安定させる、曲げ伸ばしを改善する、歩く・立つ・階段といった動作をしやすくする、といった効果が示されています。
大切なのは、ただ「筋トレを頑張る」ことではありません。痛みの場所や動きのクセ、どこが弱いかは人によって違うため、当院のリハビリでは一人ひとりに合った内容・回数・フォームを調整して、安全に動けるようサポートします。
② 安静にしているだけでは良くならない理由
「痛いから、あまり動かないでおこう」と考える方はとても多いです。
ただ、膝を守っている筋肉(特に太ももの前側=大腿四頭筋や、お尻の横=股関節外転筋)は、使わないとすぐに弱ってしまいます。
実際、膝に痛みがある方では、健康な人と比べて太ももの筋力が25%ほど低下しているという報告があります。筋力が落ちると膝が不安定になり、さらに痛みが出やすくなります。つまり、
「痛い → 動かない → 筋肉が弱る → もっと痛い → さらに動けない」
という悪循環に入りやすいのです。
リハビリはこの悪循環を断ち切るために、「痛みを許容できる範囲の安全な運動」を少しずつ積み重ねて、筋力と安定性を取り戻していく治療です。これは手術(人工関節など)や高額な自費診療より前に行うべき基本治療と位置づけられています。
③ 痛みがあっても安全に続けられる
「痛いのに動かして大丈夫?」とよく聞かれます。
結論からいうと、“正しいフォームで・やりすぎない範囲で”動かすことは安全で、膝の安定性アップや痛みの軽減につながると報告されています。
リハビリでは、理学療法士が痛みの程度・姿勢・体力に合わせた“オーダーメイドの運動”を提案します。無理にきつい運動を押しつけることはありません。
階段や立ち上がりで「ズキッ」と痛む方へ
階段の上り下りや、椅子から立ち上がる瞬間に「ズキッ」とくるのは、膝そのものだけの問題ではないことがよくあります。代表的にはこの2つ筋肉が関係します。
・太ももの前(大腿四頭筋)が弱っていて、膝に体重を受け止める力が足りない
・お尻の横(股関節外転筋)が弱っていて、体が片側に傾き、膝の内側に負担が集中している
この状態だと、立ち上がる・一段目を踏み出すなど「膝にグッと荷重がかかる瞬間」に痛みが出やすくなります。
当院のリハビリでは、ただ膝をマッサージするのではなく、これらの筋力やバランスがどのくらい保てているかをチェックし、必要な筋肉を狙って鍛えていきます。これは「痛い膝を守る」だけではなく、「膝に負担が集中しない身体の使い方を取り戻す」ためのアプローチです。
当院のリハビリで行うこと
① 痛みと動きの評価(まず状態を正確にチェックします)
まず、痛みの場所と出方を確認します。
・どの動きで痛いのか(歩くとき・階段・立ち上がり・片脚で立つとき など)
・膝はどこまで曲がる/伸びるのか(関節の可動域)
・太ももの前(大腿四頭筋)にしっかり力が入るか
・お尻の横(股関節外転筋)が支えとして働いているか
これらが弱っていると、膝がグラつき、痛みが長引きやすいことが分かっています。
さらに、立位や歩行時の姿勢・バランスも確認します。例えば、痛い側の脚に体重をかけるとき、体が横に大きく傾いていないか、片脚で安定して立てるか、といった点は膝の痛みや転倒リスクと関係します。
この評価をもとに、「今どこが一番つらいのか」「どこを鍛えると一番ラクになりそうか」を明確にします。“あなた専用のリハビリ計画”を組むための重要なステップです。
② 膝と股関節まわりの筋力トレーニング
膝の痛み=膝だけ鍛えれば良い、ではありません。
太ももの前(大腿四頭筋)とあわせて、お尻の横の筋肉(股関節外転筋)を鍛えることがとても大切です。両方をバランスよく使えるようにすることで、膝への負担を減らし、立ち上がりや階段がラクになることが報告されています。
具体的には、まずは負担の少ない姿勢から始めます。
・横向きで脚をゆっくり上げる運動(股関節外転運動)
・座った姿勢で膝をまっすぐ伸ばす運動(膝伸展運動)
・太ももに力を入れて保持する運動(いわゆるクアドセッティング)
痛みが許す範囲で、ゴムバンドなどの軽い抵抗を加えていき、最終的には立った姿勢での運動や、片脚でのバランス練習にも進みます。この段階になると「歩きやすさ」「階段の一歩目」「立ち上がりの安定感」が変わってきます。
ポイントは「膝だけでなく股関節も一緒に鍛える」こと。股関節がしっかり働くと、歩行中に体が必要以上に傾いたり、膝の内側にストレスが集中しにくくなります。その結果、膝の内側の痛みがやわらぐケースが多いとされています。
③ 自宅で続けられるメニューと経過チェック
リハビリは“その場で1回やって終わり”ではなく、“続けられること”がとても大切です。
研究では、週に複数回のエクササイズを数週間〜数か月続けることで、
・痛みが軽くなる
・歩きやすさが向上する
・片脚で立つ安定性が上がる
・階段が前よりラクになる
といった変化が得られることが示されています。
当院では、「この運動は1日◯回まで」「この痛みの強さを超えたら中止」など、安全ラインを具体的にお伝えします。これは「とりあえず我慢して歩いてください」ではありません。
“安全にできる範囲を一緒に決める”ことが目的です。
また、片脚立ちの安定性や、階段の上り下りのつらさなど、実際の生活動作がどう変わっているかを定期的に確認しながら内容を調整します。必要に応じて杖やサポーターなどの補助もご提案します。
④ 痛みをやわらげる物理療法(必要に応じて併用)
温熱や電気治療などで血流を改善し、こわばりをやわらげ、動きやすい状態をつくったうえで運動につなげていきます。
当院の方針は「電気だけ当てて終わり」ではありません。
「物理療法で動きやすくしたあと、その方に合った運動(リハビリ)まで行う」ことを基本としています。これは、痛みをやわらげるだけでなく、再発しにくい体の使い方を取り戻すためです。
よくあるご質問
Q. 痛いのに動いて本当に大丈夫でしょうか?
A. 正しいフォームで、痛みが強くなりすぎない範囲で行う運動は、膝を安定させて痛みを減らす方向に働く、と報告されています。特に太もも前の筋肉(大腿四頭筋)とお尻の横の筋肉(股関節外転筋)をバランスよく鍛えることで、歩行時や立ち上がり時の「ズキッ」が軽くなるケースが多いです。リハビリ中は姿勢や体の傾きもチェックし、「がんばりすぎて悪化する」ことを防ぎます。
Q. どのくらいで良くなりますか?
A. 個人差はありますが、太ももと股関節まわりの筋トレを組み合わせたプログラムでは、2〜4週間ほどの比較的早い段階から「歩いたときの痛みが軽い」「階段が前よりラク」という変化が出始めたという報告があります。続けることで、片脚で立つ安定性や、歩き方そのものの改善も期待できます。
Q. 年齢が高くても意味はありますか?
A. あります。むしろ大切です。膝が痛いからと動かないでいると筋力が落ち、転倒リスクが上がります。転倒は骨折や寝たきりにつながることもあります。「年齢だから仕方ない」ではなく、「安全に動けるように体を整える」ことが重要です。
Q. リハビリは保険で受けられますか?
A. はい。当院では整形外科専門医の診察のもと、理学療法士による個別リハビリを保険適用で行っています。
膝の痛みを放置するとどうなる?
放置して動かないままでいると、太ももや股関節まわりの筋力がさらに低下し、膝の安定感が失われていきます。その結果、外出が減り、転倒しやすくなり、骨折や要介護のきっかけになることもあります。
「痛いから安静」だけで長期間すませるより、早めに評価・リハビリを始めることが、手術を回避する第一歩になります。
阪急三国駅すぐ・通いやすい環境です
当院は阪急宝塚線「三国」駅から徒歩1分、国道176号線沿いです。エレベーター・駐車場完備で、膝の痛みで歩くのがつらい方や、階段が不安な方でも通院しやすい環境です。大阪市淀川区・三国エリアで、地域のみなさまの「もう一度しっかり歩ける体づくり」をサポートしています。

まとめ
膝の痛みは「年齢のせいだから仕方ない」と言われがちですが、実際には、運動療法(リハビリ)は世界的に“まず行うべき基本の治療”として強く推奨されています。筋力を戻し、膝の安定性を高め、日常生活をラクにすることは、手術よりも前の段階で取り組める大切な選択肢です。
当院では整形外科専門医が診断し、理学療法士が一人ひとりの痛み・筋力・動き方に合わせた運動メニューを提案します。まずはお気軽にご相談ください。
参考文献・エビデンス
日本整形外科学会 変形性膝関節症診療ガイドライン2023.
American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS). Management of Osteoarthritis of the Knee (Non-Arthroplasty): Evidence-Based Clinical Practice Guideline. 2021.
角瀬 邦晃, 神成 透, 小林 巧. エビデンスも活用した変形性膝関節症患者に対する理学療法ケーススタディ. 理学療法. 41(9):781-790, 2024.
監修:三国ゆう整形外科 院長 曽我部 祐輔(整形外科専門医)
監修日:2025年11月1日