整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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2023.05.28 整形外科一般リハビリテーション

生涯自分の足で歩くために!膝の軟骨のすり減りをを予防するには??

皆さま、こんにちは。院長の曽我部です🍀

膝や股関節の痛みで当院を受診される患者さまはとても多いです。

痛みの原因となる変形性関節症は、軟骨が徐々にすり減ってしまうことで発生します。しかし、軟骨は生きていると消しゴムのようにすり減る消耗品であり、軟骨のすり減りは避けられない生命現象です。近年、平均寿命が80歳以上まで伸びてきたことで、すり減りによる症状が目立つようになってきたといえます。江戸時代の初期では、平均寿命が30歳から40歳程度だったと言われており、70歳を超えると超長寿とされていました。そのため、当時の人々は、軟骨がすり減る前に生涯を終えていたのです。

それでは寿命の延びた現代人は生涯自分の足で歩くために、どうやって軟骨のすり減りを予防すればよいのでしょうか?

今回は、軟骨のすり減りを予防するための対策についてお話しします。

① 肥満に注意する

変形性膝関節症と肥満との関連はよく知られています。

吉村典子らは、肥満と膝の変形の関連性についての研究から以下のようなことを報告しています。

まず、変形性膝関節症と体格の関連についてです。BMI(体格指数)が1kg/㎡上がると、変形のリスクが14%上昇することがわかりました。

(参考:変形性股関節症と肥満についても、BMIが18.5から24.9kg/㎡の人を基準にした場合、BMIが27.5kg/㎡以上の人は、HOAの有病リスクが1.83倍も高いことが報告されました)

次に、変形性関節症の発生率と体格との関連を見てみましょう。

BMIが1上がると、変形性膝関節症発生のリスクが2.4倍高くなることがわかりました。

(参考:変形性股関節症について、BMIが27.5kg/㎡以上の人は、新たな発生リスクが1.78倍高いことが報告されました)

これらの結果から、肥満は変形性膝関節症、変形性股関節のいずれにおいても、有病率と発生率の両方のリスクを高めることが明らかになりました。つまり軟骨のすり減りを減らすためには体重を増やしすぎないようにすること、体重を少しでも減らして適正体重に近づけることが大切なのですね。

当院では、漢方+運動療法を中心とした肥満治療、減量を積極的に行っております

ご希望の方は院長までお気軽にご相談ください😊

② 筋肉を鍛える

変形性膝関節症は軟骨がすり減ってくる病気です。軟骨は消耗品で、生きている間は誰でも少しづつすり減ってきます。いかに軟骨のすり減りを減らして、大事に使えるかが大切です。

変形性関節症の筋力トレーニングとして、大腿四頭筋の筋トレがよく行われています。大腿四頭筋の筋力トレーニングが効果的だと言われる理由は以下の通りです。

①大腿四頭筋は、膝を保護する「ショックアブソーバー(衝撃吸収材)」の役割を果たしています。大腿四頭筋が弱ると、OAの進行が早まるとされています。

②動物実験でも、大腿四頭筋のトレーニングにより生じる関節の圧迫力が、関節軟骨の強度、サイズ、そして弾性を増加させることが示されています。これにより、軟骨の劣化を防ぐ効果があるとされています。

③関節の痛みが減少効果:血流の増加や栄養物質の増加による効果と考えられています。

④ 関節周囲の関節包や腱、靭帯の強度の増加 → 関節障害を予防する

⑤ 関節の腫れを減少させる

⑥ Gate Control Mechanism(ゲートコントロール理論)

痛みの知覚を説明するために1965年に提唱された理論です。私たちの体は痛みの「ゲート」のようなものを持っており、このゲートが開くと痛みを感じ、閉じると痛みを感じにくくなるとされます。

例えば適切な強度の運動をするとゲートが閉じ、痛みの伝達が抑制されます。逆に、強い痛み刺激があると、逆にゲートが開き、痛みが大脳に伝わりやすくなってしまいます。

理学療法士などの医学的知識を有するスタッフによるリハビリが大切なのは、適切な負荷で痛みのゲートを閉じることができるからなのです。

以上の理由により、大腿四頭筋の筋力トレーニング変形性膝関節症の予防に極めて重要と言えます。

また、重要なのは大腿四頭筋だけでなく下肢や体幹の筋力すべてをバランスよく鍛えることです。有酸素運動も有効であるといわれています(無理なジョギングは禁物ですが・・・)

当院では選りすぐりのの理学療法士が、膝関節症の治療や予防に最適なメニューで施術を行います。

③ 日常での注意事項を守る(正座を避ける、洋式トイレを使う)

正座や和式トイレでは膝が深く曲がり、膝関節に大きな負荷がかかります。特に正座は長時間の続けると、膝に強い圧力がかかり、軟骨のすり減りを早める可能性があります。同様に、和式トイレでは深く膝を曲げる必要があるため、こちらも膝関節に大きなストレスを与えます。できるだけ洋式トイレを使用するように心がけましょう。

正座は膝にとっては百害あって一利なしです

正座は膝にとっては百害あって一利なしです

膝をクーラーなどで冷やしすぎない

膝の痛みに対して冷やすことが必ずしも有害とは限りません。例えば、運動後の膝の痛みや腫れを軽減するためには、冷やすことが一般的に推奨されています。しかし慢性的な疼痛に対しては冷やすことは有害となることが多いです。

膝が冷やされすぎると筋肉や関節が硬くなり、動きが悪くなる可能性があります。また、血行が悪くなると、関節や軟骨への栄養供給が悪くなり、これが変形性膝関節症の進行を促進する可能性があります。したがって、クーラーなどで膝を冷やしすぎないようにすることは、変形性膝関節症の予防においては一部有効な対策と言えるでしょう。冷房を使う際には、直接風が当たらないようにする、冷えすぎた部屋で長時間過ごさないなど、適度な温度管理を心掛けてください。

「冷えは万病のもと」は膝にも当てはまります。クーラー病に要注意!

「冷えは万病のもと」は膝にも当てはまります。クーラー病に要注意!

変形性関節症は、早い段階で治療を始めることができれば進行を遅らせることができます。しかし病状が進行してしまうと、手術以外の治療が難しくなることもあります。ですから痛みを感じたら、できるだけ早く当院を受診いただくことをお勧めします。

運動療法、減量・ダイエット、ヒアルロン酸注射など必要な治療がすべて当院で受けられます。

三国ゆう整形外科ではみなさまと一緒に、一生を通じて自力で歩けるような治療を行っていきます。

どんな小さな痛みも軽視せず、お早めにご相談ください🍀

参考文献:

市橋則明ら.理学療法学 第28巻第3号 p76-81, 2001.

吉村典子ら. Geriat.Med.60(10):893~899,2022.

日本整形外科学会、変形性膝関節症. 「変形性膝関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる (joa.or.jp)

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