整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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2023.04.08 整形外科一般

ガングリオン:手首、足首のしこりの正体とは?

「ガングリオン」という言葉を聞いたことはありますか?ガングリオンは、手首や足首にできることが多い、皮膚の下の“しこり”で、ほとんどが良性です。中にはムコ多糖を含む粘液がたまっており、見た目は透明なゼリーのような内容物が特徴です。

ガングリオンは、関節包や腱鞘がふくらんでできる“ヘルニア”のようなものと考えられています。なかでも手首の背側にできやすく、男女比はおおむね1:3で女性に多い傾向があります。年齢層は20〜40代に多く、スポーツや手作業などで手首・足首をよく使う方にみられやすい点も特徴です。

手関節の背側にできたガングリオン
手関節の背側にできたガングリオン

ガングリオンはどこにできやすい??

ガングリオンは、手首や足首など、関節や腱の周囲にできやすい良性のしこりです。

手首では、手のひら側(掌側)に生じることがあり、手根管症候群(指のしびれを引き起こす疾患)と関連してみられる場合もあります。一方で、手首の背側(背側手関節)のガングリオンは特に頻度が高く、この部位のふくらみに気づいて受診される方が最も多い印象です。

足首では、腱や靱帯が集まる部位に生じやすい傾向があります。とくに足関節の内側に多く、内側側副靱帯周辺を発生母地としてみられることがあります。また、足関節の外側(外くるぶし周辺)に生じることもあります。

ガングリオンはなぜできる?

ガングリオンの原因は、医学的にまだはっきりしません。発生に関わる可能性がある要因として、いくつかの考え方(学説)が知られています。

代表的なのは、関節包や腱鞘など関節・腱の周囲組織に微小な損傷が生じ、その部位に関節液に近い液体がたまって嚢胞(袋状のふくらみ)が形成されるという説です。また、手や足をよく使うスポーツ、職業、家事などで関節や腱に負荷がかかると、発生しやすくなる可能性があるとも考えられています。

さらに、リウマチや関節炎などの関節疾患に伴って出現することもあります。遺伝的要因や反復動作によるストレスの関与も指摘されています。

ガングリオンの診断方法

ガングリオンは多くが良性ですが、まれに別の皮膚腫瘍などが紛れる可能性もあるため、「たぶんガングリオン」と自己判断して放置するのは避け、医師の診断で確認することが大切です。

まず診察では、しこりの部位・大きさ・硬さ・動き・痛みの有無を触診で評価します。ガングリオンは袋状のしこりとして触れることが多く、弾力のあるやわらかさを示します。内容が透けて見える場合があり、光を当てると透光性が確認できることもあります。

次に超音波(エコー)検査は、袋の中に液体があるかを非侵襲的に確認でき、診断に有用です。典型的には均一な低エコー(黒っぽい)として描出され、ドプラで血流を認めないことが多いのが特徴です。診察やエコーだけで判断が難しい場合や、深部の評価が必要な場合にはMRIを行います。

必要に応じて穿刺検査を行い、内容液を採取して診断の裏づけをします。透明〜琥珀色のゼリー状の粘液が吸引されるのが典型です。

足にできたガングリオン。光を当てると光っているのがわかります(Flash-powered transillumination)
足にできたガングリオン。光を当てると光っているのがわかります. Copyright © 2023. Website by American Creative

ガングリオンの治療

ガングリオンは純粋に良性の腫瘍であり、がんとは異なります(他の悪性腫瘍との鑑別は必要でこれには医師の診断が必要です)。そのため症状がなければ必ずしも治療を必要とはしません

しかし、ガングリオンの周囲の痛み、圧迫感、関節可動域の制限などの症状が出る場合は治療が必要となる場合があります。また見た目が目立つ場所にあるときは整容的な観点から治療を行うこともあります。

① ガングリオンの穿刺・吸引

ガングリオンは自然に小さくなる(消退する)こともあるため、まずは「半数程度は自然に改善する可能性がある」ことを説明し、症状が軽い場合は経過観察を提案します。

改善しない場合は、穿刺して内容液を吸引(排液)します。中身は透明なゼリー状で粘り気が強いことが多く、処置は短時間で、痛みはチクッとする程度です。穿刺しても排液が得られない場合は、ガングリオン以外の皮下腫瘍なども含めて再評価します。

治療としては、自然消退も含めて全体の半数程度で良好な経過が期待できます。なお、穿刺後のステロイド局所注射は再発率を下げないという報告があり、色素脱失や脂肪萎縮の副作用もあり得るため、当院では併用していません。

当院で穿刺療法を穿刺:腫瘤は消失

②外科的切除

再発を繰り返す場合、痛みが強い場合、腫瘤が神経を圧迫してしびれなどの神経症状を伴う場合、または見た目(整容面)の理由で摘出を希望される場合には、手術を検討します。

一方で、手術後も再発は一定割合でみられ、報告では概ね5~30%程度とされています。さらに、創部感染、神経障害、肥厚性瘢痕(傷跡が目立つ)などの合併症の可能性もあるため、症状や日常生活への支障、再発リスクを踏まえて適応を慎重に判断します。

手関節背側のガングリオンでは、施設によって関節鏡下手術が行われることがあります。低侵襲である一方、視野確保や器具操作に熟練を要するため、経験豊富な手外科医が在籍する医療機関での手術が望ましいと考えます。

手術をご希望の方には、当院の連携病院(淀川キリスト教病院、大阪府済生会中津病院、十三市民病院、大阪市立総合医療センター、大阪回生病院など)をご紹介いたします。

整形外科 | 外科系診療科 | 診療科・部門 | 淀川キリスト教病院 (ych.or.jp)

手関節背側のガングリオンに対する関節鏡手術

Copyright ©TECHNOLOGY AND CODE article. Front. Surg., 31 August 2022. Sec. Orthopedic Surgery

参考文献

私の治療 No.5075 山口泰之( (2021.7.31, 日本医事新報)

TECHNOLOGY AND CODE article. Front. Surg., 31 August 2022 Sec. Orthopedic Surgery

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