整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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2025.10.28 整形外科一般

痛風発作を繰り返さないために|受診の目安と高尿酸血症の管理(大阪・淀川区)

こんにちは、院長の曽我部です🍀

夜中に足の親指がズキッと痛む・・・そんな痛風発作を繰り返す背景には、「高尿酸血症」が隠れています。痛みが引くと受診を先延ばしにしがちですが、再発を防ぐカギは発作がない時期の尿酸管理です。

このブログでは、受診のタイミング・検査と治療・生活でできる対策を、整形外科医の目線からわかりやすくお伝えいたします😊

痛風発作はどんな症状?

突然、きっかけがなく関節が激しく痛み出すのが典型的です。とくに夜間から早朝にかけて起こりやすく、足の親指の付け根(母趾MTP関節)が痛むことが多いですが、足首や膝、まれに手や肘に出ることもあります。発作はうずきや違和感の前兆から始まり、発症後およそ12時間で痛みのピークに達します。関節は赤く腫れて熱を帯び、軽く触れただけでも飛び上がるほど痛むことがあります。強い腫れがでないこともあり、注意が必要です。

痛みが強いと「歩けない、靴が履けない」といった日常生活の支障につながることがあり、何もしなくても2〜3週間で自然に軽くなることはありますが、再発しやすく、繰り返すうちに発作の間隔が短くなったり複数の関節に広がったり、慢性化することがあります。

こんな症状が出たら受診を

・(健診などで)尿酸値が高めと言われている

・夜中に足の親指の付け根がズキズキし、触れるだけで激痛

・強い関節痛・腫れ・赤み・熱感が出た

・痛みで歩行がつらい、靴が履けない

・痛み止めで一時的によくなってもすぐぶり返す

痛風発作の原因は?

痛風発作は、尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くことで、関節内に尿酸の結晶(尿酸ナトリウム結晶)がたまり、体の免疫反応が強く起こって関節が急に腫れることで起こります。

発作は「結晶があること」だけでなく、尿酸値が急に上下することをきっかけに起こりやすくなります。たとえば、飲酒(とくに多量・一気飲み)や食べすぎ、脱水(汗・入浴・サウナ・発熱時など)、激しい運動や関節への負担、急な減量や断食などは引き金になりがちです。尿酸を下げる薬を新しく始めた直後や量を変えた直後も、一時的に発作が出やすい時期があります。

また、尿酸値が高いほど、そしてその期間が長いほど発作のリスクは上がりますが、個人差もあり、体質(遺伝)や生活環境によっても起こりやすさは変わります。

尿酸値が高いと、どのようなリスクがある?|放置は危険!

尿酸塩の結晶は血管内でも炎症を起こしやすく、高血圧や動脈硬化を通じて心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めると考えられています。高尿酸血症は腎機能低下とも関連が強く、いわゆる痛風腎や将来的な透析のリスク増加につながる可能性があります。そのため、尿酸値のコントロールは発作を抑えるだけでなく、生活習慣病の予防や心臓・血管・腎臓を守る目的でも重要です。

また痛風発作をくり返すと、発作間隔が短くなったり別の関節へ広がったりして、痛みが続く慢性痛風へ進行することがあります。関節の周囲に硬いしこり(痛風結節)ができ、骨のびらんや関節機能低下、関節破壊(変形性関節症)につながる場合もあります。

尿酸値が高いまま放置すると、脳卒中や心筋梗塞、変形性関節症を発症するリスクがあります
尿酸値が高いまま放置すると、脳卒中や心筋梗塞、変形性関節症を発症するリスクがあります

当院でできる治療・フォロー

痛風発作が起きたら、まず痛みと腫れを素早く抑えます。症状がでてから治療までが早いほど症状が治まりやすいです。内服はNSAIDs(ロキソニン、ジクロフェナク)や必要に応じてステロイドを処方します。コルヒチンは前兆があるとき、初期に限って少量で使います。感染が否定できる場合は、関節内ステロイド注射も選択肢です。あわせて患部の冷却・挙上・安静を指導します。

発作が落ち着いたら、再発を防ぐために薬で尿酸値の長期管理をおこないます(ここが大切!)。薬は少量から開始し、数週〜数か月かけて目標の尿酸値6.0mg/dL以下(痛風結節がある場合は5.0mg/dL以下)を目指します。薬剤はアロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット、ベンズブロマロン、ドチヌラドなどから腎機能や相互作用をみて選択します。

定期フォローでは、尿酸・腎機能・肝機能(お酒の飲みすぎによるγGTP上昇など)中性脂肪、コレステロールなどの採血チェック、薬の副作用確認を行います。用量調整中は2〜4週おき、その後は1〜3か月おきを目安に通院間隔を調整します。

生活習慣のポイント

水分摂取

高尿酸血症の治療は毎日の生活を少しずつ整えることが効果的です。水分はこまめに摂るよう心掛け、1日1.5〜2Lが目安です(心臓や腎臓に病気がある方は個別に相談)。晩酌は量と頻度を控えめにし、果糖の多い清涼飲料は避けます。

食事

三大栄養素のバランスを整え、エネルギー量を年齢・性別・活動量に合わせて適正化します。プリン体の多い食品(内臓肉、干物、イワシ・カツオなど)は完全にやめる必要はありませんが、とりすぎに注意しましょう。野菜・果物・乳製品も取り入れたDASH食(高血圧予防のための食事)や地中海食に近い内容がおすすめです。

運動

歩行・自転車・水中運動など続けやすい有酸素運動を習慣化しましょう。運動時は特に脱水に注意してください。

よくある誤解

①「ビール(プリン体)だけが原因ですか」

ビールやお酒のつまみは食べないので大丈夫、ではありません!アルコール全般や果糖飲料、脱水、極端な高たんぱく食などが尿酸を上げやすく、体内でもプリン体から尿酸が新たに作られます。食事は“ゼロ化”よりも量と頻度のコントロールが大切です。

②「発作が治まれば放置でOK?」

無治療でも2〜3週間で軽快することはありますが、放置すると発作間隔が短くなり、結節形成や関節破壊、尿路結石・腎機能低下、さらに心血管リスクの上昇につながります。痛くない時期に尿酸値を目標(通常6.0mg/dL以下)まで下げて維持することが再発予防と全身の保護に重要です。

③「激痛の今こそ尿酸を“ぐっと”下げれば早く治る」

痛みがある急性期に尿酸降下薬を新規開始・増量すると、かえって発作が悪化・遷延することがあります。急性期はまず痛みと炎症のコントロールを優先し、炎症が落ち着いてから少量で開始して段階的に増量、必要に応じてコルヒチンで“発作予防カバー”を行います。

最後に

痛風や高尿酸血症は、「痛みが治まれば大丈夫」と思って放置すると、関節の変形や心筋梗塞・脳卒中、腎機能の低下、透析など、重大な合併症につながることがあります。発作がない今こそ、再発を防ぐ最大のチャンスです。

三国ゆう整形外科では、整形外科専門医による正確な診断と関節エコーを用いた評価、そして生活習慣・薬物療法の両面からの尿酸管理を行っています。地域の皆さまの健康を守る“かかりつけ整形外科”として、治療から予防まで丁寧にサポートいたします😊

阪急三国駅から徒歩1分、駐車場41台(無料駐車券発行)KOHYO三国店2階です🍀

参考文献

・高尿酸血症の治療 薬物療法 痛風発作治療薬. 大山博司. 日本臨牀 82(6): 907-912, 2024.

・高尿酸血症の治療 食事・栄養・生活指導. 福内友子. 日本臨牀 82(6): 878-884, 2024.

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