整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗鬆症外来

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2023.06.26 骨粗しょう症

女性ホルモンの減少が引き起こす「更年期障害」と「骨粗しょう症」の深い関係

院長の曽我部です。

更年期の関節のこわばりや痛みが、更年期障害の症状のひとつであることを以前のブログでご説明しました。

実は、骨がもろくなる病気である「骨粗しょう症」も更年期障害と深い関係があります。更年期障害は閉経を迎える50歳前後の10年程度に起こる症状のことを指します。のぼせなどのホットフラッシュ、不安やイライラ、肩こり、頚の痛み、膝などの関節の痛み、指のこわばりや疼痛、腱鞘炎などがよく知られています。更年期障害はエストロゲン(女性ホルモン)の低下によって起こりますが、骨粗しょう症の原因にもなります。

骨粗しょう症は骨の量が減少し、もろくなる病気です。骨の新陳代謝が、女性ホルモンの減少により乱れることが原因となります。女性ホルモンは骨を作る細胞(骨芽細胞)の活動を促し、骨を壊す細胞(破骨細胞)の活動を抑制します。したがって、ホルモンが減少すると、骨の生成が減り、逆に骨の破壊が増え、結果として骨密度が減少します。

下の図は骨密度の年齢に伴う推移グラフです。白い矢印で示した真ん中のラインが年齢ごとの平均的な骨密度の数値になります。年齢とともに骨密度が徐々に減少し、特に「50歳前後の更年期を境に骨密度が急激に減少し始める」のがわかります。閉経後の女性は潜在的に「骨粗しょう症予備軍」といえます。

なぜ女性ホルモンの変動が骨粗しょう症を引き起こすのか?

全身の骨は常に新しく作られ(骨形成)、古い部分が取り壊される(骨吸収)という新陳代謝が行われています。この新陳代謝のことを骨代謝といいます。骨の内部の海綿骨は年間で約40%、骨の外側の硬い皮質骨は5~7%が新しく入れ替わっています

女性ホルモンの減少によって、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きが一気に活発になり、さらに酸化ストレスを増大させて骨の成分であるコラーゲンを劣化させ、骨の質もわるくなります。

女性ホルモンが減少し、「破骨細胞」の働きが強くなることが骨粗しょう症の主な原因です

女性ホルモンの減少は、骨の石灰化度(カルシウム含有量)の低下を引き起こし、また一方で骨の「微細構造」を壊します。下の図のように、骨の内部(海綿骨)が薄くすかすかになり、骨の外側の硬い部分(皮質骨)が薄くなり、下多孔性(あなだらけになること)になります。

骨粗しょう症になると、海綿骨が多孔性となり骨密度が低下します。

男性も加齢とともに男性ホルモンが減少するのですが、女性ほど急激に減少することはありません。それに対して女性は、閉経を迎えると、女性ホルモンが一気に減少してしまいます。

ホルモン減少は永続的で、通常は自然回復しません。骨粗しょう症の主な原因が性ホルモンの永続的な減少にあるならば、何らかの治療介入がない限り、骨密度が加齢とともに減少していくのは避けられません。

更年期の骨粗しょう症に対する検査

骨粗しょう症の診断のために必要なのは「脊椎のレントゲン」「骨密度検査」です。

下の図は骨粗しょう症の診断チャートです。まずは脊椎、大腿骨、肋骨などをはじめとした脆弱性骨折(ぜい弱性骨折:骨がもろくなることでおきる骨折)を調べる必要があります。ふつうは骨折するといたみで気づくものですが、脊椎は痛みがなくおこる「いつのまにか骨折」が起こりえます。そのため腰痛などの明らかな症状がなくても、脊椎のレントゲンをチェックする必要があります。

骨密度の低下と脊椎や大腿骨の骨折があると、骨粗しょう症と診断されます。

骨密度は「大腿骨」「脊椎」の2か所で調べるのが正確です。この2か所の骨密度が全身の状態をよく反映しており、かつ骨折すると介護が必要となったり、寝たきりになりやすくなるからです。踵や腕で計測する骨密度は不正確で、ガイドラインでは推奨されていません。

骨密度は「脊椎」「大腿骨」の2か所でしっかり測定しましょう!当院では5分程度で結果がでる、米GE社製の骨密度測定器(保険適応)を導入しています🍀

上記の検査で骨粗鬆症と診断されたら必要に応じて血液検査を行います。理由は主に以下の3つです。

① 女性ホルモンの減少以外に骨粗鬆症の原因となる内臓疾患がないかを調べるため

② 骨粗鬆症の治療薬が使用できなくなる腎機能低下、肝機能低下などがないかを調べるため

③ 骨代謝マーカーで骨吸収と骨形成のバランスを調べ最適な骨粗しょう症薬を選択するため

骨吸収マーカー:酒石酸抵抗性酸フォスファターゼー5b (TRACP-5b)

骨形成マーカー:1型プロコラーゲンーN一プロペプチド(PINP)

例えばTRACP-5bが高ければ骨吸収が過剰であり、その働きを抑える薬を第一選択薬とするというように、治療方法の選択に役立ちます。

骨粗しょう症による骨折は予防できるのか?

骨密度は治療によって上がります。また骨折のリスクも下がります。

下の図は「骨密度が上がると骨折のリスクがどのくらい下がるのか」を示したものです。

なんと、骨密度が6%上がると、大腿骨の骨折は約70%も低下します。治療によって骨密度を上昇させることのメリットは計り知れません。しかし骨密度が下がると骨折のリスクは飛躍的に上がるということの裏返しでもあります。

そうであるならば、骨粗しょう症を早期に発見し、治療すれば、将来的に寝たきりや要介護につながる重大な骨折を予防することができます。(治療について詳しくはこちら

骨粗しょう症が心配な方は、ぜひご来院ください😊

参考文献

イキイキからだのつくり方 手指編. からだにいいこと.

 IntechOpen. Estrogen Deficiency and Osteoporosis.

Amgen, Ivenity.

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