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骨粗しょう症でなぜ痛みが出る?骨粗しょう症性疼痛の原因とメカニズムを解説
みなさん、こんにちは。三国ゆう整形外科の院長・曽我部です😊
骨粗しょう症(骨粗鬆症)は「骨がもろくなる」「骨折しやすくなる」疾患であり、一般的に「骨折しない限り痛くない」と思われがちですが、実は「骨粗鬆症という状態そのもの」が痛みの原因になることはあまり知られていません。
データでも、骨粗鬆症にり患している患者さんの70%以上が週1回以上の腰背部痛を抱え、その多くが日常生活に支障を感じています。痛みのせいで活動量が減り、さらに骨や筋肉が弱る悪循環に陥りがちです。
今回は骨粗しょう症性疼痛のメカニズムを整形外科医の視点から解説します。
骨粗しょう症によって痛みが出る原因とは?
骨粗しょう症に伴う痛みには、いくつかの種類があります。代表的なのは、背骨などに生じた脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折による疼痛であり、突然生じる強い痛みとして発症することが多いです。また骨折部が十分に癒合せず、不安定性が残存した偽関節(ぎかんせつ)では、疼痛が遷延することがあります。
さらに、骨粗しょう症に伴う後弯変形(せぼねの変形)が進行すると、脊椎の関節や周囲筋に過剰な負荷がかかり、筋の血流障害なども関与して、慢性的な腰背部痛を生じることがあります。
加えて、明らかな骨折を認めない場合でも、骨がもろくなることそのものが疼痛の発生に関与しており、骨折していなくても疼痛の原因になることが知られており、これを骨粗しょう症性疼痛といいます。
骨粗しょう症になると、骨の中の「痛みセンサー」が刺激される!
骨折や骨格の変形といった原因に加えて、近年の研究により「骨粗鬆症という病態そのもの」が骨の内部で痛みを引き起こす詳細なメカニズムが解明されてきました。
①骨の中には「痛みを感じるセンサー」が張り巡らされている
骨の内部(骨髄、骨皮質、骨膜など)には、痛みを伝える神経(Aδ線維やC線維)や、痛みを感じ取るセンサー(侵害受容体)が豊富に分布しています。そのため、骨の中のわずかな環境の変化や異常を「痛み」として敏感に感知します。

②破骨細胞の暴走が「痛みの物質」を生み出し、神経を刺激する
骨粗鬆症では、古い骨を壊す「破骨細胞(はこつさいぼう)」の働きが異常に活発になり、骨を溶かす際に周囲へ「酸」を放出します。この酸が、骨の神経にある酸センサー(TRPV1やASICsなど)を刺激することで痛みが誘発されます。さらに、破骨細胞が活発な骨組織内では痛みの原因(物質ATPや炎症性サイトカイン:IL-1、IL-6、TNF-αなど)が過剰に産生されます。これらが神経の受容体を直接刺激することも、強い痛みを引き起こす要因となっています。
③「運動不足」「体重をかけないこと」自体が痛みの原因になる
動物実験により、「足にかかる負荷・体重が少ない状態」すなわち「運動不足や長時間の座りっぱなし」が局所的な骨粗しょう症につながり、強い痛みが引き起こされることが証明されています。 これは、骨折後のギプス固定や、「痛くて動けない」と安静にしすぎることで生じる局所的な骨粗しょう化(ズデック骨萎縮やCRPSなど)が、さらなる痛みを引き起こすという悪循環の医学的な裏付けとなります。
骨粗しょう症性疼痛に対する治療・ペインマネジメント
骨粗しょう症による痛みに対しては、薬物療法、リハビリテーション、装具療法を適切に組み合わせながら、総合的な疼痛管理を行っています。
薬物療法では、まず一般的な鎮痛薬であるNSAIDsやトラマドール、筋緊張の緩和を目的とした薬剤を用いて疼痛の軽減を図ります。さらに、骨粗しょう症治療薬は疼痛管理においても重要な役割を担います。ビスホスホネート製剤やSERMは、骨吸収を担う破骨細胞の働きを抑えることで、疼痛の発生に関与する酸や炎症性物質の産生を抑制し、結果として痛みを軽減することが期待されます。また、骨形成を促進するテリパラチドについても、脊椎圧迫骨折において疼痛改善効果が得られることが報告されています。
リハビリテーションでは、骨粗しょう症に伴う姿勢変化や脊柱変形によって生じる筋・筋膜性疼痛に対して、体幹筋の機能改善を目的とした運動療法を行います。あわせて電気治療など取り入れ、疼痛を緩和します。
骨折を伴う場合や脊柱の安定性を保つ必要がある場合には、コルセットなどの装具療法を行います。装具によって患部の負担を軽減し、疼痛を和らげるとともに、日常生活動作を少しでも安定して行えるよう支援します。
当院からのメッセージ
「年齢のせいだから仕方がない」「骨粗しょう症だから痛いのも当然」と、腰痛や背中の痛みをあきらめていませんか。
骨粗しょう症に伴う痛みには、きちんと原因があります。適切に診断し、必要な治療を行うことで、痛みを和らげ、日常生活をより快適に過ごせるようになる可能性があります。
三国ゆう整形外科では、症状や状態に応じて、骨密度検査、レントゲン検査、血液検査を組み合わせながら評価します。当院での骨密度検査(DXA)は当日実施可能で、腕やかかとの簡易検査とは異なり、骨折しやすい「腰」と「脚の付け根」を直接測るため、より正確に骨密度を診断できます。

しつこい腰痛や背中の痛みが続く方、身長が縮んだ気がする方、背中の丸まりが気になる方は、気になる症状をそのままにせず、早めに状態を確認することが、痛みの改善と骨折予防につながります。どうぞ三国ゆう整形外科へご相談ください。
参考文献
萩野浩. 骨粗鬆症の臨床をとらえる―骨折リスクと治療戦略―. 薬局. 2026;77(2):171-176.
射場浩介, 山下敏彦:骨粗鬆症に対する疼痛管理.Prog. Med. 2019; 39(1): 35-39.