整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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2025.12.21 骨粗しょう症リハビリテーション

一生歩ける骨を作る。閉経後からでも遅くない「骨を強くする」リハビリの秘訣

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骨粗鬆症は、骨の強さが低下して骨折しやすくなる病気です。特に女性は骨粗鬆症の頻度が高く、早めの予防と継続的な対策が重要になります。

骨粗鬆症対策で中心になるのは、やはり運動です。ただし、「どんな運動が骨密度に効果的なのか」「転倒を減らすには何を優先すべきか」を正しく選ぶのは簡単ではありません。さらに、自己流の運動を一人で続けることは負担が大きく、途中でやめてしまう方も少なくありません。そこで本記事では、整形外科医の視点から、骨粗鬆症に対するリハビリテーション(運動療法)の有効性と、安全に継続するための考え方をわかりやすく解説します。

なぜ女性に骨粗鬆症が多いのか

女性の骨量は一般に20歳頃に最大骨量(PBM)に達し、その後40歳頃までは大きく変化しないとされています。しかし閉経期に入ると、エストロゲンが減少する影響で骨量が急激に減りやすくなります。女性で骨粗鬆症が多い最大の理由は、閉経によって短期間に骨量を失いやすいことです。このため、骨粗鬆症を防ぐには、若い時期にできるだけ高いPBMを獲得し、閉経後もその骨量を維持することが重要です。

運動が骨に効く仕組みと、リハビリの目的

運動による筋収縮は骨に力学的な刺激(メカニカルストレス)を与え、骨形成を促すことが知られています。一般に骨に加わる刺激が大きいほど骨量増加は大きい傾向があるため、荷重運動や抵抗運動が注目されます。

ただし、骨粗鬆症では「骨密度を上げる」ことだけが目的ではありません。転倒を減らし、骨折を予防するために、下肢筋力やバランス能力を高めることが同じくらい重要です。つまりリハビリテーションは、骨への刺激と転倒予防を両立させるための手段として位置づけられます。

リハビリはダイエットにも有効!

やせは脆弱性骨折の危険因子ですが、実は肥満も椎体骨折の危険因子になり得るとされており、適正体重の維持が重要です。運動には骨への直接的な効果だけでなく、肥満や生活習慣病を改善することで間接的に骨粗鬆症を防ぐ効果も期待できます。

若年期に最大骨量を高めることが予防になる

若年期は最大骨量(PBM)を高めることが、将来の骨粗鬆症予防の土台になります。骨量は1~4歳と12~17歳に増えやすく、思春期に急増するため、18歳以前の運動習慣の確立が効果的です。

一方で、過度な運動は骨量低下を招くことがあるため注意が必要です。特に女性アスリートでは、利用可能エネルギー不足、無月経、骨量低下が問題となり、ダイエットや摂食障害も骨に悪影響を及ぼし得ます。やせが強い場合や続発性骨粗鬆症の原因が疑われる場合は、骨密度測定を活用し、骨量減少の段階から早めに予防へつなげることが望まれます。

若いうちから運動習慣をつけておくことが大切

閉経後・高齢期でも遅くない―骨を守る運動はいつでもOK

中年以降も、骨密度の維持・改善、骨折予防、転倒予防のいずれにおいても運動は有効とされています。理想は身体機能が衰える前からの開始ですが、閉経後や高齢期からでも遅くありません。骨粗鬆症の女性でも、垂直荷重を伴う運動で骨密度上昇が報告されています。ただし、合併症を防ぐために状態を確認しながら進めることが重要です。高齢者は変形性関節症や内臓疾患などの合併が多いため、安全で簡便に継続できる運動が必須で、かかと落とし、スクワット、踏み台昇降などは取り組みやすい方法として紹介されています。

転倒予防にはバランス訓練と下肢筋力訓練が有効です。また背筋力を保つ運動は、椎体骨折や脊椎後弯の予防にも役立つとされています。一方で、骨粗鬆症では体幹を過度に屈曲する運動が椎体骨折を誘発する可能性があるため避けるべきです。運動は「強ければ強いほど良い」ではなく、安全性と継続性を重視し、個々の状態に合わせて組み立てることが大切です。

エビデンスに基づく骨粗しょう症のリハビリ|骨密度改善+転倒予防

研究報告では、成長期の女子でジャンプ運動を一定期間継続すると腰椎や大腿骨頚部などの骨密度が増加した例があり、台からのジャンプでも大腿骨転子部の骨密度増加が示された報告があります。閉経後女性でも、ウォーキングを継続することで腰椎や大腿骨頚部の骨密度が増加した報告があり、つま先立ちから踵を落とす運動や、片脚起立訓練(フラミンゴ療法)で転倒が減ったという報告もあります。背筋の等尺性トレーニングでは背筋力の改善と椎体骨折リスク低下、太極拳や荷重運動と筋力・バランス訓練を組み合わせた複合運動でも骨密度改善が示されており、軽い動的荷重運動は腰椎に、より強い動的荷重運動は大腿骨近位部に効果が出やすいとされています。

ただし、これらをそのまま全員に当てはめることはできません。骨折歴、関節疾患、痛みの有無、心肺機能、転倒リスクなどで安全な負荷は変わるため、医師や理学療法士の評価のもとで個別に調整することが重要です。当院のリハビリテーションでは、「骨への刺激」と「転倒しにくい体づくり」を両立させ、骨折予防につなげます。

生涯を通じて骨を守るために―女性特有のリスクを丁寧に拾い上げる

日本産科婦人科学会の産婦人科診療ガイドラインでは、骨粗鬆症予防として、65歳以上、または65歳未満でも骨折危険因子(多量の飲酒、喫煙、家族歴など)がある場合に骨密度検診を推奨しています。女性医学の視点では、体格やダイエット歴、月経歴、妊娠・授乳歴、運動習慣などを踏まえて、早期から骨の状態を評価し、生涯を通じた対策につなげることが重要です。

最後に

当院では、女性特有のリスクも丁寧に評価したうえで、骨密度測定や血液検査など必要な検査を適切に行い、結果に応じた薬物治療も組み合わせながら、転倒予防・筋力強化・姿勢改善まで含めたオーダーメイドのリハビリテーション(運動療法)をご提案します。特に閉経後は早めに骨密度を確認し、必要に応じて原因検索を行うことが重要です。自己流で無理な運動を続けるのではなく、医師の診察と理学療法士の専門的サポートのもと、生活背景に合わせて安全に継続できる運動をみつけましょう😊

参考文献

金内ゆみ子, 田中秀達, 山谷日鶴. 女性の骨粗鬆症と肩こりに対するリハビリテーション. MB Med Reha. 2022; (275): 35-42.

記事監修:曽我部 祐輔 医師 (三国ゆう整形外科 院長/日本整形外科学会認定 整形外科専門医)

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