整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科・骨粗しょう症外来・ペインクリニック

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2025.10.24 整形外科一般

天気予報が痛みの予報?天気痛の謎に迫る

「雨の日や気圧が下がる前に、肩や腰がうずく気がする」そう感じたことはありませんか?
結論から言うと、”長く続く痛み(慢性痛)は天気の影響を“受けやすい人がいる”ことが、海外の大規模研究などで示されています。特に湿度が高い日、気圧が低い日、風が強い日に、痛みが強まる傾向がありました。一方で、新しく起こる急な腰痛(ぎっくり腰)の“発症そのもの”は天気と無関係という報告もあり、影響は「増悪感」に出やすいと考えられます。天気による影響は個人差が大きいのが特徴です。

湿度が高い日、気圧が低い日、風が強い日は痛みが強くなりやすい

なぜ天気で痛みがぶり返すの?

気圧が低下すると関節内外の圧のバランスが崩れ、関節包や靱帯、筋膜の張力がわずかに変化します。いっぽう湿度が上がると体が冷えやすく、むくみも出やすくなるため、筋や腱の滑走が悪くなって関節のこわばり感が増します。さらに強い風や天候の不安定さは自律神経のゆらぎや睡眠の質の低下を招き、その結果として痛みの感じ方が敏感になってしまいます。

イギリスにおける天気痛の研究

英国のスマホ縦断研究(参加者2,658人, 15か月)では高湿度・低気圧・風が強い時に痛みが生じやすいことが示唆されました。気温・降雨量との明確な関連は乏しいという結果も出ており、これは私には意外な結果なように思われました(整形外科の外来では、寒い日は節々の痛みを強く訴える方がおおい印象があります)。特に慢性痛の「増悪」で天気の影響が出やすい一方で、新規の急性腰痛の発症自体とは関連が薄いと示されました。天気が引き金になるのはもともとある症状の増悪だということになります。

気分の落ち込みや生活リズムも痛みの感じ方に関与するため、痛み日記をつけたり、気圧・湿度が不安定な日は保温やストレッチをしたり、無理を避けたり、睡眠やストレス管理をおこない、症状が急に強まった場合は医療機関の受診を勧める、という実践的対応が有用であると報告されています。

整形外科で多い“天気痛”に関連する疾患

肩こり/頚部痛

気圧・湿度の変化で僧帽筋や肩甲間部の筋緊張が増し、頭痛や寝違え様痛を伴うこともあります。PC作業やストレスが重なると悪化しやすくなります。

腰痛(慢性腰痛・椎間関節性腰痛など)

気圧低下や湿度上昇で関節包・椎間関節周囲の炎症性反応が揺さぶられ、鈍い痛みのぶり返しや朝のこわばりが出やすくなります。

関節痛・膝の痛み(変形性膝関節症など)

低気圧と高湿度の組み合わせで関節水腫(関節に水がたまる)が悪化し、階段の上り下り・立ち上がり時痛が増えることがあります。

自分でできる“天気痛”対策

痛み×天気の記録

スマホの天気アプリで気圧・湿度・風をメモし、痛みスコア(0–10)と並べて1〜2週間記録。自分のトリガーを把握します。

予報に合わせた“前もってケア”

不安定な日は温熱(入浴・蒸しタオル)、軽いストレッチ、関節を冷やさない装いを。膝はサポーターで関節感覚を安定させるのも有効。

睡眠・ストレス調整

寝不足・気分の落ち込みは痛みを増幅します。就寝前のスマホを控え、深呼吸や短時間の散歩で整えましょう。

痛みが強い日は“無理をしない”

予定を軽くしたり、重い家事は分散。安静を取りすぎずに、痛くない範囲で動くのが大切です。

当院でできること(天気痛に対する医学的アプローチ)

三国ゆう整形外科では、注射・投薬・漢方薬・リハビリを組み合わせ、天気でぶり返しやすい痛みに対してオーダーメイドの治療をご提案します。「天気のせいだし、仕方ない」で終わらせず、予報に合わせて整える発想がカギです。つらい波を小さくし、生活の主導権を取り戻すお手伝いをします。

注射治療

肩こり・頚肩部痛:トリガーポイント注射/肩峰下滑液包内注射で筋緊張や炎症を鎮めます。

膝の痛み:ヒアルロン酸注射で潤滑性を高め、水腫を繰り返す場合は関節穿刺・消炎治療も併用。

腰痛:トリガーポイントブロック、椎間関節ブロック、神経ブロックで天候に左右される“芯の痛み”を鎮静。

内服治療

痛みの性状に応じて消炎鎮痛薬、神経障害性疼痛薬(例:プレガバリン、デュロキセチン等)を処方。

漢方治療

五苓散:気圧変化や湿度による“むくみ・頭重・めまい”タイプの痛みに適することがあります。

桂枝加苓朮附湯・防已黄耆湯など、冷え・水滞・関節の腫れを伴うタイプに。

上記以外でも症状に合わせた漢方薬を処方し、改善を図ります。

リハビリテーション

肩甲帯・体幹の安定化と股関節・膝のアライメント改善で、“天気の波”に揺さぶられにくい身体づくりを行います。クリニックでのリハビリ+ホームエクササイズも併用し、悪天候の日に備えましょう。

受診のご案内

当院では、注射・投薬・漢方・リハビリを組み合わせてつらい痛みを取るお手伝いをします。
「雨や低気圧の前後に痛みがぶり返す」「膝がむくみやすい」「肩こりが天気で悪化する」—そんな方は、一度ご相談ください。Web予約はページ上部のボタンから。
(阪急三国駅から徒歩/国道176号線沿い/駐車場41台あり)

よくある質問(FAQ)

Q. 痛みが強いのは“天気のせい”だけ?

A. いいえ。睡眠不足・ストレス・長時間同じ姿勢・冷えなどが重なると増幅します。天気は“引き金”のひとつです。

Q. 整体やマッサージだけで良くなりますか?

A. 心地よさは大切ですが、原因(炎症・関節水腫・神経過敏など)に合わせた医学的介入を組み合わせると再燃を抑えやすくなります。

Q. いつ受診すべき?

A. 痛みで生活に支障がある/しびれ・力が入りにくい/関節が腫れて痛む/階段が上り下りしにくいといった場合は早めにご相談ください。

参考文献)

・佐藤 純.天気痛の本質と治療対策.日本頭痛学会誌.2022;49:81–83.

・Dixon WG, et al. How the weather affects the pain of citizen scientists using a smartphone app. NPJ Digital Medicine. 2019;2:105.

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